国民生活センターは2023年6月23日に「花火による子供のやけど」に関するデータとその対策を発表しました。同センターと消費者庁が運営する医療機関ネットワークの調べによると、2018年度から2022年度までの5年間で花火による事故の報告は60件寄せられており、その半数以上が1~3歳の幼児だったそうです。

【花火を安全に楽しむために】「燃えカス」もやけどの原因に

やけどの原因として6割を占めたのは「火花」です。当たった、足に落ちたという不意の接触によるものですが、なかには着衣に着火したという例も2件含まれていました。特に1~3歳の幼児は火に対する警戒心が低いため、触ったあるいは握ったという割合が他の年齢と比べて高かったようです。

出所:国民生活センター資料

また、意外と見落とされがちなのが「燃えカス」です。国民生活センターが実施した検証によると、落下や消化した花火の燃えカスもしばらくはやけどを負うほど高温であることが確認されました。表面の最高温度が70℃を下回ったのは、線香花火であっても花火が消えてから12~18秒、花火が落下してから6~12秒でした。

出所:国民生活センター資料

【花火を安全に楽しむために】国民生活センターのアドバイス

国民生活センターは安全に花火を楽しむために消費者に対して4つの対策を発表しています。

1. 3歳以下の子供に花火を持たせない

事故を起こさないためには、まずは3歳以下の子供に花火を持たせないことが重要です。またそれ以上の年齢の子供が遊ぶ場合には「互いに近づきすぎない」「大人の目の届く範囲で遊ぶ」ということを徹底しましょう。

2. やけどを負いやすくなる服装で遊ばない

夏ということもあり肌の露出が多くなりがちですが、火花が接触しやすくなるため、花火のときにはできるだけ避けるようにしましょう。また、裾の広がった服装も着火の原因となるため、注意が必要です。また、できるだけ風下に立たないようにする、風が強い場合は花火をしないなど、風にも配慮するようにしましょう。

3. 遊ぶ前には消火用の水を用意する

万が一、やけどを負った際、すぐに患部を冷やすことができるよう、花火で遊ぶ前には消火用の水を用意するようにしましょう。水道の近くで行うなら水道とつながったホースがあるとよいでしょう。また水以外の対策として、燃えている部分を地面に押し付けると消化しやすくなることも頭に入れておきましょう。

出所:国民生活センター資料

4. 燃えカスには触らない

花火が消えたらすぐに水につけましょう。また、温度が低いようにみえても燃えカスが低温になるには時間がかかります。むやみに触らないように注意しましょう。

【花火を安全に楽しむために】まずは大人が手本を見せる

ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家族や友人と集まって花火をする機会も限られていました。もしかすると初めて家庭用花火に触れる子供も多いでしょう。まずは大人が安全のための対策をしっかり認識して手本を見せ、夏の風物詩を存分に楽しみましょう。

参考資料

大蔵 大輔