NHKの連続テレビ小説「らんまん」第10週のサブタイトルは「ノアザミ」。ノアザミは日本の固有品種で、野原や田畑のあぜ道などでもよく見かける身近な花です。

ドラマでは主人公の万太郎が道端に咲くノアザミを見ている間に、馬車に乗った寿恵子が通り過ぎます。お互いを想う気持ちがすれ違う切ないシーンで登場。

今回はノアザミの魅力や育て方を紹介します。

【NHK朝ドラ】『らんまん』第10週に登場する「ノアザミ」ってどんな植物?

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  • キク科アザミ属
  • 多年草
  • 原産地:日本固有種で本州から九州にかけて分布
  • 草丈:50~100センチ
  • 開花期:5~8月
  • 花色:ピンク・赤紫・白
  • 参考価格:400~600円前後(3号ポット苗)

ノアザミは日本の本州から九州にまたがって広く自生している多年草。海岸沿いからやや高い山までで見られ、日当たりのよい場所を好みます。

世界には約300種類ものアザミがあるといわれ、日本には100種類ほどが生息。専門家でも品種の見分けが難しいと言われるほどどれもよく似ていますが、なかでもノアザミは最も早い時期から咲くのが特徴的です。

「アザミ」という名前は「あざむく」という言葉が語源という説も。花の美しさに思わず手を出すと、トゲの生えた葉で痛い思いをすることから、「美しい姿にあざむかれた」と感じたのでしょう。

また海外ではアザミはスコットランド独立のシンボルにもなっています。バイキングが音を立てないように裸足でスコットランド城に侵入しようとしたとき、野に咲くアザミを踏んでしまいました。

あまりの痛さに思わず声が出たことから、敵に気づいたスコットランドが勝利を収め、独立を守ったという言い伝えがあります。

【NHK朝ドラ・らんまん】「ノアザミ」の魅力は?

ブラシのような花

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アザミの花色はピンクや白、赤紫。細い花弁がピンと立ち上がり、ブラシのような見た目です。4~5センチほどの花は実は無数の「筒状花」と呼ばれる小花が集まった集合体で、これはキク科の大きな特徴。

筒状花は受粉して種子ができると綿毛となり、風に乗って遠くまで運ばれます。ノアザミは花の付け根にある総苞(葉が変化して花を束ねている部分)が丸く、中に蜜腺があるためネバネバした粘液を出しています。

雨が降ると針のような花弁の先端に小さな水滴が付き、宝石のようにキラキラ輝く様子がキレイです。

トゲが生え野趣あふれる葉茎

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葉は濃い緑色で艶やかな照りがあり、羽のような深い切れ込みが入っています。葉や茎にはトゲが生えていて荒々しくワイルドな草姿です。不用意に触れると痛いので気をつけましょう。

【NHK朝ドラ・らんまん】ノアザミの育て方

栽培環境

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日当たりや風通しのよい場所を好みます。光が少ない場所では花付きが悪くなるので、日当たりは十分確保しましょう。耐暑性や耐寒性に優れ、直射日光が当たっても元気に育ちます。

水やり

やや乾燥ぎみを好みますが、春から夏にかけての生育期は水を十分与えましょう。土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりしてください。花が咲き終わる秋以降は、水やり控えて乾燥気味に管理します。

肥料

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やせた土壌でも育つ強健な性質なので、肥料はとくに与えなくても育ちます。春から秋にかけての開花期に薄めの液体肥料を施すと、さらに花付きがよくなるでしょう。

花ガラ摘み

ノアザミは繁殖力が旺盛で、放置すると別品種のアザミと交配してしまうことも。交雑を防ぐためにも、種を採取しない場合は花が咲き終わったら花芽に摘み取るのがオススメです。

ナチュラルガーデンに迎えたい個性的な日本の花「ノアザミ」

針のような花弁や、ギザギザでトゲの生えた葉を持つノアザミ。やせた荒地でも生息できタフさと野性味タップリの草姿で、個性あふれる日本の野草です。

見た目の荒々しさとは相反するカワイイ花が魅力のノアザミを、ナチュラルガーデンの引き立て役として育ててみませんか。