2023年5月12日に発表された、株式会社コンヴァノ2023年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社コンヴァノ 取締役副社長 横山周平 氏
株式会社コンヴァノ 執行役員 上四元絢 氏

VISION

横山周平氏:みなさま、こんにちは。本日は株式会社コンヴァノ2023年3月期決算説明会をご覧いただき、誠にありがとうございます。副社長の横山周平です。

当社は現在、ネイルサロン事業をメインに運営しています。当社の企業理念は「新しい価値の創造と機会の拡大」です。これまでネイルサービスは、一般的に高価格で時間がかかることから、限られた人の贅沢と考えられてきました。しかし、当社は企業理念に基づき、従来の様式や既成概念にとらわれず、課題にチャレンジし続けることで、「手軽」「リーズナブル」「安定品質」を実現し、業界唯一のトップポジションを確立してきました。

今後もネイル業界全体の発展により貢献するためにも、さらなるブランド認知の推進を図り、より多くの方にジェルネイルを体験していただくべく、新規ユーザーの開拓や雇用機会の創出に取り組んでいきます。

エグゼクティブサマリ

2023年3月期の決算概要についてご説明します。まずは数値のサマリです。売上収益は23億3,000万円、営業利益はマイナス3,600万円、当期利益はマイナス3,400万円となりました。上半期の赤字を完全に補填することができず、通期ではマイナスとなりましたが、下半期では積極的な採用活動や継続的な新デザインおよび新規メニュー等の取り組みにより、黒字化を達成しました。

トピックスとして、当社は神奈川県、愛知県、大阪府に直営店として大型商業施設に3店舗をオープンしました。また、昨今の原材料高騰等の影響から、2022年10月に一部価格改定を実施しました。

PLサマリ(累計)

累計期間のP/Lです。当社はコロナ禍に起因する人員不足や店舗スタッフの感染などにより一部店舗で臨時休業を実施しましたが、売上収益は前期比8.7パーセント増加しました。

一方で、上半期で不足人員の採用や教育コスト等の先行投資を優先したため、販売管理費は22.4パーセント増加し、結果として営業利益はマイナス3,600万円、当期利益はマイナス3,400万円で着地しました。

PLサマリ(会計)

会計期間のP/Lです。上半期はネイリスト不足による一部店舗での臨時休業の実施等で大変苦戦しましたが、下半期では課題を解決し、第4四半期にて黒字化を達成しました。売上収益は前年同期比で24パーセント増加、営業利益は1,500万円となりました。

売上収益、営業利益/率の四半期推移(会計)

スライドは2023年3月期までの四半期ごとの売上収益・営業利益・営業利益率のグラフです。度重なる人流抑制は今期も続いていましたが、人員充足によるシフト数の増加やマーケティング施策の強化等により、コロナ禍前の売上収益6億円の水準に戻り、売上収益は前年同期比で過去最高となりました。

営業利益増減分析(累計)

スライドのグラフは、2022年3月期の営業利益と2023年3月期の営業利益の増減要因を視覚的に表したものです。

売上収益は大きく伸びたものの、上半期の採用活動強化に伴う人件費や教育コスト等の増加の影響がありました。本年は雇用調整助成金の要件を満たしていないため前年の受給分がマイナス要因として反映されています。

BSサマリ

B/Sサマリです。流動資産は前年同期比で3,700万円の増加、非流動資産は主に新店舗出店等による、使用権資産が7,400万円増加したことにより、7,500万円増加しました。その結果、資産合計は1億1,200万円増加し、25億3,600万円となりました。

負債側においては、流動負債は主に借入金が1億2,000万円増加したことなどにより、7,400万円増加しました。非流動負債はリース負債が6,500万円増加したことなどにより、7,200万円増加しました。

その結果、負債合計は1億4,500万円増加し、17億2,000万円となりました。資本合計は当期利益の計上などにより3,300万円減少し、8億1,600万円となりました。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書の前期比較です。期末の残高は前期に比べ600万円増加し、3億9,900万円となりました。営業キャッシュ・フローの減少は、営業利益がマイナスだったことと、雇用調整助成金の返還損失引当金8,100万円を計上したことなどが要因です。

投資キャッシュ・フローの増加は、主に新店3店舗を増加したことが要因です。財務キャッシュ・フローの増加は、タームローンの返済と短期借入の増加が要因となります。

来店客数、新規・リピーター比率の推移

来店客数、新規・リピーター比率の推移です。2022年3月期は来店客数が47万1,000人でしたが、2023年3月期には50万人を達成しています。積極的な採用活動による従業員数および需要の回復傾向にあり、限定クーポンの導入や新デザイン等の継続リリースにより、顧客数は増加しました。

平均顧客単価の推移

スライドには2018年から現在までの顧客単価を比較したグラフを掲載しています。2018年第1四半期の単価を100パーセントとした場合の指標表示となっています。

2021年は新規顧客の集客に注力したため、低単価クーポン等により一時的に顧客単価が下がっていますが、その後一部の価格改定、継続的な高単価デザインのリリース、オプションメニュー追加などの営業施策や、リピーター比率の上昇が効果を発揮したことから、高水準を維持しています。

足元の客単価は新型コロナウイルスの流行前を超える水準にあり、順調に上昇傾向です。今後は時代に即した効果的な広告宣伝手法への対応や顧客ニーズを捉えた商品の開発、当社グループ独自の予約アプリ「FASTNAIL TOWN」の機能拡大を継続的に実施し、さらなる向上を図っていきます。

ネイリスト1人あたりの生産性

スライドにはネイリスト1人当たりの月間平均の売上生産性のグラフを掲載しています。新型コロナウイルス流行前の状況と遜色ない水準となってきています。

店舗の状況

新規出店に関するご報告です。2022年4月に神奈川県のテラスモール湘南に出店しました。9月には名古屋のmozoワンダーシティに出店し、また、12月には大阪のなんばウォークへ出店しました。いずれも高い集客力がある大型商業施設です。

2023年4月に、大阪府にららぽーと門真店、神奈川県にジ アウトレット湘南平塚店を出店しました。

店舗ネットワーク

2023年3月末時点での店舗数は65店舗となりました。そのうち約60パーセントの38店舗が商業施設への出店となっています。

店舗数推移

こちらは店舗数の推移のグラフです。

2023年3月期の取り組み

2023年3月期の主な取り組みのサマリになります。重点テーマであった採用の強化と人材育成に注力し、活動してきました。下半期からはSNSでの採用募集や応募者へのサロン割引等を実施して、積極的に採用を進めてきました。

2023年3月期の取り組み

メニュー開発面ではトレンド性のあるデザインを継続リリースするとともに、SNSの活用や時間帯限定クーポンの導入を行いました。その他SEO対策にも注力し、集客に努めています。

また、新メニューとして導入した、「クイックウォーターケア」もご好評いただいています。

2023年3月期の取り組み

働きがいのある職場の環境づくりとして、主に雇用区分の変更や給与水準の見直しを実施してきました。十分な従業員数の確保はもちろん、インナーブランディングの向上、労働環境の改善などに引き続き取り組んでいきます。厳選した優良物件への出店については、先ほどご説明したとおりです。

2023年3月期の取り組み

また、当社は業界のトップランナーとして女性活躍を推進しており、若手社員や女性従業員を積極的に管理職へ抜擢しています。取り組みについては、スライドのとおりです。

2023年3月期の取り組み

2024年3月期の業績見通しと重点テーマについては、新代表に内定している執行役員の上四元絢よりご説明します。ご清聴ありがとうございました。

2024年3月期 業績見通し

上四元絢氏:2024年度3月期の業績見通しと重点テーマについてご説明します。

2024年度3月期の連結業績は、売上収益27億円、営業利益6,000万円、税引前利益は5,000万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,500万円を予想しています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、感染法上の分類において季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられることなどを契機に、徐々に収束へ向かうことが予想されます。しかし、人件費の高騰に加えて原材料やエネルギー価格、物流コスト等のさまざまな物価高の影響は、2024年3月期中はある程度継続するものと仮定し、今回の予測を立てています。

今後もネイル業界の需要回復および採用のさらなる強化やブランド戦略の再構築に努めていきます。

2024年3月期の重点テーマ

今期の重点テーマについてご説明します。

1つ目は、経営体制の刷新です。経営陣に、現場経験の豊富な女性を新たに登用する予定です。情熱あふれるメンバーとともに組織の活性化を図り、環境の変化や顧客ニーズ、現場ニーズを迅速に経営へ反映できる体制へと改革したいと思います。今後も女性および若手社員の積極的な登用を実施します。

2つ目は、店舗稼働率の向上です。各店舗の需要を考慮した適正な人員施策を打ち出していきます。既存店の人員充足を優先し、適正なバランスを図りながら非稼働の座席を減少させていきます。それにより、効率的な利益水準の向上を目指していきます。

3つ目は、人材教育の変革です。昨今は人材の獲得競争が過熱していますが、ネイリストの人材獲得も競争の過熱が想定されています。当社の優位性を確認の上、ターゲットの選定、採用方法について再検討していきます。

また、採用から教育、店舗に至るまでの一貫した教育システムを再構築し、研修プログラム開発の継続、ならびに人材価値のさらなる向上を図っていきます。

4つ目は、FASTNAILブランド戦略の再構築です。こちらは時代に即した効果的な広告宣伝手法への対応が必要だと考えています。顧客ニーズを捉えた商品開発や、当社独自の予約アプリである「FASTNAIL TOWN」の機能拡大を継続的に実施して、さらなるお客さまの利便性の向上に努めていきます。

以上で、2023年3月期決算説明を終了させていただきます。ありがとうございました。

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