2023年度の年金額は、前年度から引き上げとなりました。

公的年金の受給額が引き上げられるのは、実に3年ぶりとなっています。

たしかに受給額は増えましたが、ここ最近の物価上昇を考えると、少し物足りないと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

実は、年金受給額には大きな格差があります。

本記事では、いまのシニア世代の「国民年金」と「厚生年金」の受給額を、60~90歳の1歳刻みで見ていきます。老後に向けた資産形成の参考に、年金暮らしの実際の様子をながめていきましょう。

1.【国民年金・厚生年金】制度のおさらい

まずは簡単に、日本の公的年金制度の仕組みについて確認しておきましょう。

日本の公的年金制度は、「国民皆年金」です。20歳以上の全ての人が加入する「国民年金」と、公務員や会社員などが加入する「厚生年金」による、「2階建て」と呼ばれる構造になっています。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

国民年金のみに加入している人(自営業者などの第一号被保険者)は、毎月保険料を自分で納めます。

厚生年金や共済年金に加入している人(会社員や公務員などの第二号被保険者)は、毎月の保険料を会社と折半で負担し、保険料は毎月の給料から天引きされます。

専業主婦など扶養されている人(第三号被保険者)は「国民年金」に該当しますが、個人として保険料を負担する必要はありません。

老後には、受給要件を満たした全ての人が老齢基礎年金を、厚生年金などに加入していた人は、それに加えて老齢厚生年金などを受け取ることができます。

このように、公的年金制度は、現役世代の人たちが保険料を納め、その保険料を高齢者などへ年金として給付する仕組みとなっています。