3. 【年金クイズ】6月分からの年金額の増額率は「67歳以下」と「68歳以上」で異なる?
年金額は毎年改定が行われており、2023年度の年金額は3年ぶりの増額となりますが、その増額率は一律でしょうか?
それとも「67歳以下」と「68歳以上」で増額は異なるでしょうか?
実は年金額が改定されるといっても、67歳以下の「新規裁定者」と68歳以上の「既裁定者」では増額率が異なるのです!
厚生労働省によれば、2023年度の国民年金と厚生年金の年金額は68歳以上で1.9%、67歳以下で2.2%の増額となり、以下の通りとなります。
3.1 令和5年度の国民年金と厚生年金の年金額
- 国民年金(満額):6万6250円(67歳以下の新規裁定者)
- 国民年金(満額):6万6050円(68歳以上の裁定者)
- 厚生年金はモデル夫婦(2人分の国民年金と厚生年金):22万4482 円
毎年度改定される年金額は、名目賃金変動率が物価変動率を上回る場合、67歳以下は「名目賃金変動率」を、68歳以上は「物価変動率」を用いて改定することになっています。
「名目手取り賃金変動率」とは3年度平均(2年度前~4年度前)の実質賃金変動率に、前年の物価変動率と、3年度前の可処分所得割合変化率(0.0%)を乗じたものとなります。
67歳以下の方の場合、2023年度は「名目手取り賃金変動率:2.8%」が用いられますが、マクロ経済スライドの調整により▲0.6%となり、年金額の改定率は2.2%でした。
68歳以上の方の場合、2023年度は「物価変動率:2.5%」を用い、マクロ経済スライドの調整により▲0.6%となり、年金額の改定率は1.9%となりました。
ただ、上記は2023年度の場合であり、物価などの状況により異なります。
参考までに、名目手取り賃金変動率がマイナスで、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回った昨年度は、新規裁定年金・既裁定年金ともに、名目手取り賃金変動率(▲0.4%)に従って改定されました。
4. 6月送付の年金振込通知書も確認を
今回確認したように、年金額は毎年度改定されますから、年金受給者の方は確認するようにしましょう。
また、毎年6月には金融機関等の口座振込で年金を受け取られている方に対して、6月~翌年4月(2カ月に1回)まで毎回支払われる金額が書かれた「年金振込通知書」が届きます。
年金振込通知書では手取りの年金額もわかりますから、きちんと確認するようにしてください。
参考資料
- 日本年金機構「■年金額はどのようなルールで改定されるのですか。」
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和4年度の年金額改定についてお知らせします 」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
宮野 茉莉子