おひとりさまの老後対策
50歳代のおひとりさまが老後対策をする場合、次の3つは最低限、意識しておきましょう。
- 保有資産の分割
- 年金の受給時期を調整
- 固定費の見直しと取り崩す資産の把握
それぞれのポイントについて解説します。
1. 保有資産の分割
今ある預貯金や資産を、外国通貨や外国建ての資産に分割して保有することを検討しましょう。
冒頭にも述べた通り、日本円は物価高の影響を受け、円安に推移する傾向にあります。
つまり、円の資産価値が目減りするリスクがあるため、他の通貨で購入できる資産を増やしておけば、リスクを分散させられるでしょう。
円以外の資産や通貨を保有して、リスクを分散させることを検討してみましょう。
2. 年金の受給時期を調整
公的年金は、一般的に65歳から受け取りますが、年金の受給を繰上げ、または繰下げて受け取ることができます。
- 繰上げ受給:65歳より前のタイミングで受給。年金額は65歳の受給時に比べ減少する
- 繰下げ受給:65歳より後のタイミングで受給。年金額は65歳の受給時に比べ増加する
65歳の時点で、年金をあてにする必要がないほど金融資産に余裕があれば、あえて年金を受け取らず、受け取り時期を繰下げて年金額を増やす手もあります。
家計の資産と負債の状況を見て、年金に頼る必要がなければ、年金の繰下げ受給も検討してください。
3. 固定費の見直しと取り崩す資産の把握
次に、家計の支出項目の中で固定費を見直すのも大切です。固定費は、光熱費や通信費をはじめ、保険料やサブスク代などがあります。
また、保有している金融資産を「いつから」「いくら」取り崩すかも検討していきましょう。
金融資産2000万円を65歳から30年にわたって取り崩す場合、年間で利用できる資産額は約66万円です。
月々にすると約5万円を取り崩せる計算になります。
保有資産を取り崩す計画をたてておけば、老後の生活で資産が寿命よりも前に尽きる心配はありません。
50歳代は老後の準備ができる最後のステージ
50歳代は、老後の準備ができる最後の段階となります。
老後の生活で使うべき金融資産が不足しているのか、負債が多くて生活面が圧迫される可能性があるのか、状況をしっかりと把握しておくことが重要でしょう。
特におひとりさまは、老後の生活で頼れる身内が限られる可能性が高いです。
そのため、自分の生活を自身で設計できるようにしておきましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
- 総務省「家計調査(家計収支編)」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融庁「投資の基本」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
川辺 拓也