米国トランプ大統領が初のアジア歴訪へ
11月5日~14日にかけて米国のトランプ大統領がアジア諸国を訪問します。今年1月に就任したトランプ大統領にとっては初めてのアジア歴訪です。今回の日程は、
- 11月5日~7日:日本
- 11月7日~8日:韓国
- 11月8日~10日:中国
- 11月11日:ベトナム
- 11月12日:フィリピン
となっています(予定)。なお、トランプ大統領の日本到着日時はセキュリティ上の問題などから、正確なスケジュールは公表されていません。一部では4日に到着という噂もありますが、正確なものではないようです。
アジア歴訪の皮切りは日本、首都圏は厳重な警備に
米国大統領の来日期間は、滞在する東京都内はもちろんのこと、首都圏周辺を中心に警備が厳しくなります。都内では1週間前からコインロッカーが順次一時閉鎖され、来日前日からは様々な交通規制も敷かれます。
日本到着が3連休最終日になる見込みのため、行楽帰りの人々にも相応の影響が出るでしょう。東京都内の各駅や羽田空港を使用する計画がある方は注意が必要です。
さて、トランプ氏は過去に来日していますが、大統領としては初来日です。では、米国大統領(現職、以下同)の過去における日本訪問の頻度はどのくらいなのでしょうか?
終戦後29年が経って初めて実現した大統領の訪日
まず、やや意外な感がありますが、米国大統領の初来日は1974年11月18日~22日のフォード大統領でした。つまり、終戦以降29年間にわたって、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンの各大統領は日本を訪問しませんでした。
しかし、ニクソン大統領辞任を受けて急遽、副大統領から昇格したフォード大統領は、就任後わずか3カ月後に来日しました。これは異例の早さですが、ニクソン大統領時に訪日予定が立てられていたと見ていいかもしれません。
過去の米国大統領の訪日、クリントン氏の多さが目立つ
その後、米国大統領の来日は珍しくなくなりました。過去の来日は以下の通りです。
- フォード大統領:1回(1974年)
- カーター大統領:2回(1979年、1980年)
- レーガン大統領:2回(1983年、1986年)
- ブッシュ大統領(父):2回(1989年、1992年)
- クリントン大統領:5回(1993年、1996年、1998年、2000年に2回)
- ブッシュ大統領(息子):4回(2002年、2003年、2005年、2008年)
- オバマ大統領:4回(2009年、2010年、2014年、2016年)
なお、大統領の在任期間は、フォード氏が2年、カーター氏とブッシュ氏(父)が4年、その他は8年でした。
こうして見ると、米国大統領の訪日が決して珍しくなくなったのは、1990年代に入ってからということが分かります。また、在任期間を考慮しても、クリントン大統領の訪日回数の多さが目を引きます。
米国大統領が来日する目的とは?
米国大統領が訪日する場合、1)G7先進国首脳会議(サミット)が日本で開催、2)葬儀関連(昭和天皇、小渕首相、大平首相)、3)その他の3つのパターンがありますが、圧倒的に 3)の「その他」が多くなっています。そして、「その他」のほとんどの場合は、日本だけでなくアジア諸国も訪日しています(今回もそうです)。
米国大統領は超多忙です。テレビで報じられるトランプ大統領を見る限り、そのような印象は薄いですが、米国大統領は分刻みのスケジュールに追われる世界一多忙な国家元首と言えましょう。
その米国大統領が単に“首脳間の絆を強める”ために、貴重な時間を費やしてわざわざ日本を含むアジア諸国に来るとは考え難いのではないでしょうか。何か重要な連絡や相談がある、あるいはそのようなソフトなものではなく、“事前通告”とか“指令”があるのかもしれません。
今回のアジア歴訪は北朝鮮問題に関する重要連絡か?
今回、様々なメディアによれば、トランプ大統領のアジア歴訪の目的は、北朝鮮問題に関する関係各国との連携強化と報道されています。北朝鮮問題に関して、トランプ大統領が“ある種の決断”をして関係諸国に連絡・通告するのが目的と見るのは、窺った見方なのでしょうか。
おそらく、1年くらいすると、あのアジア歴訪の目的が判明するでしょうが、単なる懇親のためでないことは間違いありません。
LIMO編集部