現在、政府は「異次元の少子化対策」を掲げており、出産・育児に関する試案が具体化されようとしています。

その一方で、現在の日本では生活費や教育費、仕事の環境など、さまざまな理由から2人目以降の出産をためらう「2人目の壁」を感じる人が多くなっています。

2023年5月31日に公表された調査では、『2人目の壁』を感じる人の割合が過去10年間で最高値になったことが明らかになりました。

本記事では「2人目の壁」に関する実態調査について解説していきます。

政府が進める「異次元の少子化対策」についても紹介しているので、参考にしてください。

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「2人目の壁」7割以上の夫婦が感じている?理由の多くは「経済面」

公益財団法人1more Baby応援団では「夫婦の出産意識調査」として、既婚者の約3000名にインターネット調査を行いました。

調査概要は下記のとおりです。

  • 実施期間:事前調査 2023年4月4日(火)~4月13日(木)、本調査 2023年4月8日(土)~4月13日(木)
  • 調査手法:インターネット調査  
  • 調査対象:全国、女性20〜39歳、男性20〜49歳の既婚者(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下の既婚者)合計2961人
  • 調査主体:公益財団法人1more Baby応援団
  • 調査協力:国立社会保障・人口問題研究所 研究員 中村真理子
  • 調査委託先:株式会社電通マクロミルインサイト
  • リリース公開日:2023年5月31日

上記調査の結果、全体の7割以上が「2人目の壁が存在する」と回答しています。

出所:公益財団法人1more Baby応援団「【夫婦の出産意識調査 2023】『2⼈⽬の壁』さらに高く。過去10年で最高の78.6%に~2人目以降の出産を躊躇する『2人目の壁』を感じる人の割合が過去10年間で最高値、かつ2年連続上昇~」

2014年から2022年のデータにおいても7割の水準を維持していますが、2021年から連続で上昇傾向にあり、2023年は過去10年で最高値となりました。

近年では、欲しいと思っていても「2人目を産むこと」にハードルを感じている人が増えているとわかります。

「2人目の壁」を感じる理由で上位に挙げられたものとして、「経済的な理由」がダントツとなりました。

出所:公益財団法人1more Baby応援団「【夫婦の出産意識調査 2023】『2⼈⽬の壁』さらに高く。過去10年で最高の78.6%に~2人目以降の出産を躊躇する『2人目の壁』を感じる人の割合が過去10年間で最高値、かつ2年連続上昇~」

経済的な理由と回答した人に対して「育児で負担に感じる費用」を聞いた項目では、多くが「大学・高校の教育費」と回答しており、次いで「食費」を負担と感じている人の割合が高いことがわかりました。

子どもが生まれると出産費用だけでなく、その後の教育費もかかってきます。

1人目を産んだことで「リアルな育児・教育費用」を知ることになり、その経済的な負担から2人目を躊躇している人も多いのかもしれません。

また、「2人目の壁を感じる理由」として次いで多かった理由は「ゆとりのある時間、自由な時間が取りにくくなる」「第一子の子育てで手いっぱいのとき」といった「時間」に関する理由が上位となりました。

金銭的・時間的な理由から「本当は欲しいけど現実は難しい」と考えている人も少なくなく、今の政府のサポート体制では、欲しい数だけの子どもを産みにくい現状が見てとれます。

夫婦が感じる「2人目の壁」解消に必要なこと

約7割以上の夫婦が「2人目の壁」を感じていると回答しており、その理由として最も多かったものは「経済的な理由」となりました。

では、「2人目の壁」を感じている夫婦にとって、解決策として必要な「サポート」はどのようなものがあるのでしょうか。

公益財団法人1more Baby応援団による「2人目の壁解消に必要なこと」に関する調査では、「出産・育児費の経済的サポート」と「教育費の経済的なサポート」が上位に挙げられました。

出所:公益財団法人1more Baby応援団「【夫婦の出産意識調査 2023】『2⼈⽬の壁』さらに高く。過去10年で最高の78.6%に~2人目以降の出産を躊躇する『2人目の壁』を感じる人の割合が過去10年間で最高値、かつ2年連続上昇~」

前章で紹介した「負担に感じる経済的な費用」では教育費がトップとなりましたが、まずは目前の「出産・育児費の経済的サポート」を求める声が多く挙がっています。

まずは2人目が生まれたらすぐに必要となる費用サポート、次いで将来的に大きな負担となる教育費のサポートが強く望まれているとうかがえます。