日経平均は11週ぶりに下落

2023年6月23日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比483円34銭安の3万2781円54銭となりました。前週まで10週連続で上昇していましたが、11週ぶりに下落しました。終値ベースで3万3000円を下回るのは6月12日以来です。

これまで商社や半導体関連銘柄が市場の急騰を牽引してきましたが、これらの銘柄を中心に売りが広がりました。6月末にかけては年金基金や上場投資信託(ETF)などがリバランス(資産の再配分)を行うため、株価指数先物などに利益確定の売りが出やすい局面です。現物株も売られました。ただし、東証プライムの売買代金は概算で4兆4312億円と、商い自体は活況でした。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比219ドル28セント安の3万3727ドル43セントで終えています。5日続落です。朝方に発表された6月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことから、景気悪化への懸念が広がり売られました。気になる利上げについても、米連邦準備理事会(FRB)高官から年内利上げに前向きな発言が相次いでおり、投資家の間に、金融引き締めが景気後退につながるとの懸念が高まっています。日本株も週初から下値圧力がかかりそうです。

ロシアでは民間軍事会社ワグネルによる反乱も起きました。現状は落ち着いていますが、地政学リスクは高まったままです。今後も突発的に相場が振られる可能性があるので注意が必要です。

気になるのは、円相場で円安・ドル高が続いていることです。23日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日続落し、前日比55銭円安・ドル高の1ドル=143円65~75銭で取引を終えています。FRB高官が利上げ継続に積極的な発言をしたことから円を売り、ドルを買う動きが続いています。円安・ドル高は、自動車・機械など、輸出関連銘柄にとっては追い風になりますが、エネルギー、食品など内需関連企業にとっては原材料の高騰につながります。日本でもインフレ傾向が続いており、景気後退のきっかけになることも想定されます。

高値圏で調整局面だが押し目買いも

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。力強い上昇トレンドが続いていましたが、先週は陰線が目立つ調整局面となりました。特に週末には大きく下げました。

今後の展開はどうなるでしょうか。長い陰線が出たことから気になるところではありますが、ここからつるべ落としのように下落する可能性は低いと考えられます。下値メドとしては心理的節目となりやすい3万2000円あたりでしょう。ちょうど25日移動平均線にも重なります。このあたりを割ってくるようであれば、短期的には下目線となりますが、これまで急騰していることから、エントリータイミングを図っていた投資家が押し目買いで入ってくる可能性のほうが高いと思われます。前週の押し安値である3万3000円あたりを回復するようであれば積極的に買いに回っていいでしょう。

ただし、長期間上昇が続いたことから高値圏でのもみ合いになることも想定されます。3万2500円~3万3500円くらいの間で小幅に上下する動きになるかもしれません。判断が難しければ、これらのもみ合いを抜けてから出動しても遅くはないでしょう。特に、直近の高値である6月19日の高値(3万3772円)を上抜けた場合は、視界も広がっており、上目線で参戦できます。

参考資料

下原 一晃