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(初公開日:2021年6月13日)

みなさんは「老後」ときいて、何歳以上を思い浮かべるでしょうか。

ひと昔前は、一般的に老後といえば、多くの人が定年退職を迎える60代以上を指していました。しかし、定年後の再雇用制度などの普及が進むこんにち、60代は「まだまだ現役」、70代以降を「老後」ととらえる人も増えてきている感がありますね。

そこで本日は、大手金融機関で10年以上の勤務経験がある私から、70代以上の「貯蓄格差」に着目しつつ、老後のお金対策についてお話ししていきたいと思います。

1. 70代の「貯蓄格差」はどのぐらいか

それでは早速、70代の貯蓄状況について見ていきましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄額に関するデータを抜粋します。

1.1 70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」

(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:1786万円
中央値:1000万円

  • 金融資産非保有:18.6%
  • 100万円未満:4.3%
  • 100~200万円未満:4.1%
  • 200~300万円未満:2.6%
  • 300~400万円未満:3.0%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:6.5%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:11.9%
  • 1500~2000万円未満:8.0%
  • 2000~3000万円未満:10.4%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:2.6%

1.2 70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」

(金融資産保有世帯)

平均:2208万円
中央値:1394万円

  • 100万円未満:5.3%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.2%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:3.2%
  • 500~700万円未満:8.0%
  • 700~1000万円未満:7.7%
  • 1000~1500万円未満:14.6%
  • 1500~2000万円未満:9.8%
  • 2000~3000万円未満:12.8%
  • 3000万円以上:23.4%
  • 無回答:3.2%

金融資産を保有していない世帯を含めた70歳以上全体で見たとき、約2割が「金融資産を持っていない」、つまり貯蓄ゼロであることが分かります。その一方で、3000万円以上の金融資産を保有する世帯も約2割存在します。

つまり、70歳以上の5人に1人は貯蓄ゼロですが、もう一方の5人に1人は3000万円以上貯蓄があるということです。世帯によってかなりの貯蓄格差がある点は、看過できないといえるでしょう。