銀行員時代、毎月決まった日に通帳記帳にいらっしゃるお客様たちのことを思い出します。

聞けば「どんどんお金が貯まっているのが目で見てわかるから楽しいの」「これで今月も頑張れる」など理由は様々でした。しかし、共通しているのは目的(使い道)があって貯めているわけではないということ。

もちろんあるに越したことはないお金。目的があってもなくても、貯まっていくのはうれしいですよね。しかし、使う方はどうでしょう。元気に働いてお給料を頂いているうちは「ここまで」と決めずに、ついつい使いすぎてしまう方も多いのでは?

しかし収入が限られる老後は、計画的にお金を使わなくてはいけません。現役時代と比べて年金収入は大きく減ってしまうと考えておきましょう。

今回は、老後の収入のベースとなる年金について、月額どれくらい受け取れるのかをながめていきます。

1. 年金の仕組みをおさらい

まずは年金のしくみを確認しましょう。日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の「2階建て」です。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が加入対象となります。保険料は収入に関わらず一律となり、2023年度はひと月あたり1万6520円です。

20歳から60歳の40年間、保険料をすべて納付すれば満額が支給されます。未納期間がある場合には、その割合分が満額から差し引かれる仕組みです。

ちなみに2023年度の国民年金の受給額は満額で79万5000円(年額)、ひと月あたり6万6250円です。

一方、厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に一定時間勤める会社員や公務員などが対象となります。

保険料は毎月の給与や賞与によって異なります。老後は、国民年金に上乗せする形で厚生年金として支給されるため「手厚い」といわれることも。

仕組み上、国民年金と比べると手厚くなる厚生年金ですが、本当に手厚いといえるのでしょうか。いまのシニア世代の平均受給額に関するデータから、年金事情をのぞいてみましょう。