秋に入り、就職活動を控えた学生は企業研究などを進めている時期ではないでしょうか。

その就活の採用面接で必ずといっていいほど聞かれるのは、「最後に質問はありますか?」。この質問にはそれまでの面接内容を全てひっくり返すほどの破壊力があります。ここで採用担当者や面接官を感心させる質問ができれば、そこまでが今一つであっても挽回可能です。

逆に、それまでいい感じで面接が進んでいても、最後の質問が貧弱極まりなければ全てが台無しになることもあります。面接の最後では相手をうならせ、感心させる”キラークエスチョン”を繰り出さなければならないのです。今回はどのような質問が面接で効果的かを見ていきましょう。

その1:御社の歴史の中で最もインパクトがあった出来事は何でしょうか

就職活動を前に、学生はこれから受けようとする会社を真剣に研究します。ところが、歴史の長い会社になると、業績も大きく変化していたり、事業が多岐にわたることも多いので、学生からすると会社について質問する機会があっても、何を聞いたらよいか迷うということもあるでしょう。

その際には、「これまでいろいろあったかと思いますが、何が御社を一番変えるきっかけとなったのですか」という質問をするとよいでしょう。

この質問は、会社の基本的な知識があるという前提で質問をすれば相手に不快な思いをさせず、かつその会社について重要なポイントを簡潔に知ることができます。

質問を受ける側は、もちろん自分の会社のことですし、いろいろと情報がある中で「さて、どれが一番のポイントなのだろう」と考えます。もちろん、初めから答えを持っている場合もありますが、「一番」と言われると、誰しも一瞬考えるものです。

「で、君は何だと思う」という切り返しが来る可能性もあるので、そこは何かしら答えを用意しておく必要がありますが、かつての就活生の中には、この質問で面接が盛り上がる経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

その2:御社が5年後、一番稼いでいる事業はどの事業でしょうか

収益に関する質問は、面接中に既にしているだろうと思われるかもしれません。ところが、多くの場合、目先の状況や市場分析に終始しているものです。現状分析に関しては、当然ながらその企業に勤める人の方が詳しいでしょうし、面接で会社のことを聞けば、丁寧に教えてくれるはずです。

しかし、学生が本当に聞きたいのはその会社の将来のことではないでしょうか。東芝やシャープに起きたようなことは、誰もが事前に予想できることではありませんが、競合企業にシェアを奪われるなどして事業が不振になり、資金繰りがうまくいかなければ倒産してしまうこともあります。

将来の会社の姿に関しては、採用側も学生も情報量の差はそれほど大きくないと思われます。結果、この質問をされた面接官も一緒に考え込むことになります。その企業が既に業界No.1であれば、どのようにしてそのポジションを維持していくのか、また下位の企業であれば、どのように存在感を高めていくのかといった会話が展開されることでしょう。

面接官も1日に何人にも面接をし、採用に長い時間をかけます。一度でも面接をしたことがある人には理解されると思いますが、心のどこかで「面接にふさわしい面白い話をしてほしい」と願っているものです。

その3:御社の利益率を上昇させるためにはどうしたらよいでしょうか

上記の質問は将来の話でもあり、回答も大づかみなものになりがちです。しかし、この質問は採用担当者が自分の勤める会社の生み出す付加価値をどのように理解しているかを試すには絶好の質問です。

まず、自分の会社の利益率が頭に入っているかどうか、学生がチェックすることができます。また、利益率を改善させるためには、売上を構成する商品・サービスの内訳や、それぞれの利益率なども知っておく必要があります。さらに、製造業であれば原価、サービス業であれば人件費などを、どのように管理すればよいかなどというちょっと込み入った話にもなるはずです。

こうした方向に話を展開できれば、その企業の現在の考え方も理解できるでしょうし、何よりも採用担当者はその学生のビジネスマンとしての資質を評価することでしょう。企業は、最終的には利益を上げるために存在しています。その本質を突く質問はどんな業種でも評価されるはずです。

その4:(面接官に対し)あなたが入社して一番達成感があった出来事は何ですか

この手の質問は、採用担当者が学生に対して「大学に入って成し遂げたことについて教えてください」という形で質問されるパターンが多いですが、これと同じ質問を採用担当にぶつけるというものです。聞き方によっては上から目線となるので少しリスクがありますが、この質問によって様々な展開を期待できます。

まず、この質問を採用担当者が前向きに捉えてくれるケースは、何かを自慢したい人です。採用側も人間ですから自分のことを聞かれればうれしいですし、自分の成果を話してくれれば、面接が打ちとけた雰囲気になることは間違いないでしょう。

この質問への採用担当者の回答が貧弱だったり、聞かれてイラッとする採用担当者や面接官であれば、学生もそれまでの会社だなと割り切ることができます。学生も聞かれるばかりではなく、面接官の力量を測る質問をぶつけてみましょう。

その5:(面接官に対し)入社前後で思っていたのと違うと感じたことは何ですか

この質問は、回答をする方からすれば、ポジティブにもネガティブにも回答することができます。会社が好きな人や今の仕事に満足している人は、ポジティブに回答するでしょうし、不満なことが多い人はネガティブに回答するでしょう。回答を聞く学生は、まずはその点を見極めることができます。

加えて、この質問は、うまくいけば面接官の本音を引き出すこともできます。面接のかしこまった雰囲気では、採用したい側も採用されたい側もなかなか本音で話をできる場面は少ないかと思いますが、本音を引き出せた場合は有意義な時間を過ごすことができたと思えるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。1回の採用面接はせいぜい30分程度です。その中でどのように採用担当者にアピールできるかが勝負です。面接は筆記試験とは異なり、基本的にはコミュニケーション力が問われます。

人事担当者と比べてその企業や業界に関して情報量が少ない学生の最大の戦略は、相手にしゃべらせてこちらが面談の主導権を握ることです。そのためには、相手を考えさせる質問をしなければなりません。終わった後に話し疲れていなければ良い面接だったと、自分ばかりが話をして疲れた面接は今一つだったと言えるのではないでしょうか。

LIMO編集部