夏のボーナスが6月に支給されるという方も多いのではないでしょうか。
毎月の給与以外の収入は嬉しいものの、最近SNSでも話題になりやすいのが「額面と手取り」の違い。
額面はある程度まとまった金額になっても、実際の手取り額は驚くほど少ないというものです。
給与からは税金と社会保険料が天引きされるため、その負担は重く感じてしまいますね。
実は、公的年金からも税金と社会保険料が天引きされるのです。
手取りとの違いにガッカリするシニアもいる一方で、天引きされないという人も一定数います。
この違いはどこから生まれるのでしょうか。
1. 厚生年金と国民年金からも天引き!税金と社会保険料
厚生年金や国民年金から天引きされるお金は、主に次の5つです。
1.1 介護保険料
40歳以上の方はすでに介護保険料を「健康保険に含める形」で支払っています。これが65歳以上になると、単独で支払うことになります。
基本的に、介護保険料は年金から天引きされます。
介護状態になれば介護保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、一生涯支払い続けます。
1.2 国民健康保険料(税)
国民健康保険とは、協会けんぽや健康保険組合などの会社の保険に加入していない75歳未満の方が加入する公的健康保険です。
65歳から74歳までの世帯の場合、原則として、国民健康保険の保険料(税)も年金から天引きされます。
1.3 後期高齢者医療制度の保険料
75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」という健康保険に加入します。
こちらの保険料も、原則として年金天引きで納めます。
※国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。
1.4 所得税と復興特別所得税
公的年金額が一定以上となれば所得税が課税されます。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
所得税及び復興特別所得税は、年金より源泉徴収されます。
1.5 個人住民税
前年中の所得に対し、住民税が課税されます。この住民税についても、基本的には年金からの天引きで納めます。
以上が年金から天引きされるお金です。では逆に、天引きされない人はどのような人なのでしょうか。
2. 厚生年金と国民年金から「天引き」されない人も
年金から税金や社会保険料が天引きされるには、それぞれ条件があります。それらを満たさない場合、年金から天引きされません。
2.1 介護保険料が天引きされない人
介護保険料は、以下に該当すると年金から天引きされずに普通徴収となります。
- 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
- 年度途中で保険料が減額・増額になった人
- 年金の受給開始年度
その他、年金現況届の提出を忘れたとき等も天引きが止められるケースがあります。
2.3 国民健康保険料(税)が天引きされない人
国民健康保険料(税)も同様に、以下の場合は年金から天引きされずに普通徴収となります。
- 世帯主が国民健康保険に加入していない
- 世帯の国保加入者に65歳未満の人がいる
- 老齢基礎年金等の年金額が年額18万円未満である
- 世帯主の介護保険料が特別徴収(年金天引き)されていない
- 国民健康保険料(税)と介護保険料の合計額が、年金額の2分の1を超えている
注意したいのは、国民健康保険は世帯単位で加入するという点です。例えば世帯主が会社の保険に加入し、家族が国民健康保険に加入しているというケースでは、擬制世帯主となります。
世帯の国保加入者に65歳未満の人がいる場合は、年金天引きの対象となりません。
2.3 後期高齢者医療制度の保険料が天引きされない人
後期高齢者医療制度の保険料についても、以下の場合は年金から天引きされずに普通徴収となります。
- 老齢基礎年金等の年金額が年額18万円未満である
- 介護保険料と後期高齢者医療保険料の合計額が、年金額の2分の1を超えている
- 介護保険料が特別徴収(年金天引き)されていない
- 年度の途中で加入した(75歳となった)
- 年度の途中で保険料が減額となった
これらの保険料に関しては、たとえ年金から天引きされなくても納付義務がなくなることはありません。
納付書や口座振替等によって、支払う必要があります。
2.4 所得税および復興特別所得税が天引きされない人
税金の場合、そもそも年金所得が一定額に満たず、所得税および復興特別所得税が課税されない方もいます。
この場合は、もちろん年金から天引きされることがありません。65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以上が課税の目安となります。
なお、遺族年金や障害年金も非課税となるため、所得税等はかかりません。
2.5 個人住民税が天引きされない人
同様に個人住民税に関しても、非課税の場合は天引きされません。非課税になる所得目安は自治体によって異なります。
そのほか、下記の場合は年金から天引きされずに普通徴収となります。
- 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
- 介護保険料が公的年金から天引きされない
- 天引きする税額が老齢基礎年金等の年額を超える
また、天引きされるのは公的年金の雑所得にかかる税額のみとなるため、その他の所得に対する税額は天引きされません。
自治体によっては、年金天引き(特別徴収)から普通徴収に変更できるところもあります。さらに、年金天引きの条件は自治体によって異なることがあります。
くわしくはお住まいの自治体窓口にご確認ください。