政府は「異次元の少子化対策」を掲げており、「こども・子育て支援加速プラン」を2024年度から3年間かけて取り組む方針を示しています。

2023年6月7日には「第8回経済財政諮問会議」において「経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針2023」が示されました。

児童手当をめぐっては、所得制限といった問題点が以前より疑問視されています。

本記事では、現行の児童手当と比較しながら、今後の児童手当がどのように変化するのかについて解説しています。

現行の問題点が、拡充案によってどう改善されるのかも解説しているので参考にしてください。

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現行の児童手当の支給対象は?いくらもらえるのか

まずは、現行の児童手当の支給対象と支給額を見ていきましょう。

現行の児童手当は、中学生卒業までの子どもがいる家庭を対象に支給される手当てとなっており、支給額は子どもの年齢や人数によって異なります。

出所:内閣府「児童手当制度のご案内」

今回の拡充案では、児童手当の支給対象や、多子世帯を対象に増額の検討がされています。

さらに、現在の児童手当では「所得制限」が設けられていますが、こちらも撤廃の方針が進められています。

現行の児童手当には、以下のような所得制限が現状設けられています。

出所:内閣府「児童手当Q&A」

たとえば、子どもを2人養育している世帯で配偶者が年収103万円以下の場合、世帯主の年収が960万以上となると、所得制限の対象となってしまうため「特例給付」の対象となります。

特例給付に該当した場合、児童1人あたりに支給される手当は一律5000円に下がってしまいます。

さらに2022年10月以降からは、特例給付においても「所得上限限度額」が設けられるようになりました。

出所:内閣府「児童手当制度にのご案内」

先述の世帯の場合、世帯主の収入額目安が1200万円以上の場合は特例給付も廃止となるため、問題視する声があがっています。

現行の児童手当に関する問題点

現行の児童手当では所得制限が設けられており、世帯主の収入によって「児童手当をもらえる人」と「児童手当をもらえない人」が出てきています。

児童手当は、「子育てを支援する目的」で支給されている手当であり、所得額に応じて支給額を変えることは、本来の趣旨に反しているとの意見もあります。

また、現行の児童手当の所得制限は「世帯主」の所得額が基準になっているため、家庭の働き方によって不平等さが生じているのが現状です。

たとえば、小学生2人を養育している世帯において「世帯主と配偶者がそれぞれ年収950万円の世帯」と「世帯主の年収が1200万円、配偶者の年収が103万円」の世帯がいた場合、それぞれ年収950万円の世帯においては、児童手当が2万円支給されます。

しかし、世帯主の年収が1200万円、配偶者の年収が103万円の世帯は、所得制限限度額を超えていることから、児童手当の対象外となります。

夫婦それぞれ年収950万円の世帯のほうが合計した世帯年収は高いのにもかかわらず、現行では世帯主の所得額を基準としていることから、働き方によって「損をしている」世帯が出てきているのです。

こういった問題点があることから、政府は「児童手当の所得制限の撤廃」を明記することを明らかにしています。