3. 国民年金6万6000円の女性「5年繰下げて70歳から受給」が一番お得
では女性が60歳・65歳・70歳・75歳の各年齢で国民年金を受給開始する場合の、生涯年金受給額をまとめてみましょう。
今回のシミュレーションにおいては、最も高額な生涯年金受給額となるのは70歳から受給開始する場合という結果となりました。次いで高額なのが75歳から受給開始する場合です。
一方、最も少額なのは60歳から受給開始した場合で、70歳から受け取り開始する場合よりも約337万円少なくなります。また、65歳から受給開始する場合は、70歳開始の場合よりも200万円ほど少なくなるので、慎重に検討したいところです。
4. 繰下げ受給のデメリットに注意
前章のシミュレーション結果から、平均寿命まで生存する場合、繰下げ受給を選択した方がより高額な年金額を受給できる結果となりました。
しかし、繰下げ受給には次のようなデメリットもあるため、選択する際にはしっかりと理解したうえで決めることが大切です。
4.1 繰下げ受給の注意点1.社会保険料や税金の支払いが増える
年金を繰下げ受給することにより年金額が増額されますが、その分年金から天引きされる社会保険料(国民健康保険料や介護保険料)や税金(所得税や住民税)が高額になる可能性があります。
年金受給額が増えてもそれに伴い天引きされる金額も増えるため、期待していた通りの増額にはならないこともあるのです。
4.2 繰下げ受給の注意点2.長生きしなければ逆に損する可能性がある
繰下げ受給を選択した年齢から生存できる年数が少ないと、生涯で受け取れる年金額が逆に少なくなってしまい、繰下げた意味がなくなる可能性があります。
しかし、寿命については誰にも分らないことなので、「逆に損する可能性もある」というリスクを理解したうえで選択することが大切でしょう。
5. 年金の繰下げ受給のまとめ
年金の受給開始年齢は原則として65歳からですが、繰下げ受給や繰下げ受給を選択することで、60歳から75歳までの間で選べることになります。
受給開始年齢の選択の幅が広いことはメリットといえますが、何歳から受給開始するかで生涯で受給できる合計額が異なります。
また、年金額は寿命によっても生涯の合計額が大きく異なるため、「損するリスク」についても納得したうえで選択するようにしましょう。
参考資料
木内 菜穂子