配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回はサイバーエージェント(4751)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. サイバーエージェント(4751)の配当金のリターンはいくらか
サイバーエージェントの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年9月期の期末配当」を受け取ることができます。
出所:株式会社サイバーエージェント「2023年9月期 第2四半期決算短信[日本基準](連結)」
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:1371円(取得日の終値)
- 2022年9月期・期末配当:14円
- 100株ベースの配当金のリターン:1400円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. サイバーエージェントの株主優待のリターンはいくらか
サイバーエージェントには2022年9月期まで株主優待制度はありませんでした。
そのため、優待のリターンは0円です。
しかし、2023年1月に2023年9月期からの株主優待制度の導入が発表されました。毎年9月末時点の株主名簿に記載された100株以上保有の株主に対し、「ABEMA」プレミアム利用料 3ヵ月無料クーポンが進展されます。
「ABEMA」プレミアム利用料は月額960円(税込)のため、2023年9月期以降の優待のリターンは2880円となります。
3. サイバーエージェントの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:1371円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月2日
- 1年後の株価の終値:1028円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲3万4300円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:1400円
- 株主優待のリターン:0円
- 株価変動によるリターン:▲3万4300円
- トータル・リターン(金額ベース):▲3万2900円
- トータル・リターン(%ベース):▲24.0%
トータル・リターンは金額ベースで▲3万2900円でした。
4. サイバーエージェントの配当金の推移を確認
サイバーエージェント株式の年間リターンは▲24.0%でした。
最後にサイバーエージェントの配当金の推移を確認しましょう。
出所:株式会社サイバーエージェント 株主還元策(期末配当金)
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一