3.【厚生年金】「月額20万円未満」は何%か?

さきほどの資料から、厚生年金受給者のうち「老齢年金が20万円未満」の割合がどのくらいかを確認してみましょう。

厚生年金の受給者は1618万445人です。このうち老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)が20万円未満という方は1367万8851人でした。

全体の84.5%が「20万未満」となり、厚生年金で月20万円を受け取ることは難しいようです。いまのシニア世代の方たちが現役の頃は、女性は結婚や出産、介護などを機に家庭に入るケースが多かったため、厚生年金受給額に男女差が見られます。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

まず、平均年金月額は男性16万3380円、女性10万4686円と約6万円の男女差が確認できました。厚生年金が「20万円未満」の方は女性で約99%、男性で約72%。女性で厚生年金をひと月20万円以上受け取っている方は1%とほんのひと握りです。

毎月20万円に満たない収入で生活をやりくりするのは決して簡単ではないでしょう。持家か賃貸かといった固定費の大小や、生活水準によっても感じ方が違ってくると思いますが、ゆとりある老後を目指すには、年金以外の収入源や取り崩す資産を準備しておきたいですね。

4. 年金にたよらない資産づくりを

老後の収入源となる年金について「20万円」を目安に確認してきました。年金をひと月あたり20万円もらえない方が大半という結果に驚いたという方は少なくないでしょう。

厚生年金の平均月額は14万円台でしたが、男女別でみると大きな差もありました。このように厚生年金は個人差が出やすい仕組みのため、自分がいくらくらい受け取れるのかを確認しておくことが重要です。

確認方法としては、毎年送付される「ねんきん定期便」やいつでも確認ができる「ねんきんネット」を活用するのが良いでしょう。

足りないと感じた場合には準備や対策が必要です。働くシニアが増えていますから、労働収入を考えるのも良いですし、貯蓄など取り崩す資産を準備するのも対策です。

例えば、iDeCoやつみたてNISAなど積立型の資産運用が注目を集めています。もちろんリスクもありますが、低金利の日本では魅力的なリターンも望めます。

どのような対策が良いかは人それぞれ異なりますが、準備は早いうちから始めるのが成功のポイントです。長い老後生活が待っていますから、しっかりと準備をしてお金には困らないようにしたいですね。

参考資料

徳原 龍裕