金融庁の金融審議会が「市場ワーキング・グループ」の報告書で、「老後30年間で約2000万円が不足する」という試算を発表したことから、「老後資金2000万円問題」として話題に上ることが多くなりました。

この「2000万円が不足する」という試算はあくまでもモデルケースでのものであり、実際には各世帯において状況が異なります。一方で、老後のための貯蓄が2000万円は必要というイメージも定着しつつあり、老後資金の準備を始めている方もいることでしょう。

仮に2000万円が必要だとすると、「もう少し余裕を持たせて3000万円の貯蓄があると安心」と感じる方もいるかもしれませんね。

この記事では、実際に70歳代で3000万円以上の貯蓄がある世帯はどのくらいの割合いるのか解説するとともに、貯蓄を切り崩さずに厚生年金と国民年金で生活費が足りているのかについても解説していきます。

1. 70歳代で「貯蓄3000万円以上」の世帯割合は約17%

70歳代で貯蓄が3000万円以上ある世帯の割合について、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」と「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」を元に見ていきましょう。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」をもとにLIMO編集部作成

上記調査では、70歳代で3000万円以上の貯蓄がある二人以上世帯は18.3%を占めており、70歳代の単身世帯の場合は16.1%を占めているという結果が出ています。

3000万円以上の貯蓄がある世帯割合は二人以上世帯の方が若干多いですが、平均すると17.2%の世帯が3000万円以上の貯蓄があることになります。