【タイプ別】50歳代からの新NISA活用方法3選
50歳代から非課税保有限度額の1800万円を使い切るには、基本、投資額を多くして短い期間で積み立てなければなりません。
ただ、65歳以降も長く働ける場合は、投資期間を長くして、積立額は抑えることが可能です。
そこで50歳代のタイプ別に3つの戦略を考えてみました。
【タイプ1】貯蓄があるor収入が多いなら「太く短く積立投資」
貯蓄がある、または収入が多い50歳代は、太く短く積み立てるとよいでしょう。生涯の非課税枠1800万円を短期間で使い切り、あとは長期で運用を続ければ、効率よく資産を増やすことができます。
<新NISA活用例>
- つみたて投資枠:月10万円(年120万円)×10年間=1200万円
- 成長投資枠:200万円(一括)×3年間=600万円
50歳から開始した場合の65歳時点での期待資産額(年率3%で運用できたと仮定)
約2530万円
【タイプ2】貯蓄がないor収入が少ないなら「細く長く積立投資」
月々の積立額を多くできない、まとまった金額を一括投資するのが難しい50歳代は、積立金額は抑えながら、細く長く積み立てるとよいでしょう。
その代わり、退職のない自営業者など、70歳を超えても収入を落とさずに働ける人に限られる戦略です。
<新NISA活用例>
- つみたて投資枠:月6万円(年72万円)×25年間=1800万円
50歳から開始した場合の75歳時点での期待資産額(年率3%で運用できたと仮定)
約2670万円
【タイプ3】リスクをとりアクティブに投資できるなら「成長投資枠で積極運用」
50歳の時点で、預貯金が多くあり、投資経験が豊富な50歳代は、成長投資枠を使って、積極的にリターンを狙う投資を行ってもよいでしょう。
成長投資枠の年間投資枠240万円以内であれば、これまでの一般NISAと同様に非課税で個別株やETFに投資ができます。
もちろん成長投資枠を使ってつみたて投資枠と同じような商品に投資もできるので、リスクを抑えたい場合は、つみたて投資の対象となっている投資信託の割合を増やすといいでしょう。
<新NISA活用例>
- つみたて投資枠:月10万円(年120万円)×5年間=600万円
- 成長投資枠:年240万円×5年間=1200万円
<50歳から開始した場合の65歳時点での期待資産額(つみたて投資枠:年率3%、成長投資枠:年率4%で運用できたと仮定)
約2790万円
新NISAでは売却しても枠の再利用ができるので、銘柄の入れ替えが可能です。ただし、枠が復活するのは翌年となります。
たとえば2024年に240万円分の個別株を買って、そのうちの100万円分をその年に売却しても、2024年は枠を使い切っているので、空いた100万円分の枠が使えるのは2025年以降となります。
個別株投資は一般的に、投資信託の積み立てに比べてハイリスク・ハイリターンであるため、投資信託の積み立てを並行して行うことで、リスクの分散を図りましょう。
50歳代は定年まで10年~20年程度であることを考えて、充分な貯蓄がある人以外は大きなリスクは取らない方が賢明です。
50歳代からの新NISA活用法を考えよう
新NISAは非課税保有期間が無期限となることで、長期運用による複利効果が期待でき、効果的に資産を増やすことが可能となります。また、長期運用はリスクを軽減し、収益が安定しやすいという面もあります。
50歳から始めても、100歳まで50年あるので、決して遅くはありません。積立期間が終わっても、非課税での運用を続けながら、老後資金として計画的な取り崩しを行うことで長期運用は続けていくことができます。
運用を続けながらの取り崩しなので、資産の減り方は緩やかになります。また、長く働けば、取り崩す時期を後ろ倒しにすることもできます。豊かな老後をおくるために、自分なりの資産形成を始めてみましょう。
夏のボーナスを迎えるこの時期、ご家庭の貯蓄や家計を振り返りながら2024年からはじまる新NISAについて検討するといいでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和4年調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和4年調査結果」
- 金融庁「新しいNISA」
- CASIO「keisan 生活や実務に役立つ高精度計算サイト」
石倉 博子