3. 2023年度「厚生年金と国民年金」年金額の改定はいくらか
先ほどの答えは「2023年度は厚生年金のモデル夫婦で年5万円以上増えている」が正解でした。
2023年度の厚生年金のモデル夫婦の年金額は「月22万4482円」で、前年度比+4889円です。つまり、年にして269万3784円となり、年5万8668円増えていることになります。
ちなみに、2023年度の国民年金の満額は以下の通り。
3.1 2023度の国民年金の満額
- 国民年金(67歳以下の満額):6万6250円(+1434円)
- 国民年金(68歳以上の満額):6万6050円(+1234円)
たとえば「68歳以上で国民年金のみの夫婦」の場合、満額で昨年度より年2万9616円の増額となっています。
4. 【年金額の改定】物価上昇よりは増額されず
厚生年金のモデル夫婦で年5万円以上の増額となれば、物価高の今、家計が助かる方も多いでしょう。
一方で、マクロ経済スライドにより、物価上昇ほどは年金額は増額されていません。それはマクロ経済スライドによる調整が影響しているからです。
68歳以上の方の場合、2023年度は「物価変動率:2.5%」を用いて年金額が改定されます。
ただし、「2023年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.3%)」と、「2021年度・2022年度のマクロ経済スライドの未調整分による調整(▲0.3%)」により、年金額の改定率は1.9%となりました。
67歳以下の方の場合、2023年度は「名目手取り賃金変動率:2.8%」が用いられますが、上記のマクロ経済スライドによりあわせて▲0.6%となり、年金額の改定率は2.2%でした。
ちなみに上記は2023年度の場合であり、名目賃金変動率が物価変動率を上回る場合は67歳以下は名目賃金変動率を、68歳以上は物価変動率を用いて改定することになっています。
マクロ経済スライドとは、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びにもとづいて調整をおこなうことで、将来世代の年金の給付水準を確保することにつながります。
5. まとめにかえて
厚生年金のモデル夫婦であれば2023年度は年約5万8000円ほど増えますが、マクロ経済スライドによる調整により、物価上昇よりは年金額は増えていません。
このことからも公的年金だけでなく、私的年金や貯蓄、資産運用などさまざまな方法で老後資金に備える必要性は、今後さらに高まると言えるでしょう。
参考資料
宮野 茉莉子