米株高、円安・ドル高を受けて日経平均は高値圏へ
2017年9月29日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より6円83銭安の20,356円28銭となりました。年初来高値圏にあることに加えて、為替の円安進行が一服したことから利益確定売りが出ました。
ただ、米経済指標が好調なことや連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を進めると観測されていることなどから、米長期金利は高止まり傾向にあります。29日のニューヨーク外国為替市場でも円が売られ、ドルが買われる動きとなり、前日比15銭円安・ドル高の1ドル=112円45~55銭で取引を終えました。
米国株は依然として好調です。29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、終値は前日比23ドル89セント高の22,405ドル09セントとなっています。トランプ米政権が示した税制改革案への期待も上昇を後押ししています。
来週以降の動きはどうなるでしょうか。大きなトピックは、まず衆議院の解散・総選挙です。安倍晋三首相は28日午後に衆院を解散しました。10月10日に公示、22日に投開票が行われます。
当初、自民党が大勝するという見方が中心でしたが、小池百合子東京都知事が率いる新党「希望の党」に民進党が合流することで、自民党の獲得議席が減少すると予測する声も出てきました。安倍政権はこれまでアベノミクスにより円安・株高へとリードしてきたため、これが持続できなければ円が買われることになります。
相場の世界では「解散・総選挙は買い」と言われます。過去の衆院解散日から投票日までの日経平均の推移を見ると、ほとんどが上昇となっています。むろん、その背景には「政権基盤が安定するならば」という条件が付きます。連立与党が過半数の議席を獲得したとしても、その割合によっては自民党内でポスト安倍争いが起きそうです。
来週初あたりからマスコミ各社による有権者の意識調査などが出てくるでしょう。結果によっては株式市場に影響があるため注意が必要です。
一度も2万円を割り込まず、定着を感じさせる
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。今週は高値圏でもみ合う、小幅な値動きとなりました。
週初25日から27日にかけては、窓をあけて下落、さらにいずれも陰線になるという動きが懸念されました。ただ、この動きは27日の配当権利落ちに向けたものと言え、その影響を差し引けば、27日は実質的には上昇と考えられます。実際に、翌28日は窓をあけて上昇し、29日も陽線となりました。
今週は、終値だけでなく安値でも、一度も2万円を割り込んでいないところに2万円台定着を感じさせます。
25日移動平均線と75日移動平均線のゴールデンクロス形成か
今後の動きはどうなるでしょうか。2万円台定着の確認としては、先週の下値である22日の安値(20,249円)、今週の下値の27日の安値(20,213円)をキープできるかどうかがポイントになります。このあたりは、6月上旬~7月上旬の上値抵抗線に重なっています。つまり、ここを維持できれば、下値支持線になるからです。
チャートの形は徐々によくなっています。75日移動平均線、25日移動平均線がいずれも上向きに転じていることに加えて、25日移動平均線が75日移動平均線に下から近づいています。
このままのペースで行けば、来週中にこの2本の移動平均線によるゴールデンクロスが形成されそうです。目線を上に持つと、目立った節は少なく視界が広がっているため楽しみです。
一方で、急上昇に対する一服で来週に若干の調整が起こることも考えられます。直近では20,200円あたりまでの小幅なもみ合いになるかもしれません。さらに9月19日の窓埋めの動きになる可能性もあります。ただし、その場合でも19,900円あたりまでは押し目を狙っていいと思います。
下原 一晃