2.【お金をふやすために】目的・目標金額によってふやす方法は違う
お金をふやすためには、その目的や目標金額に応じて適切な方法を選ぶ必要があります。
たとえば、「3年後の車購入に向けてあと100万円ふやしたい」と、これまで貯めてきたお金を全てリスクの高い運用商品に投資するのは危険です。
また、20年、30年先に訪れるセカンドライフに向けたお金を現金や低金利預金においておけば、物価上昇により資産を目減りさせてしまう可能性があります。
お金を適切な方法でふやしていくためには、「おすすめされたから」や「よくわからないから預金が一番」と安易に決めずに、目的・目標に合った方法をよく考えましょう。
2.1 近い将来に何かを購入する資金なら安全重視
2年後、3年後といった近い将来、何かを購入する資金であれば、定期預金が安心です。いまの日本は超低金利。預金だけでは大きく資産をふやすことはできません。とはいえ、数年後に必要となるお金を株式や投資信託など元本が変動するものに投資して、いざ必要になった時点で元本割れしていたら、予定していたものを買えなくなってしまいます。
いまの時代、銀行預金の金利上乗せキャンペーンなどを利用しても、1年で0.1~0.3%とほんのわずかな利息しかもらえません。100万円を1年間0.1%の定期預金に預けた場合の利息は税引き後約800円です。ふえないけれど、大きく減るリスクはないというところで、今回のケースに最も合致する方法といえるでしょう。
2.2 100万円ふやすと目標額だけ決めているなら少しリスクをとった運用
目的や期限は決めていないけれど「100万円ふやす」と目標額だけ決まっているなら、少しリスクをとって運用してみるのがよいでしょう。
500円~1000円程度の少額から投資できて、かつ利益が非課税になるNISAなら効率よく元本を積み上げながら預金では実現できない利回りを期待することができます。
ただし、元本割れのリスクがあるため、じっくり検討する必要があります。リスクといってもそのレベルは大小さまざまです。先ほどもふれましたが、現金や銀行預金にお金をおいているだけで資産が目減りしてしまいます。
100万円ふやしたいけれどとくに期限や使い道が決まっていないということであれば、元本を守り続けることより、ふやすことに重きをおいても良いのではないでしょうか。
2.3 20年後・30年後の老後生活に向けてお金をふやしたいなら私的年金も
老後に向けてお金をふやしていきたいならリスクをとった運用が有効かもしれません。ただし、老後にどういう形でそのお金を使うのかによって最適な方法は違ってきます。
たとえば、「毎月の年金収入が夫婦で20万円程度になりそうだから、月々2~3万円くらい補填していきたい」ということであれば、個人年金保険やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)が選択肢に上がってくると思います。また「年金系は企業型確定拠出年金(企業DC)で準備をしているので、突発的な大きな出費に備えておきたい」ということであれば、自身のリスク許容度に合った運用商品を選ぶと良いでしょう。
特に若い世代がそうですが、セカンドライフまで時間が長ければ長いほど、少ない金額でゆっくり資産を積み上げていくことができます。大きなリスクをとらなくても、時間をかけて安定的にふやしていけます。老後生活に向けて資産をふやしたいと思ったなら、早めにスタートしましょう。
3. 目標額や目的を明確にして効率よくふやそう
筆者は銀行員時代、「お金を少しでもふやしたい」という方をたくさん見てきました。「家を買うため」、「子どもの中学受験に備えて」、「あるに越したことがない」などその目的はさまざまでした。
目標額や目的が明確でない方とは、ゆっくりとお話をしながら目標金額を引き出していきます。やはり目指すべきものがあるのとないのとでは、「ふやす」という気持ちがあいまいになってしまうからです。
目標にたどり着くまでの過程を旅に例えることがありますが、まさしくそのとおり。「お金をふやす」についても、目標を定めて、そのために何が必要か、どうすれば効率よく目標を達成できるのかを考えてスタートを切りましょう。
参考資料
和田 直子