2023年6月14日に発表された、株式会社pluszero 2023年10月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社pluszero 代表取締役会長兼CEO 小代義行 氏
pluszeroは「第4世代AI」カンパニー
小代義行氏:みなさま、こんにちは。pluszero代表の小代でございます。本日は、2023年10月期第2四半期の決算説明をご報告したいと思います。よろしくお願いします。
pluszeroの自己定義は、スライドにあるように「第4世代AIカンパニー」です。「零」の発見によって、古代インドの数学が爆発的に進化したのと同様に、現代で世紀の大発見と世界的革新を起こしたいという意味を込めて「pluszero」と銘打っています。
私たちは、人間のように意味を理解できるAIを「零」として扱い、世界でイノベーションを先導したいと思っています。人間のように意味を理解できるAIは、「ChatGPT」をはじめ、大規模言語モデルが非常に隆盛ですが、その中で私たちの「AEI」を「ChatGPT」とも組み合わせ、より高い価値を発揮できるように事業運営していきます。
2023年10月期2Q発表要旨
みなさまにご理解いただきたいことが3点あります。
1点目は、売上・各段階利益とも計画どおりに進捗していることです。pluszero自体はまだ若い会社ですが、創業以来、計画未達の年はありません。今期も第2四半期終了時点で計画どおりに進捗しており、年度全体の見通しとしても、自信を持って事業運営に励んでいます。
2点目は、「AEI」についてチャレンジングなロードマップを発表していますが、そのとおりに進捗していることです。「AEI」自体は私たち単独ではなく、各分野で提携パートナーがいるため、進捗は提携パートナーごとに大きく異なりますが、概ね順調に進んでいます。
3点目は、最近、世間で騒がれている信託型のストックオプションの影響についてです。pluszeroが発行しているストックオプションは、すべて税制適格ストックオプションであり、信託型のストックオプションは一切発行していないため、その影響はありません。
2023年10月期2Q累積ハイライト
累積のハイライトです。スライドの左半分は累積進捗率ですが、売上45.3パーセント、営業利益48.3パーセントで予想どおりの着地となっています。第2四半期の計画値自体は44.8パーセントのため、進捗率の45.3パーセントはそれを上回る数字です。営業利益に関しても、第2四半期の計画は37.9パーセントでしたので、進捗率48.3パーセントは大きく上回った結果となります。
スライドの右側は累積の前年対比です。第1四半期にもお伝えしたのですが、前期の第1四半期に発生した大型補助金案件の影響が今期の第2四半期にも出ています。ただし、売上に関しては、前年同期比13パーセントと、だんだんと吸収してきています。営業利益は前年と同等で、この第1四半期・第2四半期で大型補助金案件の影響を乗り越え、前年に比べて成長軌道に入ってきているとご理解ください。
2023年10月期2Q累積進捗率ハイライト
累積の進捗率のハイライトです。売上高は、私たちの現時点でのメイン事業である「ソリューション提供」と、新しい世界的なイノベーションのチャレンジである「AEI関連」の2つに分けています。
全体としては、先ほどお伝えしたように順調に推移しています。特にメインのソリューション提供は、前期は48パーセントの進捗率でしたが、この第2四半期は同等以上で推移しています。また、AEI関連は、通期では目標比で62.4パーセントの売上を契約締結済みとなっており、下半期で残りの受注を目指す考えです。
売上総利益に関して、みなさまにご理解いただきたいことは、現時点での売上総利益率が60パーセントであり、通期目標が58パーセントのため高水準で進捗しているという点です。営業利益も同様で、通期目標が18パーセントのため、今期は第2四半期までで19パーセントと上回っています。
AEI関連売上の進捗
AEI関連の売上について、スライド中央に前期の数字を記載しましたが、大型補助金案件の影響で、前期は第1四半期で64パーセント、第2四半期で5.6パーセントと大幅に第1四半期に偏りました。一方、今期は第1四半期と第2四半期の合計で24.5パーセントとなっています。
また、先ほどお伝えしたとおり、契約締結済の売上が62.4パーセントとなっており、ここには第3四半期と第4四半期で売り上げ予定のものも含まれています。下半期で残り38パーセントの新規の積み上げが必要となるため、既存のパートナー4社と追加のプロジェクトの話を進めています。加えて、提携パートナー候補の5社と新規プロジェクトについて商談中であり、下半期で38パーセントの新規売上を積み上げることは十分可能だと思っています。
中期経営目標達成に向けたAEIの技術ロードマップの進捗
「AEI」に関してはロードマップを掲げているため、それに沿って具体的にご報告します。まず、主な自動化対象として、今期のテーマは「問合せの一次受付」です。こちらの技術課題は概ねクリアしており、サービスの部分的開始が準備段階に入っています。「アクションの自動実行」と「初期導入の円滑化」が来期・再来期の課題ですが、こちらについても本格的に着手済みで、準備が着々と進んでいます。
既存業務提携先の4社中、今期は3社が大きく進捗しています。そして、1社が今までの成果をエンドユーザーへ展開しようとしている段階です。また、来期に提携パートナー数を5社から10社に増やそうと考え、新規業務提携候補の5社とは今期の下半期の段階から営業活動や提携準備の活動を本格化しています。来期以降の構想の構築や、具体的なプロジェクト設計を実施している状況です。
そのような意味では、「AEI」に関してはロードマップに従って、今期はもちろんのこと、来期・再来期に向けても順調に活動できています。
業務提携:アビスト社と生成AI+AEIで目指す製造業の生産性・品質向上
アビスト社との業務提携では、生成AIと「AEI」を組み合わせて、製造業の生産性・品質向上を図っています。対象となる製造業における工程には、大きく分けると「設計工程」と、その設計した内容をテストする「テスト工程」の2つがあります。
スライドの図の色には大きな意味があり、設計工程・テスト工程の下にある紺色の矢印は人間が行っている部分です。オレンジの矢印は「AEI」が行っている部分で、赤色の矢印は生成AIが行っている部分です。現状では、人間がCADデータや図面の設計を行い、そのテストも人間が行っています。
そこで、第一段階として、「AEI」を導入することでテスト工程を自動化します。製造業界の各社はそれぞれ品質に関するチェック項目を持っていますが、誰がテストに臨んでも個人の知識に依存しないよう、テスト項目の記述を標準化することが目標です。この標準化の技術については、単体でもツールとして提供する予定です。
テスト項目の記述の一つひとつ、例えばCADデータや図面の中のどこに対応するかといったことを「AEI」が正確に理解します。その上で、それらのデータを用いて、「AEI」が自動的にテストを行います。
さらに、「AEI」によるテストの自動化が前提ですが、その次の段階として、生成AIと組み合わせることで、テストに適合する初期案の自動生成も実現させます。つまり、テストの自動化が高いレベルであればあるほど、そのテストに適合したかたちで設計工程の初期案を生成することができるため、生産性を大きく向上させることができます。
もちろん初期案ができた後も、人間が洗練・改善させなくてはなりませんが、設計工程における生産性を大きく向上させ、その後のテスト工程も「AEI」単体で効率化できるため、設計工程とテスト工程全般にわたって生産性を高めることができます。
自動テスト以外の必要な部分についてもしっかりテストを行ったり、AIと人間のダブルチェック、場合によってはトリプルチェックを行ったりすることで、製造業の生産性と品質向上を実現させます。自動テストについては部分的に実用化しており、今後、このあたりの成果を順次発表していく予定です。
全社売上高・ソリューション提供売上高の進捗
全社と、「AEI」以外の部分であるソリューション提供の売上高の進捗です。全社については先ほどお伝えしたとおり、第2四半期までで45.3パーセントです。
大型補助金案件の影響を除くと、前年でも標準的な43.3パーセントで、前々年も45.3パーセントでしたので、月単位ベースで成長速度がどんどん加速しています。過去においても、第3四半期・第4四半期と積み上げていく中で、進捗率のペースが上がっており、そのペースですべての計画を達成しています。
ソリューション提供については、2年前の第2四半期までの進捗が45.3パーセント、昨年が47.8パーセント、今年は48.3パーセントとなっており、メイン事業はこれまで以上に加速しています。それを踏まえて、世界的なイノベーションである「AEI」への投資も両立させながら、全社としても計画以上の進捗率を達成できているのが全体概況です。
四半期会計期間別業績推移
こちらのスライドでは、売上・売上総利益・営業利益の3つの要素ごとに見た四半期単位のトレンドです。
売上については、昨年の第1四半期の大型補助金案件を棒グラフの赤色の部分で示しましたが、この特殊な状況を除けば四半期単位でしっかりと成長しています。第2四半期に関しては、特殊要因を入れた昨年の第1四半期よりもしっかり伸びているため、時を経るごとに成長が加速しているとご理解ください。
売上総利益については、売上総利益率58パーセントを目標としていましたが、折れ線グラフを見ていただくとわかるとおり、実績値としてはどの四半期も目標達成ラインを上回っています。そのような流れの中で、売上総利益そのものが上昇トレンドになっているとご理解ください。
営業利益については、折れ線グラフで見ると少しガタガタしていますが、第1四半期で22パーセントと目標達成ラインを上回っています。第2四半期は16パーセントで、目標達成ライン付近です。累積では先ほどお伝えしたとおり19パーセントですので、営業利益率も目標達成しながら、全体としても成長しています。
ソリューション提供売上高の四半期毎推移
ソリューション提供、つまり「AEI」を除くメインの事業に関しては、四半期単位で前年同期比21.6パーセント増と成長しています。
ソリューション提供売上の月次季節性
売上の季節性についてです。今期も例に漏れず、3月に3月決算のお客さまの需要を取り込んだ一方、4月・5月については3月と差がついています。
スライドの青い棒グラフ、つまり4月・5月の数字だけを見ると、右肩上がりで伸びていることがわかるかと思いますが、前月と比べると、どうしても季節性が出てしまっています。今後、このような状況は避けたいと考えており、4月・5月をへこませず、変わらないペースで数字を積み上げていけるように、具体的な対策を打っていこうと考えています。
2023年10月期第2四半期累積PL
累積のPLです。スライド左半分の累積数字では、売上高・売上総利益・営業利益いずれのベースでも、第1四半期・第2四半期と積み重ねる中で、特集要因の影響はほとんど吸収できています。
右側は特殊要因を除いた数字となっており、こちらが示すように極端に良い数字になっています。全体としては順調に成長できているとご理解ください。
2023年10月期2Q累積純利益と2022年10期2Q累積純利益の比較
前期の第2四半期の累積純利益は9,400万円でした。そこから、今期の純利益がどのような要素によって変動しているかをご説明します。第1四半期でご説明した内容と同様ですが、スライドの紺色の枠で囲まれた部分に示したのが、3つの大きな特殊要因です。
1つは、法人税等調整額の一時的なマイナスによって、利益が1,500万円下がっています。
2つ目は、2022年10月期の有価証券の売却益です。ソリューションを提供したお客さまから報酬の一部を株式で受け取っていたのですが、そのお客さまから「有利な条件で買い取ってほしい」という要望がありました。そちらに応じたことによって、特殊要因としてマイナス2,000万円の特別利益が発生しました。
3つ目は、第1四半期の大型補助金案件によるものです。この3つをトータルすると、特殊要因として7,900万円の利益がマイナスになっています。
次に、スライド右半分をご覧ください。オレンジ色の部分でしっかりと売上を伸ばしていくことにより、売上総利益が増加し、プラス6,000万円となりました。また、一部費用が増加したことによって、2,300万円のマイナスになりましたが、累積の純利益としては5,200万円で着地しています。
多様なソリューション提供による収益の継続的成長
ここからは、第2四半期までの数字を一部アップデートした部分だけを抜粋してご説明します。こちらのスライドでは、全体のお客さまの社数の中で、継続的な取引をしているお客さまの社数や割合がどのようになっているのかを合わせた数字を示しています。
私たちは、1年間にわたって四半期それぞれごとに継続して売上を上げたお客さまのことを「継続的なお客さま」と定義しています。全社売上に占める継続的な顧客の割合を第2四半期で見てみると、56パーセントになっています。
今、新規営業を強化しているため、新しいお客さまの数が増えてきていることから、相対的に継続的なお客さまのパーセンテージは若干落ちてきています。ただし、新規開拓は事業規模を拡大していく上での必須ポイントです。新しいお客さまにしっかりとアプローチすることで満足度を獲得し、新しく獲得したお客さまが来期以降の継続的なお客さまになっていくことを全社を挙げて目指すことが大切だと思っています。
スライドの右半分に関しては、継続的なお客さまからの売上が維持・向上した割合を示しており、8割弱という数字になっています。1度でもpluszeroと接点を持ったお客さまにはご満足いただいており、取引がその後も継続・向上していく割合が高いとご理解ください。
取引先社数・1社当たり売上の推移
取引先社数と1社当たりの売上の推移です。第1四半期までに発表したものが若干わかりにくかったため、よりわかりやすいかたちに更新しました。
スライドの黒い棒グラフが取引社数で、グレーの棒グラフがプロジェクト数です。創業以来の1期からの累積で、どのようなかたちで取引社数や取引プロジェクト数が増えているのかを棒グラフで表しています。その中で、1社当たりの売上がどのように積み上がってきたかを、オレンジ色の折れ線グラフで表しています。
先ほどお伝えしたとおり、今期に関しては第1四半期・第2四半期で新規のお客さまの数が増えてきています。そのため、1社当たりの売上成長が一時的に鈍化しているように見えますが、全体としてのカスタマーベースは厚みを増してきています。その流れの中で、中長期的な関係は強化されているとご理解ください。
多様な顧客に対するソリューション提供
こちらのスライドでは、全体としてのお客さまのセグメントを示しています。アップデートしていますが、大きな変化はありません。
稼働人月・人月単価推移
稼働人月・人月単価推移についてです。こちらは投資家のみなさまからのご要望を踏まえて、第1四半期までの発表から見せ方を若干変えました。
具体的には、スライドの実線の折れ線グラフが、全人員を合わせた稼働人月の合計を表しており、棒グラフが人月単価を表しています。そして、人月単価を計算するときに使っている稼働人月を今回新たに追加し、点線の折れ線グラフで示しました。
採用に関しても順調に進んでいて、折れ線グラフの数字自体は右肩上がりで推移しています。単価に関しては、新規顧客が増加したことや、お付き合いが長いお客さまが一部、サービスの運用・保守段階になっている影響もあり、単価自体は少し下がってきています。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標と考え方
全体のKPIに関するサマリーです。大部分については、すでにご説明したとおりです。
「AEI」の売上に関しては、もともと第1四半期・第2四半期の立ち上がりが緩やかで、第3四半期・第4四半期にしっかりとプロジェクトが動いていく計画でした。そのため、数字としては悪く見えますが、内容的には極めて順調に推移しています。
優秀な若手が数多く在籍する会社
人材のポートフォリオという意味で、こちらのスライドの数字もアップデートしていますが、体制は大きく変化していません。
2023年10月期第2四半期 貸借対照表
BSもアップデートしていますが、前期末と比較して大きな変化はありません。今回の業績発表に関連する情報のアップデートは以上になります。みなさま、今後ともよろしくお願いします。