しなやかに茎を伸ばして、美しい花を咲かせるつるバラ。管理や誘引のコツをつかめば、マンションのベランダも優雅なローズガーデンに変身します。
今回はベランダでつるバラを育てる際に知っておきたいポイントや、ベランダ向きのオススメ品種を紹介します。
初心者もつるバラのベランダ栽培がうまくいく【6つのポイント】
【ポイント1】ベランダ向きの品種を選ぶ
ベランダは日当たりや風通しが庭より劣るため、バラの生育にとっては好ましくないかもしれません。そこでやや環境に恵まれなくても、元気に育つような品種を選ぶことがポイントです。
近年では品種改良により、光が少なめの場所でも育つ耐陰性や、風通しが悪くても病気にかかりにくい耐病性の強い品種が登場。ベランダ栽培には最適なバラと言えるでしょう。
【ポイント2】環境に合わせて誘引する
つるバラの誘引には、ベランダのフェンスを利用する以外に、ラティスやアーチを立てて絡ませたり、植木鉢に「オベリスク」と呼ばれる円錐形に仕立てられた支柱を立てたりする方法があります。
花数を増やすために、誘引する際はできるだけ枝を水平に倒しましょう。バラは枝の最上部に花芽を付けるという性質があるので、枝を横にすることで同じ高さになったそれぞれの節目から花芽が出ます。
【ポイント3】周囲への対策も万全に!
ベランダは共有部分でもあるので、バラの栽培で周囲に迷惑がかからないよう配慮することが大切です。いざというときのために、大量の植木鉢で避難通路を防ぐことがないようにしましょう。
花びらや葉が舞い散らないように、ピークを過ぎた花は早めに摘み取って室内に飾ったり、枯れた葉はこまめに切り取ったりするのがオススメです。消毒用の薬剤散布もできるだけ控えましょう。
排水口の目詰まりにもなるので、ベランダに落ちた花弁や葉はこまめに清掃。水やりの際は鉢からあふれ出ないように、適量を与えましょう。
【ポイント4】苗のサイズに合わせて植え替える
植え替えが面倒だからと最初から大きな鉢に植えると、土の多湿で株が弱ってしまうことも。最初は購入時の鉢より2号程度大きめの鉢からスタートしましょう。
さらに大きな鉢への植え替えは休眠期に入る冬が適期。誘引した枝が折れないか心配なときは、誘引をほどいてから植え替えます。
頻繁に植え替えすると株はどんどん生長しますが、植え替えしないと必ずしも枯れるというわけではありません。誘引をほどく手間もかかってしまうので、10~11号鉢程度で植え替えはとどめておくとよいでしょう。
【ポイント5】大苗のほうが手間いらずなどメリット多め
新苗は接ぎ木して1年目の若い苗で、大苗は2~3年経った苗。新苗は低価格ですが、生長に合わせてたびたび植え替えする必要があります。
大苗はやや価格が高めですが、株が充実していて開花が保証されているのがメリット。植え替えの回数を少なくするためにも大苗がオススメです。
【ポイント6】夏の暑さ対策をしっかりと!
近年の猛暑はバラにとってとても厳しい環境になっています。とくにベランダはコンクリートの床が太陽の光を反射してかなりの暑さに。
植木鉢は床に直置きせず、すのこやレンガなどを敷いて、鉢底と床の間にすき間をつくってあげましょう。混み合っている枝や葉を剪定してスッキリさせておくと、株の風通しもよくなります。
ベランダ向き&初心者オススメ【つるバラ品種5選】
【オススメ1】バレリーナ
シンプルな一重咲きで、白とピンクのコントラストが鮮やかなバレリーナ。小さな花が房咲きになる満開期は圧巻の風景です。秋には赤いローズヒップも楽しめます。※参考価格:2000~3000円前後(6号鉢)
【オススメ2】モッコウバラ
モッコウバラは黄色や白の小花が可憐。葉は一年を通して常緑で、枝にはトゲがありません。病気にかかりにくく、旺盛に茎を伸ばして広がります。※参考価格:1000円前後(4号ポット苗)
【オススメ3】フェリシテ・エ・ペルペチュ
ポンポンのような薄ピンクの小花が鈴なりに咲くフェリシテ・エ・ペルペチュ。濃いピンク色のツボミもキュートです。耐陰性があるので、やや日陰でも元気に育ちます。※参考価格:3000~4000円前後(6号鉢)
【オススメ4】コーネリア
コーネリアはつるバラのなかでも名花と賞賛されるバラ。淡いアプリコットピンクの花が愛らしく、ムスク系の甘い芳香を漂わせます。光沢のある葉もキレイです。※参考価格:1500~2000円前後(6号鉢)
【オススメ5】ペネロープ
ふんわりと柔らかいウェーブがエレガントなペネロープ。白に杏色のぼかしが入り、黄色い花芯が鮮やかです。春から秋まで盛んに返り咲きします。※参考価格:2000~3000円前後(6号鉢)
ベランダにバラのある暮らし
マンションのベランダでも品種を選べば、つるバラの栽培は可能です。無機質なコンクリート部分をおおい隠し、美しい花と甘い香りで潤いのある景観を作ってくれるでしょう。
周囲への配慮も忘れずにこまめな手入れをしながら、ベランダにバラのある暮らしを楽しんでみませんか。