A氏はまず、「最初の配属先で自分の将来がぼんやり見えた瞬間があった」と言います。
金融機関には専門性がある職種や支店・支社を転勤しながらマネジメント経験を積んでいくルートがあり、最初の配属先で自分が人事部から期待されているのか、昇進しやすい部署に配属されているのかが透けて見えるのだそうです。特に、最初の配属で実績を上げにくい環境の支店に配属されると、長期のモチベーションを維持しにくいようです。
また、「刺激を求めて大企業に就職したつもりなのに、職場はこじんまりしていて思った以上に閉じていた。昼食は島ごとにまとまってとる習慣があり、自分で好きにランチタイムを過ごせる環境でなく、息が詰まった」と言います。
大企業でも当然仕事内容によって部署やチームに分かれており、それぞれに職場環境が異なる場合もあるでしょう。そうした現実は就職活動ではなかなか見えてこないものですが、こうした認識のギャップもガッカリする要因のようです。
A氏が最後にあげたのは、やりたい、また挑戦したい仕事ができるかどうかという点です。「先輩の話を聞いていると、本社や本店で昇進レースに残っていなければ、50歳を過ぎると子会社や関係会社に出されることが多い。その場合、自分がやりたいことができているのかは疑問」と言います。
まとめにかえて
最初に就職した会社を3年以内に3割が離職しているのは、大卒者と雇用側のミスマッチだと片づけてしまうこともできます。とはいえ、無事に定年退職を迎えたとしても、平均寿命までは相当の時間があります。そこで自分に何ができるのかに思いを馳せると、定年までサラリーマンとして居続けるのもリスクだと考える人がいてもおかしくはなさそうです。
LIMO編集部