1990年のバブル崩壊後、日本の賃金は長らく横ばいが続いていました。しかし、ここ最近では、働く世代の賃上げを巡る明るいニュースを目にすることが増えてきたように感じませんか?
その一方で、年金世代に向けた嬉しくないニュースも増えています。「医療費の窓口負担割合の引き上げ」や「75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料引き上げ」といった社会保険料の負担増。老後の年金生活に対する不安は高まるばかりですね。
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査結果」によると、大卒(男女計)の初任給は22万5400円です。今のシニアの人たちの年金受給額は、この大卒初任給より「多い・少ない」どちらだと思いますか?
今回は、「20万円」を目安に、今のシニアの厚生年金について見ていきたいと思います。
1. 日本の公的年金制度についておさらい
最初に日本の年金制度のおさらいをしておきます。
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」からの2階建て構造となっています。
1階部分にあたる「国民年金」は、日本に住む20~60歳未満のすべての方が加入するものです。2階部分にあたる「厚生年金」は、会社員や公務員などが加入します。
年金保険料が一律の国民年金に対して、厚生年金の保険料は報酬によって算出されます。上限はあるものの、年収が高ければ高いほど納める年金保険料も高くなる仕組みです。そして、現役時代に納めた保険料と加入期間により将来受け取る厚生年金の受給額が決定するため、個人差が大きく見られます。
では、現役時代に会社員や公務員としてバリバリ働いていた今のシニア世代はいくらぐらいの厚生年金を受給しているのでしょうか。次の項で確認していきたいと思います。
2. いまのシニアの年金受給額はいくら?
ここからは、厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにいまのシニアの年金受給額について確認していきます。
- 全体平均:14万3965円
- 男性平均:16万3380円
- 女性平均:10万4686円
2.1 厚生年金「男女全体の受給額分布」
総数:1618万445人
- 1万円未満:9万9642人(0.6%)
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人(0.1%)
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人(0.3%)
- 3万円以上~4万円未満:10万364人(0.6%)
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人(0.6%)
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人(1.0%)
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人(2.5%)
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人(4.3%)
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人(5.7%)
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人(7.0%)
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人(7.0%)
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人(6.4%)
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人(5.8%)
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人(5.6%)
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人(5.8%)
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人(6.0%)
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人(6.2%)
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人(6.4%)
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人(6.2%)
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人(5.6%)
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人(4.7%)
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人(3.6%)
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人(2.5%)
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人(1.6%)
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人(1.1%)
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人(0.7%)
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人(0.4%)
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人(0.2%)
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人(0.1%)
- 29万円以上~30万円未満:9372人(0.05%)
- 30万円以上~:1万4816人(0.09%)
※厚生年金受給額には、基礎年金(国民年金)の金額を含みます。
厚生年金の男女全体の平均受給額は14万3965円です。 平均値は、大きな数字に引っ張られてしまうため参考程度に見ておきましょう。
細かく見ていくと、ボリュームゾーンは平均受給額を下回る「9万円以上~11万円未満」です。その次に多いのが「17万円以上~18万円未満」。やはり厚生年金は、個人差が大きいことが見てとれますね。