1.2 厚生年金の平均月額・年額

出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 男性:月額16万3380円・年額196万560円
  • 女性:月額10万4686円・年額125万6232円

全体:月額14万3965円・年額172万7580円

※国民年金部分を含む金額です。

グラフで見ると、男性のボリュームゾーンは「月額17万円以上18万円未満」、女性のボリュームゾーンは「月額9万円以上10万円未満」です。

男女で約6万円もの差がありますね。

女性は、結婚や出産、育児、介護などを理由に働き方が変わりやすいことが理由と考えられます。また、いまのシニア世代の方が現役の頃は、男女で基本給や昇格スピードに格差があったことも影響しているかもしれません。

現役時代の加入期間や給与・賞与などの報酬により受給額が決定する仕組み上、男女差だけでなく個人差が生じるのが厚生年金の特徴です。

年金受給額は、「ねんきんネット」や年に1回誕生月にご自宅へ郵送される「ねんきん定期便」でご確認ください。大まかな年金受給額を把握できます。

2. 【おひとりさま】毎月の支出(生活費)はいくら?

では「おひとりさま」の毎月の支出はいくらくらいなのでしょうか。

毎月の生活費が年金収入を上回れば赤字になってしまいます。赤字の分は貯蓄や私的年金などで補填しなければいけないため、収入(年金額)とあわせて支出を把握しておくことは重要です。

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の単身無職世帯の月の支出は非消費支出・消費支出を合わせて「15万5495円」です。

出所:総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」

【1カ月あたりの支出合計:15万5495円】
消費支出:14万3139円

  • 食料:3万7485円
  • 住居:1万2746円
  • 光熱・水道:1万4704円
  • 家具・家事用品:5956円
  • 被服及び履物:3150円
  • 保健医療:8128円
  • 交通・通信:1万4625円
  • 教養娯楽:1万4473円
  • その他:3万1872円(諸雑費・交際費など)

非消費支出:1万2356円

  • 直接税:6660円
  • 社会保険料:5625円

一方、実収入の平均は13万4915円です。内12万1496円が社会保障給付(公的年金など)となります。

収入13万4915円に対して支出が15万5495円ですので、毎月2万580円の赤字となります。

先ほど確認したおひとりさまの平均の年金受給額でも収支を計算してみましょう。

  • 国民年金の場合:月額5万6368円-支出15万5495円=▲9万9127円 赤字
  • 厚生年金の場合:月額14万3965円‐支出15万5495円=▲1万1530円 赤字

国民年金・厚生年金ともに、平均的な受給額で見てみると厚生年金をもらったとしても赤字ですね。

また、上記の生活費は持ち家が前提のようです。賃貸となるとさらに生活費が高くなる点にも留意しておきましょう。

毎月の生活費以外にも、医療費や、持ち家であれば自宅のメンテナンス費用など、何かとお金はかかります。年金収入ではカバーできない部分は多岐にわたると考えられますので、ギリギリではなく余裕をもたせた備えをしておきたいですね。