2. 年収1500万円のパワーカップルの年金額とは?
年収1500万円のパワーカップルの場合、老齢年金がいくら受け取れるのか、次のモデルケースで計算してみましょう。
- 夫婦ともに会社員
- 国民年金は20歳から60歳まで納付済(免除期間無し)
- 厚生年金加入期間は22歳から60歳までの38年間(2003年4月以降の加入期間は15年)
- 平均年収:夫は800万円(標準報酬月額67万円)、妻は700万円(標準報酬月額58万円)
- 経過的加算および加給年金額はなし
夫婦で年金額がいくらになるのか計算してみましょう。
2.1 夫の厚生年金額
夫の場合、国民年金の納付期間は40年になるので、老齢基礎年金は満額で受給となり、受給額は毎月6万6250円です。
老齢厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式となります。
・2003年3月まで
67万円×7.125/1000×276ヶ月=131万7555円
・2003年4月以降
67万円×5.481/1000×180ヶ月=66万1009円
合計すると197万8564円となりました。
月額に換算すると16万4880円です。つまり老齢基礎年金と合計すると、年金額は23万1130円となります。
2.2 妻の厚生年金額
妻の場合も、夫と同じく老齢基礎年金は満額で受給できます。
老齢厚生年金の報酬比例部分は、以下の通りです。
・2003年3月まで
58万円×7.125/1000×276ヶ月=114万570円
・2003年4月以降
58万円×5.481/1000×180ヶ月=57万2217円
合計すると171万2787円となりました。
月額に換算すると14万2732円です。老齢基礎年金と合計すると、年金額は20万8982円となります。
夫婦の年金を合計すると、1ヵ月に受給できる年金額は約44万円となりました。今の収入と比べると、年金額はおよそ3分の1となります。
さらに、一般的に20代の年収は、700万円や800万円からスタートしません。
夫婦ともに、20代や30代の年収が低いため、想定よりも年金の受給額は少なくなるでしょう。
また、上記は厚生年金に加入している場合なので、フリーランスや自営業の場合は老齢基礎年金しか受け取れません。
以上から、世帯で1500万円のパワーカップルでも、老後の年金は3分の1以下に落ち込むことが予想されます。
では、老後の生活に必要な資金を確認してみましょう。
3. 老後の生活に必要な費用は?
生命保険文化センターが行った調査によると、夫婦2人で最低限の老後生活を送るなら、日常生活費は月額で平均23万2000円必要になります。
ゆとりある老後生活を送るなら、平均で37万9000円の資金が必要です。
現役生活の生活水準が他の世帯より高くなりやすいパワーカップルの場合、年金額に見合った生活ができるように生活水準を整える必要もあるでしょう。
4. パワーカップルでも老後の資産形成は重要なテーマ
年収1500万円のパワーカップルが将来的に受け取る年金額は、およそ現役時代の収入の3分の1以下になりました。
実際に老後になってから受け取れる年金額は、計算結果より少なくなる見通しです。
パワーカップルも、老後の生活を見据えた対策が必要になるでしょう。
生活資金を確保するだけでなく、どうやって支出を抑えられるかも含めて検討してください。
参考資料
- 厚生労働省「国民年金保険料の納付率」
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
- 公的財団法人 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
川辺 拓也