昨年から続く物価高によって、身近なモノの値上げが止まりません。さらに、6月から電気代で30%を超える値上げが実施される地域もあるようで、家計の圧迫が続いています。
このような生活必需品の値上げはどの世帯にとっても痛手ですが、とくに収入の増加が見込めない年金生活者にとって、その影響は甚大です。
いまのシニアの方たちは、いったいどれくらいの年金収入で毎月やりくりしているのでしょうか。今回は老後の収入源となる、厚生年金について受給額を中心に深堀していきたいと思います。
1. 日本の公的年金の仕組み
まずは年金の仕組みから簡単におさらいしていきましょう。
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」から成り立っており、2階建ての制度が採用されています。
1階にあたるのが、日本に住む20~60歳未満の方が原則加入する「国民年金」、2階部分が会社員や公務員などが加入する「厚生年金」です。厚生年金は国民年金に上乗せする形で加入することになります。
国民年金は保険料が一律です。20歳以上の国民年金に加入する人は、学生でも自営業やフリーランスで所得がある人でも同じ保険料を納めることになります。一方、厚生年金は保険料が年収によって計算されるため、人によって異なります。上限があるものの、年収に比例して保険料も高くなる仕組みです。
老後に受け取る年金受給額にも大きな違いがあります。国民年金は保険料を全期間納めた場合に満額を受給することができ、未納期間がある場合には満額から減額となります。厚生年金は、年収や加入期間に応じて決定する厚生年金部分と国民年金部分をまとめて受給するため、国民年金だけの方より受給額が多い傾向にあります。
2.【厚生年金】平均受給額(月額)はいくらか
では、現役時代の年収によって年金受給額が大きく異なるという厚生年金。いまのシニア世代の方は、どれくらい受け取っているのでしょうか。厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、確認してみましょう。
- 全体平均:14万3965円
- 男性平均:16万3380円
- 女性平均:10万4686円
全体平均は14万円台ですが、男女間では6万円ほど差があります。厚生年金はバラつきが出やすい仕組みのため、個人差が大きくなることに注意が必要でしょう。
厚生年金「男女全体の受給額分布」
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
※厚生年金受給額には、基礎年金(国民年金)の金額を含みます
全体平均は14万円3965円でしたが、ボリュームゾーンは10万円以上~11万円未満でした。9万円未満や17万円以上の方も多く、やはり個人差があることが確認できますね。