6月となり、いよいよ2023年度の年金の初回支給日が迫ります。
1月20日に公表された年金額は、3年ぶりの増額予定。2ヶ月に1度の年金支給日を楽しみに待つシニアの方も多いことでしょう。
ただし、年金からも税金や社会保険料が天引きされることを忘れてはいけません。
2023年5月12日には、75歳以上の後期高齢者医療費を段階的に引き上げる「健康保険法」改正案が成立したことで、保険料負担が高まることも予想されます。
引かれるお金が多いほど、実際の手取り額は減少することに。
では、仮に厚生年金(国民年金を含む)が「月額15万円」だとすると、税金や保険料はどれぐらい天引きされてしまうのでしょうか。
「年金の手取り額」の確認方法とともに見ていきましょう。
1. 厚生年金や国民年金から天引きされるお金
厚生年金や国民年金は、一定額以上になると課税されます(障害年金や遺族年金をのぞく)。
税金が源泉徴収されるのはイメージしやすいかもしれませんが、実は「社会保険料」が天引きされるという点を、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
天引きされる金額について、ここでは八王子市に住む男性(75歳)の例を紹介します。
1.1 年金から天引きされる税金
年金が月額15万円の場合、年額は180万円となります。年金しか収入がない場合は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。
1.2 年金から天引きされる介護保険料
八王子市の場合、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円なので、こちらが天引きされます。
なお、介護保険料は原則として3年毎に見直されます。上昇傾向にあるため、今後も負担が増える可能性は高いでしょう。
1.3 年金から天引きされる健康保険料
75歳の場合、後期高齢者医療制度に加入します。
東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年額で4万8800円です。こちらも年金から天引きされます。
1.4 厚生年金15万円の手取りは?
年金から天引きされる税金や保険料を合計すると、年間で約15万円です。180万円-15万円=165万円なので、月額の手取りは13万円台となります。
※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決まるため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。
※保険料の天引きには一定の条件があります。また申請により普通徴収に変えられる自治体もあります。
15万円あると思っていた年金が、実際には手取りで13万円台となれば、少なく感じてしまうのではないでしょうか。
2. そもそも厚生年金「月額15万円以上」は現実的なのか
そもそも、厚生年金(基礎年金を含む)を月額で15万円以上受け取るというのは現実的なのでしょうか。
年金に対しては「たくさんもらえて羨ましい」「慎ましい生活しかできない」など、個人が抱えるイメージが異なるものです。
厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、実際の支給額を見てみましょう。
2021年度末時点での厚生年金(基礎年金を含む)は、月平均で14万3965円でした。
- 男性平均:16万3380円
- 女性平均:10万4686円