1.1 70歳代「平均貯蓄額」は約1400万円~1900万円。中央値は?

では、70歳代世帯の平均貯蓄額はいくらくらいなのでしょうか。

同調査によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は1905万円ですが、より実態に近い中央値は800万円となっています。また、単身世帯の平均貯蓄額は1433万円ですが、中央値は485万円という結果です。

平均貯蓄額は高額な貯蓄のある世帯が数値を押し上げていることがあるため、実態に近い平均貯蓄額は中央値で判断する方が適しているでしょう。つまり、二人以上世帯の平均貯蓄額は800万円、単身世帯では約500万円といった具合です。

さらに、70歳代で貯蓄なしの世帯も存在しており、二人以上世帯では18.7%、単身世帯では28.3%と平均23.5%を占めています。

これらのことから、70歳代で3000万円以上の貯蓄がある世帯は経済的に恵まれている状況にあるといえるでしょう。

2. 厚生年金と国民年金で生活費は足りる?【世帯別】に確認

70歳代で貯蓄が3000万円以上ある世帯でも、老後の生活費の柱となるのはやはり厚生年金と国民年金でしょう。毎月の生活費は、年金だけで足りているのでしょうか。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は約14万6000円、国民年金の平均受給額は約5万6000円です。

また、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、65歳以上の世帯で1ヵ月にかかる生活費は、二人以上世帯で平均約22万4000円、単身世帯で平均約13万2000円です。

では、これらの平均年金受給額と生活費をもとに、世帯ごとに年金だけで生活費が足りるのかをシミュレーションしていきましょう。

なお、これから解説するシミュレーションはあくまでも平均額を基にしたものであり、実際には各世帯ごとに金額が異なることにご留意ください。

2.1 【夫婦ともに厚生年金を受給する世帯】

夫婦ともに厚生年金を受給する世帯では、「厚生年金平均受給額 約14万6000円×2人分」で約29万6000円が受給できる計算です。

二人以上世帯の平均生活費が約22万4000円なので、年金だけで毎月の生活費を支払える可能性があるといえます。