2023年4月20日の健康保険組合連合会の発表によると、2023年度は全国の健康保険組合(以下、健保組合)の約8割は赤字で、経常収支の総額は▲5623億円と過去最大の赤字となる見通しです。

この記事では、健康保険組合の経常収支の現状と今後について解説します。

会社員の人は、保険料負担が高まる可能性もあるため、今後の状況に注意しましょう。

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健保組合の経常収支の2023年度見通し

まず最初に、健保組合の収支状況について解説します。

●2023年度見通し(予算)は5623億円の赤字

健康保険組合連合会の「令和5年度健康保険組合予算編成状況」によると、全国の健保組合を集計した2023年度の経常収支の見通しは次の通りです。

出所:健康保険組合連合会「令和5年度健康保険組合予算編成状況」を参考に筆者作成

2022年度と比較して収入が2.7%しか増えなかったのに対して支出が5.9%も増えたため、2023年度の赤字額は2倍の5623億円となり、過去最高となりました。

●赤字倍増の原因は高齢者保険への納付金・支援金

2023年度の健保組合全体の経常支出の内訳は次の通りです。

出所:健康保険組合連合会「令和5年度健康保険組合予算編成状況」を参考に筆者作成

「前期高齢者納付金」と「後期高齢者支援金」は、保険料収入の少ない高齢者の保険給付を賄うために、現役世代が加入する健保組合から行う財政支援です。

納付金と支援金を合計すると、健保組合の支出の4割を占めます。

2023年度は納付金と支援金の合計金額が7.3%も増加したことから、支出が急増して過去最高の赤字となりました。

●2023年度の平均保険料率は0.01%アップ

経常収支の赤字を補うため、2023年度は多くの健保組合が保険料率を引き上げる予定です。

平均料率は前年の9.26%から0.01%アップして9.27%になります。