2. 「老後生活」収入と支出のバランスをシュミレーション
老後の支出について、一般的なモデルとして、家計調査年報(家計収支編)2021年(令和4年)の調査結果を紹介します。
ここで紹介されている支出モデルは、健康かつ文化的な生活を送る、という前提によって作成されています。
消費支出が23万6696円とされていますが、共用や娯楽、交際費などその他の支出を調整することで少なくとも15万円〜18万円程度の支出を圧縮できるのではないでしょうか。
老齢基礎年金を中心に考えた場合、厚生年金の平均受給月額は約14万円です。支出を圧縮すると年金のみでの生活が見えてきます。
貯蓄の切り崩しができれば、働く必要はありません。
一方で、厚生年金の納付が25年に満たない人や、国民年金をずっと納付してきた人の平均受給月額は2万円〜6万円程度となり、年金だけで生活することはできないでしょう。
2.1 年金受給額によって変わるセカンドライフ設計
想定される年金受給額によって、セカンドライフ設計は異なります。
貯蓄の切り崩しが心もとない人は、労働を検討する必要があります。
想定される年金受給額を軸に、セカンドライフに労働を組み込むべきか、できるだけ早い段階で決めておいたほうが良いでしょう。
セカンドライフに労働が必要な場合は、新たなスキルの獲得や動ける体の維持など、準備段階を設ける必要があります。
3. セカンドライフの労働を考察
年金の不足分を補うために労働をする場合、おおよそいくら必要なのか、計算する必要があります。
将来もらえる年金の予測は、ねんきん定期便によって通知されます。
現実を見るのが嫌な人も、確認だけはしておくと良いでしょう。
具体的なセカンドライフ像を描くことができます。
ここでは、シニア世代に適していると思われる職種をピックアップし、紹介しています。
現在の自分のスキルや経験、体力を考慮しつつ、セカンドライフにおける労働についてイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。
3.1 就業先の再雇用制度
再雇用制度は、セカンドライフの労働として多くの人が選択しています。
現状では65歳までは働くという人が多いのではないでしょうか。
慣れ親しんだ職場で労働を継続できる、オーソドックスな選択肢の一つです。
将来的には再雇用制度70歳まで、となるかもしれません。
3.2 オフィスワークなど
今後、業務の変容によってオフィスワーク関連の需要は増える可能性があります。
多くの仕事はAIに置き換えられる可能性が高く、働き手不足によって企業の省人化が進むと見られています。
AIのオペレーションを含めた業務のアウトソーシング化の波をうまく捉えて業務請負ができるようになると、セカンドライフの貴重な収入の柱になります。
3.3 医療・福祉業界
慢性的な人手不足に加えて、働き手の減少により、医療・福祉業界はより深刻な人手不足に陥る可能性があります。
このまま従事者の減少が続くと、元々資格を持っている人のみならず、ゼロから資格を取るシニアに対しても、門戸は広く開かれるようになるかもしれません。
退職後は社会とのつながりを失いがちですが、医療や介護に携わることであらたなやりがいを見いだすこともできます。
3.4 家事代行
若年層の間では生産性を追求するあまり、家事全般をアウトソーシングする人も増えつつあります。
多少の体力は必要になるものの、当たり前に家事をこなしてきた人にとっては、よい仕事となるでしょう。
さまざまな世代と接触できる機会も得られるため、あらたなやりがいにつながるかもしれません。
4. 働くことを考慮したセカンドライフ設計も
現実的に、年金だけで老後生活を送ることができる人は限られているのではないでしょうか。
年金と貯蓄の切り崩し、労働によってセカンドライフ設計を行うのが一般的です。
働き方の多様化によって、今後はシニア世代が活躍できる業種の幅は広がる可能性があります。
心の満足度も求められる人生100年時代において、労働を軸にしたセカンドライフ設計を立ててみても良いかもしれません。
参考資料
- 金融広報中央委員「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和4年)の調査結果」
LIMO編集部