2.2 【夫(妻)が厚生年金、妻(夫)が国民年金を受給する世帯】
夫婦のいずれかが厚生年金を受給し、もう一方が国民年金を受給する世帯では、「厚生年金平均受給額 約14万6000円+国民年金平均受給額 約5万6000円」で約20万2000円の年金を受給できる計算です。
生活費が平均約22万4000円かかるため、約2万2000円の赤字になると考えられます。
2.3 【夫婦共に国民年金を受給する世帯】
夫婦共に国民年金を受給する世帯では、「国民年金平均受給額 約5万6000円×2人分」で約11万2000円の年金を受給する計算です。
平均生活費が約22万4000円であるため、毎月約11万2000円の赤字となる可能性があります。
2.4 【単身で厚生年金を受給する世帯】
単身世帯で厚生年金を受給する方は、厚生年金平均受給額が約14万6000円で、生活費が平均約13万2000円かかるため、約1万4000円の黒字となる計算です。
2.5 【単身で国民年金を受給する世帯】
単身世帯で国民年金を受給する方は、国民年金平均受給額が約5万6000円で、生活費が平均約13万2000円かかるため、約7万6000円の赤字となる可能性があります。
これらのシミュレーション結果から、国民年金を受給する世帯は年金だけでは生活費が不足することが考えられるため、できるだけ貯蓄額を増やしておく必要があるといえるでしょう。
3. 老後に備えて早くから備えを
70歳代で3000万円以上の貯蓄がある世帯割合は、二人以上世帯で18.3%、単身世帯では16.1%で、平均すると17.2%となります。また、70歳代の平均貯蓄額を見ると、貯蓄なしの世帯が23.5%を占めていることもあり、二人以上世帯で約1900万円、単身世帯で約1400万円となっています。
老後の生活費が年金だけで足りるかどうかについては、世帯構成や受給する年金の種類(厚生年金か国民年金か)によって異なります。シミュレーション結果から、国民年金のみを受給する世帯の場合、老後の生活費が不足する可能性が高いといえます。
年金で生活費を支払いきれない部分は貯蓄を切り崩す必要もあるため、できるだけ早い段階から老後資金の準備について検討すると良いでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
木内 菜穂子