2. 65歳以上の貯蓄事情はどうなっている?

65歳以上の貯蓄状況を、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」で確認してみましょう。

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」

2022年の世帯主が65歳以上の無職世帯の平均貯蓄現在高は2359万円でした。内訳は以下のとおりです。

平均貯蓄現在高:2359万円

【内訳】

  • 通貨性預貯金:699万円(29.6%)
  • 定期性預貯金:865万円(36.7%)
  • 生命保険など:390万円(16.5%)
  • 有価証券:400万円(17.0%)
  • 金融機関外:5万円(0.2%)

平均貯蓄現在高2359万円のうち、定期預金や普通預金といった預貯金が約66%を占めています。その一方で生命保険や有価証券が約3割を占めるなど、預貯金以外の金融商品もある程度あることが分かります。

毎月の年金だけで不足する分を貯蓄から補う予定がある場合には、資産内訳が預貯金に偏ってくるでしょう。しかし、現役世代の方の場合には少し事情が変わってきます。セカンドライフに向けてお金をコツコツと貯めていくことは大切ですが、10年、20年と預貯金にお金を置いていても増えるどころか実質的にお金の価値が目減りしてしまうからです。

では、これから老後に向けて資産を増やしていくためには、どうすればよいのでしょうか。

3. 老後に向けて資産を増やす2つのコツ

老後に向けて資産を増やすコツは「資産運用」です。

3.1 長期で使う予定のないお金を動かす

1つ目のオススメ方法は、使う予定のないお金を動かすこと。いま現在、普通預金や定期預金の金利は非常に低く、「お金をただ預けたまま」になってしまっている方もいるのではないでしょうか。

たとえば、使うあてのない100万円をほぼ金利のつかない預金に10年間おいておくとしましょう。仮に、この10年の間に物価が5%上がれば、資産価値は5%減ることになります。残高は100万円ですが、資産価値としては95万円に減っていることになります。

このように、目に見える数字としてはお金が減っていなくても、物価が上がれば必然的にお金の価値が下がってしまうのです。長く使う予定のないお金は、運用して資産価値の低下を回避したいものです。リスクも伴いますが、安定性を重視したリスクを低レベルに抑えたものもあります。ご自身のリスク許容度に合った方法を探してみるといいでしょう。

3.2 少額をコツコツ投資していく

2つ目のオススメ方法は「積立投資」です。無理のない範囲で、毎月少しずつ投資していく方法です。最近よく耳にするつみたてNISAを活用してみてもいいでしょう。

1000円未満といった少額から積立が可能なものもあります。1回あたりの投資額は少なくても、時間をかけてコツコツ積み立てていけば大きな額になっていきます。また、預貯金ではなく投資なので、運用次第では資産が膨らむ期待も。

こちらもリスクを伴うため、どういった商品が自分に合うのか探してみるといいでしょう。

4. まとめにかえて

年金は確かに老後生活の一つの柱になります。

しかし、それだけではゆとりのある生活を送ることは難しいでしょう。

これまで貯めてきた預金や、これから貯めていく貯金など、お金を効率よく運用することが、安定した老後生活を送る上で重要なポイントのひとつになるでしょう。

参考資料

荻野 樹