総務省統計局の「令和2年国勢調査人口等基本集計結果」によると、ひとり暮らしの世帯は2015年と比較して14.8%増加しており、男女ともに高齢化の傾向にあります。同調査ではさらに、65歳以上人口の19.0%が一人世帯となっており、約5人に1人がひとりで暮らしています。
老後をひとりで暮らす場合、健康や介護、住まいのことなど不安なことがいくつかあると考えられますが、受給できる年金(たとえば15万円など)で生活していけるかどうかも不安のひとつでしょう。
この記事では、65歳以上の一人世帯の生活はどのくらいかかるのか、年金の平均受給額で足りるのかどうかなどを解説していきます。
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1. 65歳以上ひとり暮しの生活費は月額約14万5000円
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、65歳以上でひとり暮らしをしている方の生活費は、1カ月平均約14万5000円(消費支出:13万2476円、非消費支出:1万2271円)です。
生活費の詳しい内訳は以下の通りです。
上表から、食料費が最も多く約30%を占めており、居住費や光熱水道費、交通・通信費もそれぞれ約10%を占めています。
居住費は持ち家か賃貸かによって異なるほか、交通費も主に利用するのが公共交通機関か自家用車かで金額が異なることが考えられます。
しかし、平均的な生活費から見ると、1ヵ月15万円あれば生活することは可能といえるでしょう。
2. 【65歳以上】年金は月額15万円もらえる?
65歳以上のひとり暮らしの方は年金を月額いくら受給しているのでしょうか。老後に受給する年金は、現役時代に会社員や公務員などだった方は厚生年金(老齢厚生年金)を、自営業や個人事業主などだった方は国民年金(老齢基礎年金)を受給します。
2.1 厚生年金は平均14万6000円
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は約14万6000円です。15万円よりも少々不足しますが、生活状況によっては赤字にならずに済む可能性もあるでしょう。
ただし、男性と女性とでは平均受給額が異なるため注意が必要です。男性は平均約16万9000円なのに対し、女性は平均約10万9000円と男性よりも6万円ほど少なくなっています。
男性の場合は月額15万円を超えているので毎月の生活費を年金のみで支払うことは可能といえますが、女性は約4万円不足する可能性があります。
厚生年金は現役時代の年収や厚生年金加入期間によって受給額が決まり、年収は男性の方が高い傾向があるため、厚生年金の受給額も高額になることが多いのです。
2.2 国民年金は平均5万6000円
厚生労働省の同調査によると、国民年金の平均受給額は約5万6000円です。国民年金のみに加入していた方の場合は、年金だけで15万円を確保することはむずかしいでしょう。そのため、年金以外の方法であと10万円ほどを準備する必要があります。
なお、国民年金は保険料納付月数に応じて年金額が決まるため、男性と女性との間で大きな差はありません。保険料を40年間(480月)納付すれば国民年金を満額受給できます。
とはいえ、満額でも月6万6250円(68歳以上は6万6050円)なので、やはり15万円には届かないのが実情です。
3. まとめにかえて
老後をひとりで暮らす場合、年金月額が15万円あれば生活することは可能といえます。しかし、ゆとりある老後を暮らす場合や急な出費が生じた場合などは年金だけではカバーできない可能性があります。
また、厚生年金を受給している女性や国民年金を受給する方などは受給額が15万円に届かないことが多いため、年金以外の方法で老後資金を確保する必要があるでしょう。
銀行への積立預金、個人年金保険、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して早めに老後資金を準備するよう心がけましょう。
参考資料
- 総務省統計局「令和2年国勢調査人口等基本集計結果」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
木内 菜穂子