2023年7月14日に発表された、株式会社FPパートナー2023年11月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社FPパートナー 代表取締役社長 黒木勉 氏
【ポイント】2023年11月期第2四半期決算
黒木勉氏(以下、黒木):みなさま、本日はお忙しい中、当社の2023年11月期第2四半期決算説明会にご参加いただきありがとうございます。株式会社FPパートナー代表の黒木です。よろしくお願い申し上げます。
株式会社FPパートナーの第2四半期決算説明会は、次の3つのポイントを中心にご説明します。1つ目は2023年11月期上期実績、2つ目は2023年11月期通期見通し、3つ目は株主還元です。
2023年11月期第2四半期 業績ハイライト
2023年11月期第2四半期業績ハイライトについてご説明します。すべての項目で過去最高を達成した第1四半期に引き続き好調に推移しました。前年同期比から大きく成長した主な要因は、営業社員、拠点数の増加により、新規契約顧客数が増加したことです。
その結果、売上高は145億7,600万円、この規模にして前年同期比19.4パーセントの増加、営業利益は26億9,400万円、前年同期比32.1パーセントの増加、経常利益は27億7,700万円、前年同期比35.9パーセントの増加、四半期純利益は17億900万円、前年同期比45.1パーセントの増加で終えることができました。
2023年11月期第2四半期 業績ハイライト[対上期業績予想進捗率]
対上期業績予想進捗率についてです。売上高は進捗率101.4パーセント、営業利益は116.1パーセント、経常利益は119.1パーセント、四半期純利益は118.2パーセントと好調に推移しています。
2023年11月期第2四半期 業績ハイライト[対通期業績予想進捗率]
対通期業績予想の進捗率についてです。売上高は進捗率49.6パーセント、営業利益は61.0パーセントです。
ご注目いただきたいのは、営業利益率が18.5パーセントの改善を示していることです。経常利益は進捗率62.6パーセント、当期純利益の進捗率は62.2パーセント、1株当たりの当期純利益は74円31銭です。
2023年11月期第2四半期 業績ハイライト
この好調な上期の業績を受けて、第2四半期に行われた業績ハイライトについてご説明します。第2四半期は、過去最高を大きく上回る営業社員175名の採用に成功しました。上期通算でも301名と、過去最高を大きく上回る増加です。
分業制の集客により、保険契約見込顧客数は3万6,466件、前年同期比8.0パーセント、2,692件の増加です。その結果、保有契約件数は132万3,282件、前年同期比22.9パーセント、24万6,936件の増加です。
新規契約数は5万7,628件、前年同期比8.9パーセント、4,695件の増加です。新規顧客数は3万4,462人、前年同期比9.8パーセント、3,068人の増加です。
第2四半期は、新たな取組を行ってきました。利益率向上策として、金融リテラシー向上のための研修業務を受託しました。
また、さらなるブランド力、認知度向上のため、「マネードクター」の新CMの放映を開始しました。成長戦略でもある、損害保険ダイレクトセンター室が非対面完結型の保険契約見込顧客への対応を開始し、第2四半期累計で1,001件の火災保険案件を獲得しました。
2023年11月期第2四半期 損益計算書
第2四半期の損益計算書についてです。売上高は145億7,600万円で、前年同期比19.4パーセント増となる23億7,200万円の増加となりました。営業利益は26億9,400万円で、前年同期比32.1パーセント増となる6億5,500万円の増加です。四半期純利益は17億900万円で、前年同期比45.1パーセント増となる5億3,100万円の増加です。
2023年11月期第2四半期 営業利益変動要因分析
営業利益率の変動要因分析についてです。売上高の大きな伸びに対し、利益率の高い「マネードクタープレミア」などの自社集客案件、契約譲受からの追加契約などの伸びに加え、売り上げイコール利益のものが加わり、大幅に利益率が上がっています。特に原価が抑え込まれ、営業利益の増加につながっているかたちです。
収益モデル[ 生保・損保 ]
この結果を踏まえて、当社の収益モデルについてご説明します。スライド左側の図をご覧ください。
当社の収益モデルは、お客さまにご契約いただくと、初年度手数料と業務品質支援金の2つの大きな手数料が、その年に入ってきます。その一方で、お客さまが契約を継続する限り、2年目から10年目まで継続手数料が入ってきます。この継続手数料はまさにストック収入であり、当社の安定した売上、利益に貢献しています。
スライド左側の図では継続手数料を薄いブルーでお示ししています。昨期は47億6,400万円です。創業当時はほとんどなかったこの売り上げが、47億6,400万円に増加しています。2019年11月期には31億8,200万円しかなかったため、ストック収入も順調に増えています。
四半期実績推移
生命保険手数料を四半期ごとにご説明します。スライドに記載しているのは、2020年11月期から2023年11月期第2四半期までの生命保険手数料の推移です。
スライドのグラフのとおり、まさに右肩上がりです。特に2022年11月期からは、四半期ごとに過去最高に近い数字を計上しています。この会社も14期となりますが、13期から成長曲線に入ったと言えます。
重要KPI推移[ 件数・顧客数 ]
重要KPIについてご説明します。スライドでは、過去5年にわたる件数と顧客数をお示ししています。
スライド左側の件数は、昨期に初めて100万件を超え、118万9,907件でした。スライド右側の顧客数は50万4,959人と初めて50万人を超え、まさに右肩上がりでお客さまの積み上げに成功しています。
こちらは、先ほどお話ししたストック収入、継続手数料に関わる指数です。それだけではなく、将来的にお客さまのライフサイクルの変化に応じて新商品などを新たに提案することができます。
新規契約獲得フロー
新規契約獲得フローを第2四半期の実績でご説明します。スライド上の薄いブルーの部分をご覧ください。
当社の分業制による見込顧客の集客です。提携企業の集客や自社集客、お客さまからのご紹介などの自己開拓により、3ヶ月で2万1,084人ものお客さまを新規獲得しています。純新規契約に関しては3万8,411件です。
スライド下の薄い水色の部分をご覧ください。先ほどお話しした50万人以上の既契約者と、新たに始まった契約譲受で当社に移管していただいたお客さまへの新しい追加契約により、3ヶ月で1万3,378人、追加新契約は1万9,217件も計上しています。その合計が、新規契約5万7,628件です。
営業社員数・採用数
営業社員数、採用数についてです。第2四半期決算説明会の大切なポイントは、営業社員数、採用数と純増です。
3月に開設した人材開発室および昨年9月の上場効果により、四半期としては大幅に過去を上回る175名を採用できています。上期は上場効果もあり、退職者も減り、152名の純増です。昨期1年間の純増とほぼ同じ数値を、わずか半年間で達成しました。
重要KPI推移[ 会社集客案件数( 四半期 )]
会社の集客案件数についてです。第2四半期は3万6,466件、前年同期比2,692件増加しています。
現在は営業社員数と案件数のバランスを考慮し、この緩やかな推移を前向きに捉えています。今後は営業社員が増え、採用できた後には、会社集客の件数を増やしていく所存です。
重要KPI推移[ 保有顧客数( 四半期 )]
四半期ごとの保有顧客数についてです。毎四半期順調にお客さまの数が増加しています。前年同期からわずか1年で8万4,665人、18.3パーセントも顧客数を増やしています。
重要KPI推移[ 新規顧客数( 四半期 )]
四半期ごとの新規顧客数についてです。お客さまが前年同期比で3,068人増え、9.8パーセントの増加です。四半期ごとに着実に前年を上回り、顧客数を伸ばしてきています。
重要KPI推移[ 保有契約件数( 四半期 )]
保険契約件数についてご説明します。スライドは、2021年から2023年第2四半期までの2年半における保有契約件数の推移です。わずか1年で24万6,936件、22.9パーセント増加しています。
重要KPI推移[ 新契約件数( 四半期 )]
新契約件数も第2四半期は、前年同期比で4,695件、8.9パーセント増加しています。
2023年11月期重点施策
2023年11月期重点施策進捗状況、各種取組についてご説明します。スライドには、2023年11月期の重点施策を載せています。創業以来最重要としている「営業社員の増強」、そして「契約譲受」「マネードクタープレミア」「損害保険」の3つの新しい成長戦略です。
営業社員の増強
営業社員の増強についてご説明します。先ほどお話ししたとおり、半年間で152名もの営業社員が純増しています。
スライド左側のグラフをご覧ください。すでに全国津々浦々に2,166名の営業社員を有しています。
スライド右側の図をご覧ください。当社は採用だけではなく、採用したのちに営業社員をトッププレイヤーにする組織です。マーケット、教育、システムによって、保険業界のトッププレイヤーの証、MDRTを数多く輩出しています。当社のMDRT登録者は888名、全営業社員の44.1パーセントがトッププレイヤーです。保険業界全体で見ますと、MDRT該当率は0.7パーセントと、100人に1人にも満たない資格となっています。
拠点数
人員だけではなく、拠点数も増やしてきました。第2四半期においては、5拠点を増加しました。ご覧のとおり、全国津々浦々に137拠点を展開しています。今後も拠点を増やす余地はたくさんあると考えています。
2023年11月期の新たな成⻑戦略
今期の新たな成長戦略として、3つの柱を育てていきます。
2023年11月期の重点取組① 契約譲受ビジネスの拡大
1つ目は契約譲受です。スライドに記載のグラフは、過去5年の登録代理店数の減少を表しています。
保険業界で代理店のシェアは大きく伸びていますが、一方で、保険業法の変化以来、代理店数は毎年減ってきています。わずか5年間で1万574店が廃業し、11.6パーセントも減少しています。
こちらの背景には、体制整備コストの増加や、代表者の後継者問題などがあります。その廃業した代理店のお客さまを当社に移管する仕組みが、契約譲受です。
2023年11月期の重点取組① 契約譲受ビジネスの拡大
スライドをご覧ください。当社の契約譲受は、まだ2年半という新しいビジネスです。2021年11月期は始めたばかりの期ですが、1万5,134件ものお客さまが当社に移管されました。
昨期は1万9,981件、そして今期は第2四半期が終了した時点で、前年同期を大きく上回る2万4,555件もの契約譲受がすでに完了しています。
第1四半期は6社、第2四半期は8社と契約が合意しています。第2四半期は23社から問い合わせをいただき、第1四半期から6社も増加しました。
2023年11⽉期の重点取組② 「マネードクタープレミア」事業の拡⼤
「マネードクタープレミア」事業の拡大です。2023年3月以降は新たに4店舗を開設しました。日比谷シャンテ店、北海道初の札幌東急店、吉祥寺パルコ店、そして神奈川県初の横浜ランドマークプラザ店です。誰もが知っているような大規模商業施設への出店を加速度的に増やしています。
2023年11⽉期の重点取組② 「マネードクタープレミア」事業の拡⼤
今期も主要都市で「マネードクタープレミア」店舗の開設を予定しています。現在は13店舗、81名の人員が「マネードクタープレミア」でお客さまにお会いしています。
2023年11⽉期の重点取組② 「マネードクタープレミア」事業の拡⼤
「マネードクタープレミア」は立ち上げから1年半ほどの新しいビジネスですが、すでに大きな結果を残しています。スライド左側のグラフにあるとおり、昨年度の来店予約数が年間1,436件だったところ、今期は上期だけで昨年を大きく上回る1,583件の来店予約をいただきました。オンライン相談も同様で、昨年度は1,277件だったものが、この上期には1,131件となりました。
スライド右側には新規契約実績を記載しています。こちらも上期だけで昨年度に近い5億7,900万円の新規契約をいただきました。新規開設した4店舗においてもこれから実績を上げていきますので、ぜひご期待ください。
2023年11⽉期の重点取組③ 損害保険の業績拡⼤
重点取組の3番目は、損害保険の業績拡大です。コロナ禍を経て、非対面完結型営業の展開が始まっています。お客さまからの問い合わせも順調に増え、1,001件の火災保険の申し込みがありました。6月には損害保険専門の営業スタッフを新たに採用しています。下期には50万件を超える生保のお客さまに対し、損保のクロスセルも始める予定です。
ベースとなる成⻑戦略
当社のベースとなる成長戦略です。当社の最も得意な営業社員の強化とMDRT・高位平準化に引き続き取り組んでいきます。また、現在はCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の構築を早急に進めています。加えて、顧客用コミュニケーションアプリの開発も行っています。これらをもとに下期も新たな取組を行っていきたいと思います。
【topics】新規ビジネス[ 広告関連業務・⾦融リテラシー教育業務]
第2四半期のトピックスを3つ挙げています。まず新規ビジネスとして、広告関連事業と金融リテラシー教育事業が始まりました。これまで13期にわたり保険業に特化して業界での優位性を構築してきましたが、14期目にして初めて保険販売以外の事業に取り組みました。
これらの新規ビジネスは売上イコールほぼ利益となり、営業利益率に大きな影響を及ぼすものです。第2四半期までに両事業で受注した金額は6社合計で年間3億1,000万円に上ります。これらの事業に留まらず、今後も新規ビジネスを考えていきたいと思っています。
【topics】取扱商品の拡充
取扱商品の拡充についてです。新たに生命保険3社、朝日生命、第一生命、大樹生命との代理店委託契約を締結しています。これにより、取扱会社は生命保険、損害保険を合わせて41社となりました。お客さまの多様なニーズに応えられるよう、商品の拡充を図っています。
【topics】株式分割・株主優待(拡充)
トピックスの最後は、株式分割と株主優待です。5月末に1単元以上の株式を保有されている株主さまを対象に、株主優待としてQUOカード3,000円分の贈呈を始めました。株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しましたので、実質的な株主優待の拡充となります。
通期業績予想の修正について
上期の好業績を踏まえ、通期業績予想を上方修正しました。売上高は上期業績予想の着地を考慮し、通期においてもおおむね当初のとおり推移すると予想しています。
「マネードクタープレミア」や契約譲受による追加契約、自社集客案件など、利益率の高い新規契約が増加しています。新規事業として高収益の広告事業・教育事業も始まり、利益率が改善しました。
その結果、営業利益は当初予想の44億1,300万円から、プラス24.9パーセント、10億9,700万円増加し、55億1,000万円に上方修正しました。当期純利益についても、当初予想の27億4,900万円から、プラス37.5パーセント、10億3,000万円増加し、37億7,900万円に修正しています。
2023年11⽉期業績予想修正
業績予想修正の具体的な数字を表にまとめています。売上高は299億7,300万円に修正し、当初予想から5億7,600万円増加しています。1株当たりの当期純利益は164円34銭となり、前期比プラス42.9パーセントとなっています。結果として営業利益率は18.4パーセントの予想で、3.4ポイントの改善を見込んでいます。
配当開始について(変更)
業績の通期上方修正を踏まえ、さらなる利益還元が可能と判断しました。事業拡大の基盤となる保有顧客数、保有契約件数が順調に拡大し、業績が堅調に推移しています。2023年11月期第1四半期は売上高、利益ともに過去最高を更新しています。
また、上期は新たに301名の営業社員を採用し、152名の純増となりました。こちらも過去最高の水準で推移しており、下期ならびに来期売上への貢献が大いに期待されます。
このような結果を踏まえて増配を決定しました。株主のみなさまへ積極的に利益還元する姿勢を明確にし、事業のさらなる成長を目指していきます。
配当開始について(変更)
2023年11月期の予想配当額を、1株当たり50円から75円に大幅増配します。こちらは上方修正した通期の利益を上乗せした結果ですが、長期的な配当が十分可能と考え、配当性向を45パーセント目安に変更しました。
質疑応答:新規ビジネスの営業利益について
質問者:新規ビジネスについて、受注金額の3億1,000万円は、上期や上方修正後の通期業績にどれくらい織り込まれているのでしょうか?
黒木:これは5月までの受注金額ですが、広告ビジネスは年間契約の受注もあれば単発のものもあり、合わせて1億円くらいの利益となる見込みです。下期にも3億円近い金額が入ってきますが、利益としては期をまたぐ可能性もあります。
あくまで現時点での予想ですので、下期に新たな受注が発生する可能性もあります。今期に関しては営業利益に3億円程度ヒットすると考えています。
質疑応答:営業利益率改善の要因について
質問者:営業利益率を18.4パーセントまで改善されていますが、新規ビジネス以外の要因があれば教えてください。
黒木:2年前から利益率向上を目指してきました。自社集客案件は非常に利益率が高く、増加傾向にあります。また契約譲受に関しては特に大きく利益が上乗せされますが、これについても追加契約が増えています。このような要因から利益率が徐々に改善されている状況です。
質問者:18.4パーセントという利益率は継続可能と考えてよろしいのでしょうか?
黒木:おっしゃるとおりです。こちらは改善に取り組んできた結果のオーガニックな成長ですので、継続可能と言えます。今後もさらなる改善を図っていきたいと考えています。
質問者:利益率の維持にあたって、新規ビジネスの広告関連事業や金融リテラシー教育事業の業績を伸ばしていくという理解でよろしいでしょうか?
黒木:新規ビジネスも重要ですが、利益率への貢献という意味では自社集客案件の増加や新規契約譲受における追加契約に重きを置いています。それに加えて広告事業・教育事業にも注力し、さらなる利益の上乗せを図っていきます。
質疑応答:事業計画の進捗状況について
質問者:事業計画値について、かなり順調に進捗しているように見えるのですが、これは当初の計画がやや保守的だったためでしょうか? あるいは想定以上にうまく進んでいるということなのでしょうか?
黒木:計画が順調に進捗している背景に、営業社員数の増加があります。これは上場の目的でもありましたが、営業社員の増加によって昨期から四半期ごとに売上が過去最高を更新しており、14期目にして成長期に入ったと実感しています。
前倒しに成長できればという思いでIPOを行いましたので、今期はその成果が現れているのではないかなと思っています。
質疑応答:営業社員の採用計画について
質問者:営業社員の採用が非常に好調とのことですが、このペースは今後も継続可能なのでしょうか?
黒木:今期は上場効果もあり、退職者数が減って152名の純増となりました。会社としては予想以上の増員となり、大変喜ばしく思っています。3月に人材開発室という新しい部署を開設して11名を採用し、現在ようやく機能し始めました。下期はその11名で活動していくかたちになります。そのため、上期以上の結果を求めていきたいと考えています。
質問者:下期さらに採用が増えれば、来期以降の業績拡大や成長率の継続を実現できるという手ごたえを感じているのでしょうか?
黒木:営業社員が増えれば売上、利益が増えるという仕組みのため、これだけの純増を達成したことで、下期および来期への売上貢献は非常に期待できると考えています。
質疑応答:営業利益の上方修正について
質問者:利益率は前期比で改善しており、上期も通期も上方修正となっています。売上高の修正に比べて、利益の修正の方が大きいのは、何かビジネスのミックスが想定よりも改善しているからでしょうか? あるいはコストの抑制が、想定よりできているからでしょうか? 期初の計画に対して何が一番良くなっているのでしょうか?
黒木:期初の予定では、約15パーセントでした。経費削減というよりは、現在成長期にあるため、新しい成長に対する人材開発室の開設など、経費のかかる部分にも取り組んできています。また、期初にはなかった広告業や教育業が営業利益率で約1パーセント強の好影響をもたらしています。
加えて、先ほどお伝えした2年半目に入った契約譲受への上乗せ契約も非常に活性化されてきています。今期もすでに契約譲受件数が2万4,000件を超えています。下期には新しい契約が追加になるのではないかという予想も立てて、通期業績予想を上方修正しました。会社が2年間取り組んできた利益率の改善に少し結果が出始めたと考えています。
質問者:契約譲受は、想定よりも増えたのでしょうか?
黒木:契約譲受はそれ自体でもしっかりと利益が出るビジネスですが、ここに付随する新しい契約、先ほどお伝えした追加契約等に当社は現在注力しています。追加契約ができると利益が上乗せされていく仕組みであるため、基本的にはこの部分が上手くいけば、利益率は今後大幅に改善していくと考えています。
質問者:そこを期初にはあまり想定していなかったということでしょうか?
黒木:おっしゃるとおりです。追加契約には時間がかかるため、最初の1万5,000件に対して追加契約ができたのも1年後くらいです。そこをあまり読めていなかったところはあります。
質疑応答:人材開発室の効果について
質問者:採用に関しては、上場の効果もあったように思いますが、その効果は、おそらく段々と薄れてきます。人材開発室開設の効果について、具体的に何を行っていて、どのようなかたちで採用を増やせる仕組み作りをしているのでしょうか? どこまで継続的に仕組みが回りそうでしょうか?
黒木:人材開発室は3月に開設し、4月から実稼働しています。当部門の開設にあたり11名を採用して、採用を専門に行っています。11名も東京だけでなく、各地の主要都市に配置して各エリアの採用を行っているかたちです。当社の採用網は3つあります。1つ目は、当社のホームページ等経由の採用、こちらは上場効果でかなり増えてきています。2つ目は、当社の営業社員2,166名の仲間から出てくる新しい人材の紹介です。3つ目は、保険会社等からの紹介です。
これまでは、この採用網に対応する者が東京以外には居なかったため、応募者との面談など、最初のコンタクトをこの11名で行っているかたちです。毎日忙しく新しい方と面談してもらっています。効果が出るのは下期と思いますが、上期の最後にも十分にその採用はプラスアルファされています。
質問者:間口を広げて採用機会を増やしたことの効果は、まだこれからも続くということでしょうか?
黒木:おっしゃるとおりです。上場してからの戦略のため、積極的な攻めの採用をしていくという当社の姿勢の表れが、人材開発室です。できるだけ効果的に結果を出すような仕組みに育て上げたいと思っています。
質疑応答:配当性向の引き上げについて
質問者:配当政策について、3ヶ月前にもかなり前向きなコメントをいただきましたが、今回配当性向を40パーセントから45パーセントまで引き上げた背景について教えてください。また、今後利益水準が高まっていけば、さらなる配当性向の引き上げも期待して良いのでしょうか?
黒木:3ヶ月前の第1四半期の決算説明会において、初めて配当性向を出しました。今回の上方修正で、当期純利益に10億円以上上乗せしており、できるだけ株主還元を行っていきたいと考えました。また、全体の配当性向も45パーセントに引き上げ、長期継続的な配当性向にしたいという思いもあります。今後も利益が大きく伸びた際、あるいは利益の上乗せができた際には、できるだけ積極的な株主還元を行っていきたいと考えています。
質疑応答:外貨建て一時払い保険の監督強化による営業戦略への影響について
質問者:商品戦略に関して、金融庁の外貨建て一時払い保険の監督強化の方針を受けて、商品戦略や業績に影響はあるのでしょうか?
黒木:当社の営業戦略は、ファイナンシャルプランニングを行いつつ、子育て世代に将来の貯蓄、投資を行いながら、保障も準備していただくかたちです。そのため、30代、40代のお客さまが非常に多く、月々ドルコスト平均法を活用した積立投資を行っていただく提案をするケースが多くなっています。高齢者への一時払い商品の提案が非常に少ない会社と認識していますので、今後もこのような将来への貯蓄の提案をしていきたいと考えています。
質疑応答:自社集客案件数について
質問者:こちらのグラフでは、全社集客案件数のうち、自社集客案件数が10パーセントと記載されています。お話では契約譲受から新規契約が増えており、「マネードクター」経由で自社集客の比率が上がっているとのことでした。こちらのグラフは見込顧客数ですが、実際の足元の契約に対しても、自社契約の比率はかなり上がっており、下期も同様に上がってくるという理解でよろしいでしょうか?
黒木:おっしゃるとおりです。グラフにあるとおり、全体の集客に対して自社集客が10パーセントくらいと、緩やかに上がっています。しかし、前年と比べて、件数は1,000件以上も増えています。自社集客は、提携企業集客と比べると契約の獲得による売上は2倍の効果が見込めます。なおかつ、利益も倍以上の効果が出てくるため、自社集客が少しでも増えていけば、売上、利益への貢献は非常に大きくなると考えています。上場効果を受けながら、ブランド効果を上げ、自社集客を増やしていきたいと考えています。
質問者:第1四半期が11.7パーセント、第2四半期が10パーセントと前年同期比で増加しており、利益構造も非常に良いとなれば、今後さらに1パーセント、2パーセントと上がっていけば、利益向上にかなりの効果があり、この比率は今後も上がっていくという理解でよろしいでしょうか?
黒木:自社集客数が増え、契約譲受に追加契約等が増加し始めると、利益率は大幅に改善していくと思います。
質問者:契約譲受に関して、新規契約は同じように利益率が高いと思いますが、こちらには含まれていないということでしょうか?
黒木:おっしゃるとおりです。
質疑応答:契約譲受ビジネスについて
質問者:契約譲受に関して、今期は5万件の予定とありました。スライド26ページを見ると、店舗数が継続的に減少しており、御社がフォローできる状況だと思います。5万件というのは、今回大型案件が多かったからというわけではなく、都度パターンがあるため何とも言えないと思いますが、これくらいの水準は維持できるだろうということでしょうか?
黒木:先ほどお伝えしたとおり、3年目に入ったビジネスです。2年間やり続け、知見等も蓄えてきたことで、大型案件も決まりました。今期は5万件に増やすため、こつこつではありますが、上乗せしていっています。ここを継続できるように努力し、今後2倍、3倍となってくれれば、当社一番の主力に成長するビジネスだと考えています。
質疑応答:来店予約数について
質問者:来店予約数が、上期の1,583件に対し通期は2,000件となっています。こちらは保守的な予想なのでしょうか?
黒木:期初に増店数、新規開設する「マネードクタープレミア」店舗数を計算し、昨年度実績に掛け合わせた数字が2,000件でした。しかし、想定以上に好調であり、来店予約が既に前期を上回るかたちのため、当然通期に関しても当初予想を大きく上回る見込みです。
質疑応答:収益の季節性および営業利益率について
質問者:第1四半期と比較して、第2四半期は微減収、微減益ですが、季節性などはありますか? また、営業利益率は1.6ポイント下がっていますが、こちらの背景を教えてください。
黒木:第1四半期に年間の締め月である昨年11月に獲得した契約からの手数料収入が入っています。2,166名の営業社員もそこに向けて、1年間がんばってきました。社内表彰等、MDRT入会基準の判定もだいたいが11月締めであるため、そこにかなり注力している傾向があります。
黒木氏からのご挨拶
昨年9月22日に上場し、営業社員の採用、既存社員のモチベーション向上、そしてお客さまの信頼獲得のために努めてきました。上場からわずか10ヶ月ではありますが、効果を実感しています。
今後も株主さま、投資家さまの期待に誠実に応えられるよう肝に銘じ、引き続き加速度的な成長につなげていきますので、みなさまご支援のほどよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。