2.4【年金の受給開始】 5年繰下げて70歳から受給する場合

5年繰下げて70歳から厚生年金を受給する場合、増額率は42%になるため、年金受給額は月額20万7000円となります。年額では248万4000円で、82歳まで12年間受給すると2980万8000円が受給できる予定です。

2.5 10年繰下げて75歳から受給する場合

65歳から10年繰下げて75歳から受給開始する場合、84%の増額率となるため、月額26万8000円が受給できることになります。年額では321万6000円で、82歳までの7年間受給すると2251万2000円が受給できる予定です。

3.厚生年金月額14万6000円は「70歳からの繰下げ受給」が一番お得

ではここまでの計算結果をまとめてみましょう。

出所:筆者作成

上表より、今回のシミュレーションにおいて最も高額な生涯年金受給額となっているのは70歳から受給開始した場合で、次いで高額なのが65歳から受給開始した場合です。

一方、最も少額なのは75歳から受給開始した場合で、70歳開始時よりも730万円程少なくなっていることがわかります。1回の受給額が高額でも受給年数が少ないともらえる年金も少なくなるようです。

また、60歳から受給開始する場合は、70歳開始の場合よりも50万円ほど少ないですが、それほど大きな差が生じていないといえます。

4. 厚生年金の繰り下げ受給のまとめ

厚生年金や国民年金の受給開始年齢は原則として65歳からですが、本人の希望により繰り上げて60歳から、繰下げて75歳まで選択することが可能です。

しかし、繰上げの際には減額が、繰下げの際には増額の調整が行われるため、慎重に検討することが大切です。

なお、今回はあくまでも平均寿命をもとに試算しましたが、実際の寿命は個人により異なるため、試算結果はひとつの目安として参考にしていただけますと幸いです。

参考資料

木内 菜穂子