株式投資を始めるのに最適な季節があると言われたら、皆さんはどのように思うでしょうか。株式投資は果物や野菜ではあるまいし、「旬」のようなタイミングがあるわけないだろう、とお考えの方もいるかと思います。
しかし、資本市場のデータを分析すると、1年間を通じて見たときにはリターンを得る可能性が高いタイミングがあるようです。
今回は資本市場の動向を研究し、実際の資産運用なども手掛けてきた関西学院大学 経営戦略研究科の岡田克彦教授にお話を伺いました。
ハロウィーン効果とは
「ハロウィーン効果」という言葉をご存じでしょうか。株式投資をしたことがある方なら、耳にされたことがあるかもしれません。
ハロウィーン効果とは、11月から翌年5月までの投資リターンが高いことを指して言います。ハロウィーン効果は株式市場で「アノマリー」と呼ばれるものの一つで、理論的には説明できないが実際そうなることが多い事象のことです。
ハロウィーン効果を見込んで投資に取り組もうという場合、ハロウィーンの時期である10月末にTOPIXのインデックスファンドを購入し、6か月後に売却し、5月から10月の半年間は何もしないでじっとしているという手もあるというわけです。
投資に最適なタイミングはいつか
このハロウィーン効果は、日本株でも見られる現象なのでしょうか。
岡田教授によれば、6か月間の保有を前提とすると、過去のTOPIXの株価指数を分析する中では「ベストの購入月は11月」だとしています。
岡田教授はこう付け加えます。
「6か月間の保有を前提として、さらに細かく日単位で見ると、『11月14日』がベストの投資開始日ということになります」
今年(2017年)の11月14日は平日、火曜日です。この事実を知らなければ何の気なしに過ごしてしまいそうですが、よく見ると「いい投資の日」と読めます。
では、米国の株式市場ではどうなのでしょうか。
「ハロウィーン効果と呼ばれるくらいなので、米国でもその効果は顕著です」と岡田教授は言います。また、ハロウィーン効果は日本や米国だけではなく、北半球のその他の国でも見られるのだそうです。
なぜハロウィーン効果が起きるのか-発生の背景とは
ではなぜ、ハロウィーン効果のような株価に関する季節性が見られるのでしょうか。
その背景を説明するものの一つとして、日照時間の長さと株式投資におけるリターンの季節性の関係に着目する研究もあると岡田教授は言います。これは「SAD(サッド)効果」と呼ばれています。
SAD効果では、日照時間が短くなる季節には人が精神的に落ち込む傾向があるとされ、悲観的になった状況では株式投資にもリスクプレミアムを求め、株価が下落しやすくなるという指摘があります。
ちなみに、SADとは「Seasonal Affective Disorder(シーゾナル・アフェクティブ・ディスオーダー)」の略です。
季節性に着目した投資術とは
では、こうしたアノマリーが存在するとして、投資家はどのような行動を取ればよいのでしょうか。
岡田教授によると、「投資期間を1年とすると、これまでお話ししてきたように、ハロウィーンや11月近辺の秋にTOPIXなどのインデックスへの投資をスタートし、6か月運用して、その後の半年はお休みする投資戦略が有効な可能性は高いでしょう」ということです。
「ただし」と、岡田教授は付け加えます。
「株式市場のデータをさらに細かく分析していくと、半年も運用をお休みする必要はないと考えています。AIなどを活用し、個別銘柄ごとに大量のデータの中から株価動向を分析していくことで固有のパターンが見いだせることがあります。そのようなケースでは、必ずしもハロウィーン効果のような時期でなくとも株価が上昇する銘柄があります。そうした銘柄を組み合わせて運用すれば、1年を通じて超過収益を手にすることは可能です」
まとめにかえて-これから投資を始める人へ
いかがでしたでしょうか。ハロウィーンから11月にかけて、統計上で株式投資に最適な季節がやってきます。株式投資初心者の方、また、まだこれからという方は、株式市場のアノマリーを上手に活用して投資に取り組んでみてはいかがでしょうか。
LIMO編集部