イオン株式会社(8267)(以下「同社」という)が、2024年2月期第1四半期連結決算(対象期間:2023年3月1日~2023年5月31日)を発表した。
売上高にあたる営業収益は増収、経常利益までの各段階利益において増となり、過去最高益となった。前年同期には、ミニストップの韓国事業を売却して関係会社株式売却益236億1600万円を計上している。当該特別利益の影響を除くと、親会社株主に帰属する四半期純利益も実質では増益であり、全体として好業績となった。
当第1四半期は想定を上回る進捗となったが、同社は期首の業績予想を変更していない。
なお、同社は2023年7月14日に、会計監査人による四半期レビューを経た四半期報告書を開示している。
1. イオンのセグメント別業績
売上高を示す営業収益は全セグメントで増収となった。一方、営業利益は6セグメントで増収であった。
以下では、営業収益の大きい「GMS事業」と「SM事業」、営業利益が大きく伸びた「サービス・専門店事業」、営業利益が大幅減益となった「総合金融事業」を取り上げる。
1.1 イオンのGMS事業
GMS事業は、商品原価、人件費、光熱費が高騰する厳しい環境下において2期連続で営業黒字を達成した。
とりわけ、イオン九州株式会社は、中期経営計画に掲げた「食の強化」、「DX 推進」などに取り組み、イオン九州単体での当第1四半期累計期間の業績は、営業収益、各段階利益とも過去最高を更新した。
1.2 イオンのSM事業
SM事業は、都市部に展開するまいばすけっと、U.S.M.H、ダイエーが増益に貢献した。特に、まいばすけっとは、営業利益に前年同期比+16億円の大幅な利益貢献をもたらしている。
また、セルフレジ導入による人時(にんじ)効率化(従業員1人が1時間当たりに、より多くの売上総利益を上げられるようにする)や省電力な冷蔵ケースを導入することで、販管費を抑制した。販管費がコントロールできることで、前年同期比▲49億円もの販管費を削減することができた。
1.3 イオンのサービス・専門店事業
サービス・専門店事業は、イオンエンターテイメント株式会社が運営するイオンシネマが前年同期比で大幅な増収増益となった。イオンシネマでは、ヒット作品による集客効果で観客動員数が+30%となり、営業利益に前年同期比で+18億円も貢献した。
1.4 イオンの総合金融事業
総合金融事業は、国内・海外ともに取扱高・営業債権残高が拡大して、売上収益は前年同期比+7.2%となった。
一方で、国内外でショッピング・キャッシング取扱高が+9~28%となったことで、営業債権の期末残高が前年同期比で+1070億円となった。比例して、貸倒関連費用が増加し営業利益を圧迫することとなった。また、国内ではポイント販促費用も重しとなった。
その結果、営業利益は減益となり前年同期比で▲60億円と大幅に減った。
2. イオンの株価
2023年11月期第2四半期連結決算の発表前となる、2023年7月5日の終値は2970円であった。好決算発表を受けて、2023年7月12日には年初来高値となる3019円まで上昇した。
2023年7月21日の終値は2924円となっている。
参考資料
- イオン株式会社 2024年2月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- イオン株式会社 2024年2月期第1四半期決算説明会資料
- イオン株式会社 2021~2025年度 中期経営計画
- イオン株式会社 2024年2月期第1四半期報告書
石川 貴康