拡充案によって児童手当はどうなるのか

前章では、現行の児童手当の内容と問題点について解説していきました。

では、児童手当の拡充によって、児童手当はどのように変わるのでしょうか。

現在政府が進める「こども・子育て支援加速化プラン」によって変わる、児童手当の内容は下記のとおりです。

  • 児童手当の支給対象の引き上げ(高校卒業まで延長)
  • 多子世帯への増額
  • 児童手当の所得制限の撤廃

現行の児童手当の支給対象は中学卒業までですが、試案では「高校卒業まで延長」とされています。

高校に進学するにあたって、より家計の負担が増えるケースが多いため、高校生の子どもをもつ世帯にとっては家計の大きな助けとなるでしょう。

今回の拡充案で上記の試案が現実化すれば、現行の児童手当で問題視されていた内容の多くが解決される方向に向かうと考えられます。

しかし、2023年6月に行われた「第3回こども未来戦略会議」では、「まずは第3子以降に対する手当額を大幅に引き上げ、その効果を検証した上で、必要に応じてさらなる財源を確保し、第1子、第2種原文ママ)の手当額の引上げを検討すべき」「児童手当の所得制限の完全撤廃については再考が必要ではないか」などの声があがっています。

扶養控除についても議論が続いているため、今後の動きに注目が集まります。

拡充案によって児童手当の課題が解決されるのか

本記事では、現行の児童手当の内容・問題点と、今後の児童手当がどのように変化するのかについて解説していきました。

今回の拡充案で上記の試案が現実化すれば、現行の児童手当で問題視されていた内容の多くが解決される方向に向かうことが期待されています。

しかし、その一方で生まれた月によって受け取れる支給額が異なることや、そもそもの支給額について依然として議論が続いているのが現状です。

今後においては、検討されている拡充案と共に、上記のような児童手当の課題点の解決策においても言及がされることに注目が集まっています。

参考資料

太田 彩子