約3割の人が「親からの相続に苦労する」と回答
前章では、「60歳代の還暦以降の人生で不安に思うこと」「還暦人の貯蓄事情」について解説していきましたが、「親からの相続」で悩む人も多いようです。
PGF生命の「親からの相続の際に、苦労した経験があるか」というアンケート調査では、30.7%が「ある」と回答しています。
PGF生命の同調査で、「親からの相続の際に苦労した経験がある」と回答した人に苦労した経験を聞いたところ、「相続財産の確認」が最多となりました。
次いで多かった内容として、「不動産の処分」「すぐに必要な現金の準備(葬儀代など)」「遺産分割協議」「加入している生命保険契約の確認」が続きました。
上記の結果をみると、お金以外にも資産や生命保険などで苦労する人が多いように思えます。
実際に約3人に1人は「相続時に苦労した経験がある」と回答しているため、不安な方は一度、両親に相続財産や不動産、生命保険などを確認しておくと良いでしょう。
具体的な終活内容とは。自身が亡くなった時の備えはしている?
親が亡くなったときに困ったことがある人は約3割いることが分かりましたが、自身が亡くなった時も同様に、遺された家族や親族が困るケースもあります。
PGF生命が「自身が亡くなった際に、遺された家族や親族が苦労しないか心配なことがあるか」についてアンケート調査を行ったところ、半数以上が「ある」と回答しています。
内容としては「すぐに必要な現金の準備(葬儀代など)」が最多となりました。
次いで「不動産の処分」「加入している生命保険契約の確認」が続いており、どれも「親からの相続に苦労する上位項目」と類似する結果となりました。
近年においては「終活」という言葉が浸透してきており「人生の終焉に向けた準備・活動」を行う人が増えてきています。
終活は、遺された家族のためにも大切な準備である一方で、自身の還暦後の生活において「どのくらいお金が使えるのか」「葬儀にいくらお金が必要なのか」などを知るきっかけにもなります。
「老後の生活が心配」「今後遺される家族が心配」という方は、還暦になったタイミングで、一度「終活の準備」を進めてみてはいかがでしょうか。
60歳代「還暦人」が抱える課題・今後の必要な準備とは
本記事では、PGF生命の調査結果をもとに、還暦人の貯蓄事情や相続などについて紹介していきました。
還暦人の貯蓄に格差が広がっている現代では、なかなか「老後資金」の基準が明確になりにくい部分もあります。
「老後生活の蓄えが心配」と感じている方は、「人生の終焉に向けた準備・活動」、言わば終活を意識してみるのもいいでしょう。
終活の準備をすることで、「老後生活でどのくらいのお金が必要なのか」「現状の貯蓄で生活していけるのか」が明確になりやすいです。
「親からの相続の際に苦労した経験がある」と回答した人が約3人に1人はいることから、終活は遺された家族が苦労しないための準備にもなり得ます。
近年においては、終活相談ができる場が増えつつあるため、一人で何を準備すればいいかわからない方は、終活サービスなどを検討してみるのも良いでしょう。
参考資料
- プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社「2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)各種分類別データ」
太田 彩子