2023年5月16日に発表された、株式会社カナミックネットワーク2023年9月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社カナミックネットワーク 代表取締役社長 山本拓真 氏
ハイライト
山本拓真氏:みなさま、こんにちは。カナミックネットワーク代表取締役社長の山本です。本日はよろしくお願いいたします。それでは、2023年9月期第2四半期の決算説明および会社説明を始めます。
まずは、2023年9月期第2四半期のハイライトです。スライドに記載の4つのポイントについてお話しします。
1つ目に、予想比で売上・利益ともに上振れました。詳細は7ページに記載していますが、今期も引き続き、売上・利益ともに順調に推移しています。
2つ目に、当社システムの有料ユーザー、無料ユーザーともにID数が大幅に増加しました。こちらは、地域数の増加や大手法人からの受注などによるものです。詳細は12ページに記載しています。
3つ目に、2030年までのアーバンフィットの出店計画はすでに公表していましたが、新たに2025年末までの出店計画を開示しました。具体的には、2025年末までに30店舗の新規出店を計画しています。詳細は22ページに記載しています。
4つ目に、株主優待制度の拡充です。従来の抽選式優待にプラスして、株主全員にアーバンフィット体験チケットを贈呈します。詳細は14ページに記載しています。いずれも、後ほどご説明します。
KPIハイライト
KPIのハイライトです。2023年9月期第2四半期の売上高は、前年同期比162.6パーセントの17億3,600万円と、大きく伸長しています。また、M&Aを行ったため、EBITDAの数値を現在のKPIとして開示しています。こちらも前年同期比135.7パーセントの6億9,400万円と、大きく伸びています。
営業利益は5億5,900万円、経常利益は5億6,500万円で、いずれも前年同期比プラス約30パーセントと堅調に推移しています。当期純利益も前年同期比135.5パーセントの4億500万円と、大きく伸びています。
導入地域数は1,359地域、有料ユーザーIDは11万4,536人、無料ユーザーIDは8万2,593人で、こちらも堅調に推移しています。アーバンフィットの店舗数は15店舗と、前年同期比107.1パーセントの成長を示しています。今後も投資を行い、店舗数を増やしていきます。
1-1.業績目標
業績概要です。当社は現在、2021年9月期を初年度とする中期経営計画の2年目に入っており、3年間で売上高を2.5倍、EBITDAを2.1倍に成長させることを目指しています。1回目の中期経営計画として、目標達成に向けて進んでいる状況です。
1-2.2023年9月期 第2四半期 実績
中期経営計画2期目となる2023年9月期の第2四半期の実績は、先ほどお話ししたとおり、売上高が前年同期比162.6パーセントの成長、予想比で102.2パーセントの成長を達成しています。
EBITDAも前年同期比135.7パーセント、予想比115.8パーセントと堅調に成長しており、着実に利益を積み重ねて伸長していることがおわかりになると思います。
1-3.2023年9月期 第2四半期 業績進捗
通期の業績進捗についてご説明します。通期の売上高は36億円、EBITDAは14億円と開示しています。現在の進捗状況は、売上高が48.2パーセント、EBITDAが49.6パーセントとなっており、期の途中としては堅調に進捗しています。
当社はストックビジネスを展開しているため、下期でしっかりと成長できると期待しています。したがって、上期としては堅調なスタートが切れていると考えています。
1-4.2023年9月期 第2四半期 実績 サービス別
サービス別の実績についてご説明します。クラウドは前年同期比116パーセントと堅調に推移し、プラットフォームは212.5パーセント、その他は346.7パーセントと大きく伸びています。前回の通期決算説明でもお伝えしたとおり、大手顧客からのカスタマイズの受注に関しては期ズレが発生しています。ただし、その他の部門は順調に伸びています。
クラウドはユーザー数が増加し、売上も堅調に伸びています。また、アーバンフィットの健康寿命延伸に関しては、前期との比較はできませんが、今期だけでも3億8,400万円の売上を上げています。これらを総合すると、全体で前期比160パーセント以上の成長を実現しています。
特にプラットフォームは、インターネット広告、人材マッチング、電子決済を主軸として大きく伸びています。以前からお伝えしているとおり、ユーザー数の増加により、プラットフォームサービスの成長を目指しています。こちらも順調に成長しており、しっかりとした成長が実現できていると思います。
クラウド、プラットフォーム、健康寿命延伸のそれぞれについて、着実に成長させていきたいと考えています。
1-5.医療・介護・健康クラウドサービス事業系統図
事業系統図についてです。当社の事業はカナミッククラウドサービス、その他サービス、健康寿命延伸サービス、プラットフォームサービスの4つのサービス群で構成されています。
カナミッククラウドサービスでは、医療・介護・子育て分野の有料ユーザーからは月額課金をいただき、ストックビジネスというかたちで売上を上げています。また、無料ユーザーにはプラットフォームサービスで課金し、インターネット広告などのマネタイズモデルを構築しています。
その他サービスは、受託開発や国のプロジェクトへの参画などの一時的な費用を計上しています。健康寿命延伸サービスは「URBAN FIT24」の有料会員からの売上を得ています。
このように、当社はヘルスケア、医療・介護、健康分野において、クラウドサービス、ITサービスおよびリアル店舗サービスを提供しています。
1-6.クラウドサービス導入地域数推移
クラウドサービスの導入地域数は、前年同期比102.7パーセントの1,359地域にまで拡大しています。こちらも毎年着実に増加しており、主に東京都全域を含む大都市圏などで利用されています。
全国4,000地域のうち1,359地域に導入されており、その割合は3割を超えています。都市部を中心とした日本の半分、つまり2,000地域への導入を目標に、現在も堅調に進捗しています。
1-7.クラウドサービス ユーザーID数と導入事業所数推移
ユーザーID数については、無料ユーザーが8万2,593人、有料ユーザーが11万4,536人と着実に増加しており、合計で19万7,129人のユーザー数に達しています。また、カナミックを利用している事業所数も4万539事業所と、堅調に伸びています。
ユーザーID数と事業所数は、導入地域数よりも重要なKPIになります。なぜなら、同じ地域数でも無料ユーザーを増やしていくことは可能であり、そこから有料ユーザーへの転換を図ることもできるからです。実際に有料ユーザーも着実に増えてきていますので、今後も事業所数をもとに、無料ユーザーを有料化する取り組みを継続していきます。
1-8.株主還元
株主還元についてです。当社は配当性向20パーセント以上という基準に基づき、増配を繰り返しています。今期は1株あたり3.5円の配当を予定しています。
1-9.株主還元
株主優待制度についてです。これまでは抽選式優待というかたちで、「JCBギフトカード」を抽選で合計13名にプレゼントしていました。しかし、アーバンフィットがグループインしたことにより、当初は大阪を中心に関西地域にしかなかった「URBAN FIT24」が全国展開しています。そのため、株主さまに「URBAN FIT24」の優待券を贈呈することを追加で発表しました。
100株以上保有している株主さまには、優待券を1枚進呈します。全国の「URBAN FIT24」で、優待券1枚につき最大2名、同伴者1名まで利用可能です。レンタルタオル、レンタルウェア、レンタルシューズ付きで、1枚5,940円相当の優待券です。
みなさまには、ヘルスケアと健康寿命延伸を意識した当施設を、実際に見て体験していただければと思っています。優待券を発送する年末頃には、全国に21店舗を展開する予定ですので、その頃にはお近くの「URBAN FIT24」でご利用いただけると思います。
2-1.当社の成長戦略について
成長戦略についてご説明します。当社の成長戦略は、「『人生を抱きしめるクラウド』で、人と社会に貢献する」というPurpose&Valueを前提としています。
そして、「人が生まれてから亡くなるまでの健康状態を管理するPHRを開発し、」「日本のみならず世界中の人々が利用できる」「ヘルスケアプラットフォームを構築し、個人法人を問わず全利用者に付加価値を提供する」ことを目指しています。
したがって、既存事業のオーガニックグロースはもちろん、新規事業への参入などにも積極的に挑戦していきたいと考えています。また、事業の補強・拡大を行う際の方法の1つとして、M&Aも積極的に検討しています。
2-2.医療・介護業界の市場規模
我々は、超高齢社会におけるサービスを提供する会社です。そのため、これからの超高齢社会で爆発的に市場規模が増える医療・介護産業やヘルスケア産業が、我々の主なターゲットゾーンになっていきます。
特に介護領域に関しては、2000年に3.6兆円だった市場規模が、2025年には16.5兆円、2040年には28.7兆円になると予想されており、かなり伸びしろがあります。
我々はこの領域のDX化を事業の柱としていますが、アーバンフィットの健康寿命延伸サービスで要介護者になる人を減らしていく取り組みなどを進め、より社会に必要とされる企業になっていきたいと考えています。
我々のビジョンは、今後ますます市場規模が拡大するこの領域で、さまざまなサービスを提供して社会の役に立つことです。ぜひみなさまに応援をお願いしたいと思います。
2-3.当社の成長戦略について
こちらのスライドでは、生まれてから亡くなるまでの顧客形態を、toCのコンシューマー向けサービス、toBの医療介護従事者向けサービス、toGの自治体従業員向けサービスに分けて図にしています。
この3つの軸に対し、カナミックヘルスケアプラットフォームとして、業務システム、情報共有システムを筆頭に、インターネット広告、AI/IoT、人材サービス、データビジネス、健康寿命延伸、リアル店舗ビジネスなど、さまざまなサービスを提供していきたいと考えています。
2-4.カナミックビジョン2030
「カナミックビジョン2030」についてです。クラウドサービスでユーザーを増やし、そのユーザーに対するプラットフォームサービスを拡大させます。現在は、「Phase3」のBtoCサービスのブランディング期に入りました。健康寿命延伸サービス等も始めていますが、2025年頃を軸に「Phase1」「Phase2」「Phase3」を束ねた海外展開も考えています。
2030年に向けて「Phase1」「Phase2」「Phase3」「Phase4」のそれぞれにおいて同規模の成長を目指すとともに、今後は海外のヘルスケア分野でも非常に大きな変革が起きると予想されるため、日本のノウハウで外貨を稼げる企業にもなっていきたいと考えています。
2-5.介護事業者を取り巻く法制度同行(介護ソフトリプレイスチャンス)
そのような状況を踏まえた、今後1年間の介護ソフト分野におけるリプレイスチャンスについてご説明します。令和3年4月から科学的介護がスタートし、介護施設やデイサービスを中心として、従来型よりさらに科学的に「見える化」する介護事業を行う取り組みが始まっています。
介護事業者を取り巻く法律・法令は、目まぐるしい変化が起きている最中です。令和5年4月からは、新たに介護保険法によるケアプランデータ連携がスタートしました。こちらは、地域のケアデータを共有し情報交換するシステムで、カナミックは先んじて取り入れ、当社のユーザーが地域内のケアプランデータ連携を利用しています。
千葉県浦安市では、医療介護連携およびケアプランデータ連携をカナミックで行うことをすでに発表しています。今後さらに地域連携が進み、カナミックの取り組みが拡大していくと予想されます。
令和5年10月にはインボイス制度(消費税法改正)が施行されます。こちらも介護事業者にはインパクトのある施行内容となり、請求書の発行・保存方法がすべて変わるため、我々のような介護ソフトにとってはリプレイスするチャンスが生まれています。
令和6年1月からは電子帳簿保存法が義務化され、電子レセプトですべて管理している介護事業者は、電子帳簿保存法への対応が必須となります。
令和6年4月からは、トリプル法改正(医療・介護・障がい)が行われます。医療が2年に1回、介護が3年に1回、最小公倍数の6年に1回大きな改正がありますが、来年4月が同時改定の時期ということで、一番大きな法律改正が控えています。
それによりLIFEが改正されるため、従来の施設系から在宅サービスへ拡充する実証実験が進んでいます。当社のユーザーも参加しており、LIFE法改正に在宅サービスが入るという予測が出ています。
また、近年非常に増えている訪問看護(医療)に関しては、同じく令和6年4月からオンライン請求とオンライン資格確認がスタートします。こちらもかなり大きな変更です。
このように、生産性向上やICT化が必須となる法改正が次々と迫ってきています。特に今後1年間は、ケアプランデータ連携、インボイス制度、電子帳簿保存法、トリプル法改正と我々のサービスが普及するチャンスが広がっていますので、ここで大きくシェアを拡大していきたいと考えています。
2-6.アーバンフィット店舗出店目標
新規出店当初は、内外装費、マシン費用などの減価償却費、家賃負担、広告宣伝費等のコストがかかります。しかし、スライド左上の2022年9月期第4四半期のアーバンフィットの売上と利益を見ていただくと、出店をまったくしておらず、ジムをオープンしてから半年以上が経って黒字化しているタイミングでは、逆に3割近い経常利益率を出す業態であることがわかります。
このようなことから、我々は「カナミック+アーバンフィット」で大きな売上および利益を上げられると見込んでおり、アーバンフィットをしっかりと伸ばすことが、カナミックグループの売上と利益の増大に寄与すると考えています。
今後も着実な投資を行い、利益率だけでなくグループ全体の利益額をしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
2-7.アーバンフィット店舗出店目標
アーバンフィットは、2025年末までに30店舗を新規出店し、合計で44店舗となることを計画しています。ちょうど本日(2023年5月16日)、護国寺駅から徒歩1分ほどのところに、東京初出店となる文京音羽店がオープンしました。
年内にはこの後も、6月にカナート西神戸店、8月に西宮今津店、9月に東海エリアの名古屋鶴舞店、秋にはイオンモール幕張新都心店、冬にはつくばみらい店をオープン予定で、2023年だけで7店舗の出店を計画しています。来年以降も、すでに出店が決まりつつあるところを開示していますが、今後もさらに加速させていきます。
直営店舗だけでなく、フランチャイジーも一体となって、アーバンフィットの拡大を実現させていきたいと考えています。
2-8.当社のM&A戦略について
アーバンフィットのみならず、ヘルスケアから保険サービスまで、ITサービスからリアル店舗ビジネスまでの両軸において、どんどん新規サービスを展開していきます。ヘルスケア・ヘルステック企業として、健康・医療・介護のゾーンで確固とした立ち位置を作っていきたいと考えています。
こちらに関しても、日々ソーシングやデューデリジェンスを進めており、確実にグループインしてくれる企業が現れた場合は、あらためて発表します。
3-1.IR情報
続いて、ここ半年の事業トピックスです。1年半ほど前に、転換社債とワラントによる資金調達を行いましたが、この1年半でかなり世界情勢が変わり、思うような資金調達ができないまま、どちらかというと株価に対して重りになるような動きをしていました。
そのため、2023年4月に発表したとおり、2月にワラントを外して消却し、転換社債も4月にすべて買入および消却しました。これにより、もともと出していた部分の希薄化は起きなくなったとご認識いただければと思います。
また、M&A資金として調達していた分については、その間もしっかり利益が出て現預金は増えているため、よほど大きな要因がない限りは現預金を使ってM&Aを実行できると考えています。
今後、中長期的に大きなM&Aが発生した場合には別途考えますが、今すぐに多額の資金が必要な状況ではないことから、しばらくそのかたちで推進していければと考えています。
3-2.アーバンフィット出店情報
スライドの画像は、2023年3月にオープンした「URBAN FIT24 大阪福島店」です。先ほどもお伝えしたように、本日は東京に文京音羽店がオープンしています。
今後もみなさまの身近に「URBAN FIT24」をますます広げていき、カナミックらしいヘルスケア施設として、従来型の24時間ジムとは違うサービスを展開したいと思っていますので、楽しみにしていただければと思います。
3-3.健康経営
今年も「健康経営優良法人2023」の認定をいただきました。今後も、社員が働きやすい会社作りを行っていきます。
3-4.介護制度対応
先ほどお伝えしたように、2023年4月からケアプランデータ連携が本稼動しています。カナミックはこちらにもすべて対応していますので、これからもさまざまな地域で、介護の地域連携でも使っていただけるようにしていきたいと考えています。
3-5.法改正対応
インボイス(適格請求書)の発行にも対応します。ほとんどの事業所でインボイス対応が必要となるため、我々のシステムが介護ソフトリプレイスの一助となってくれるのではないかと思っています。
過去の介護ソフトでは比較的対応できない部分が多いため、よりカナミックの魅力が増していき、今後はインボイス対応によるリプレイスもますます起きていくと考えています。
3-6.システム導入事例
千葉県浦安市で在宅医療・介護連携システムの運用を開始し、医療介護連携およびケアプラン連携の両方を行うと発表しています。今後も、このような自治体全体での取り組みを増やしていきたいと考えています。
3-7.介護ICT導入モデル事業
次の法改正でも絶対に入ってくるであろう生産性の向上について、全国老人福祉施設協議会と一緒に「業務時間見える化ツール(タイムスタディーツール)」の実証実験を行っています。このツールは生産性を向上すべきポイントが見える化できるもので、現在は、導入していただいた各事業者に対してのソリューション販売を開始しているところです。
今後もこのような「見える化」を進めながら、介護事業者のお役に立てるサービスをどんどん増やしていきたいと考えています。
3-8.介護制度対応
2024年5月より訪問看護のオンライン請求およびオンライン資格確認が始まりますが、カナミックはどちらにも完全対応すると発表しています。
来年大きな法改正があるため、訪問看護ステーションの間ではシステムリプレイスの話が非常に盛り上がってきています。オンライン請求およびオンライン資格確認の両方に対応していくかたちで、訪問看護ステーションの生産性向上に寄与したいと考えている次第です。
3-9.子育て支援
子育て領域においても、我々が独自に製作している「要支援要保護児童等リスクアセスメントAI評価システム」が、「BabyTech Awards 2022」で優秀賞をいただきました。今後は本システムをどんどん普及し、子育て領域においても、みなさまのお役に立てるサービスを提供していきたいと考えています。
以上が、最近の事業トピックを含めた第2四半期までのご説明となります。
4-1.カナミックグループ概要
本日初めてご参加の方もいますので、ここからはカナミックネットワークの基礎的な会社概要や事業概要、ビジネスモデルについてご説明します。
まずはカナミックグループの概要です。当社は、日本で介護保険制度が始まった2000年に、介護の地域プラットフォームメディアとして立ち上げた会社です。現在は、医療、介護、子育て分野におけるクラウドプラットフォームサービスを提供しています。
東証プライム市場に上場しており、証券コードは「3939」と非常に覚えやすい番号ですので、ぜひみなさまに気にかけていただければと思います。東京・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄等の6箇所に拠点があり、それぞれの地域で地域連携および介護ソフトによる生産性向上にチャレンジしています。
また、グループ会社として、中国・大連市でソフトウェア開発を行うカナミック大連と、「URBAN FIT24」という24時間営業のフィットネスジム及びフランチャイズ運営を行う株式会社アーバンフィットがあります。3月末時点でのグループ従業員数は187名となりました。今後もどんどん発展・拡大をしていきたいと考えています。
4-2.社長紹介
自己紹介です。私は京都府出身で、1978年生まれの現在45歳です。もともとはエンジニア出身で、大学卒業後は、富士通システムソリューションズ(現・富士通)に入社し、インターネット事業部で自社プロダクトの企画開発、大規模受託開発などを経験しました。
2005年にカナミックネットワークの取締役に就任し、2011年12年頃からは東京大学国立がんセンターの外来研究員として、国のプロジェクトへの参画が増えてきています。そして、2014年にカナミックネットワークの社長に就任しました。当社はその後、2016年にマザーズ上場、2018年に東証一部上場、2022年に東証プライム市場に上場と推移をしています。
また、厚生労働省や総務省の医療・介護・保育・ICTに関わる委員会の委員や、ガイドラインづくりの部会構成員などを歴任し、毎年のように国のプロジェクト等に参画しています。
4-3. Purpose & Values
我々は「人生を抱きしめるクラウドで人と社会に貢献する」ことを企業の存在意義としています。
当社の「Purpose & Values」として、世界各国がこれから迎える超高齢社会を、ヘルスケア・ヘルステック企業としてクラウドプラットフォームでDX(デジタルトランスフォーメーション)することにより、人類がウェルビーイングでサステナビリティな明るい未来を築くことに貢献していきたいと考えています。
また、カナミックネットワークという社名は、「介護を生き生きと活性化させるネットワークサービスを提供する」という理念から、「介護(カイゴ)」「活性化(ダイナミック)」「ICT(ネットワーク)」の3つの言葉を掛け合わせた造語です。
4-4.私たちの目指すところ
我々は、高齢者支援と子育て支援を支えるクラウドサービスを提供しています。医療・介護・子育てなどの多世代を包括的にケアすることで、地域づくりやまちづくりに貢献しています。
クラウドサービスをプラットフォームとして、インターネット広告やフィンテック、AI、IoT、シェアリングエコノミーなどのさまざまなサービス群を提供しています。
4-5.医療介護クラウドサービス
我々のクラウドサービスの特徴は2階層になっていることで、ソフトウエア特許を持っているため特殊なサービスとなっています。
1階は地域に点在する法人・事業所ごとにソリューションする介護業務システム、2階は地域ソリューションを行い地域全体に「面」で導入する情報共有システムです。これらが融合していることが、システムの特許の特徴であり特殊な部分となっています。
4-6.医療介護クラウドサービス 1階層2階層ソリューション
広がり方や販売の仕方も非常に特徴的です。もともと医療・介護業界は少し特殊で、競合他社が1人の患者やお客さまの情報を共有しながらケアしています。そのため「STEP.1」のように、会社の都合によってさまざまなソフトが入っている中で、電話、郵送、FAXを使って「報告・連絡・相談」をしなければなりません。
そこで「STEP.2」として、自治体や医師会の地域全体に、カナミックのシステムを導入していただき、電話、郵送、FAXではなくクラウド上で情報共有を行うようにします。自治体や医師会は有料ユーザーとして課金し、現在いろいろなソフトを使っている地域の医療介護従事者は無料ユーザーとして、2階層のみ使用できます。
その後に「STEP.3」として、1階層の多機能で楽に生産性向上ができるソフトを使える方をどんどん増やしていき、地域内での利用率を上げていきます。それにより地域全体の最適化を行い、ドミナントにカナミックのシステムを提供していきます。
当社のソリューションは、このように地域全体で無料ユーザーを増やして有料化するサイクルを繰り返すことです。そのため、あまり広告宣伝費をかけずに、地域内の口コミや営業マンによって販売を行い伸ばしており、ほぼすべてがリプレイスでの販売となっています。
4-7.医療介護クラウドサービス:介護業務システム 1階層
リプレイスベースのため、他社ソフトよりもかなり機能が多くソリューションポイントが大きいです。他社ソフトは法令遵守をするための法定帳票の作成や、医療・介護保険請求(レセプト)するための機能がメインであるのに対し、我々はさらに企業全体を支えるため、営業管理から経営分析まで一気通貫となるシステムを提供しています。
加えて、特許を持っているため地域連携ができることもあり、高い評価をいただいています。このように、どんどんリプレイスしていくことが我々の視野を広げていくやり方です。
4-8.医療介護クラウドサービス:情報共有システム 2階層
2階層のシステムは、患者や要介護者ごとに部屋があるイメージになっています。この方をケアしている医療介護従事者が、スライド右側に記載しているさまざまな医療介護情報を共有し一緒にお仕事ができるような地域連携型のソフトになっています。
4-9.子育て支援システム
医療介護情報を共有するのが高齢者支援だとすれば、電子母子手帳や地域ネットワークを作っていくのが子育て支援となります。当社はこれらを両輪として取り組んでいます。
4-10.プラットフォーム化による収益拡大
我々のサービスは、多くの医療介護従事者や医療介護法人に使っていただいていることが一番のバリューだと考えています。そのため、今後はインターネット広告やフィンテック、AI、IoT、人材マッチングなどのシェアリングエコノミー、物販など、さまざまなサービスを増やしプラットフォームサービスを充実させることで、伸ばしていきたいと考えています。
4-11.コンテンツサービス
医療・介護業界に特化したメディアですので、単価が高く業界に特化したインターネット広告を様々なメーカー等から出稿していただいています。
5-1.ストックビジネスの収益構造
当社の強みについてご説明します。ほとんどの売上がストックビジネスのため、損益分岐点を超えれば利益になります。それにより、少し先行投資型の部分がありますが、クラウドサービスは損益分岐点を超えていますので、40パーセント近い利益率を上げています。
アーバンフィットに関しては、先行投資により少し損失が出るところからスタートしていますが、こちらも損益分岐点を超えると利益率がどんどん上がっていくモデルになっています。100店舗すべてを直営にすることは考えていませんし、すでにフランチャイジーもかなりいますので、今後はフランチャイズビジネスとして大きく利益率を上げていきたいと考えています。
基本的には、ストックビジネスが売上高のメインとなっている会社であるとご認識いただければと思います。
5-2.東京大学と共同研究「柏モデル」(都市型モデル)
当社のクラウドは、都市型モデルの代表格となっている地域包括ケア「柏モデル」を基礎としています。こちらは東京大学高齢社会総合研究機構とカナミックネットワークの共同研究により開発されたもので、私も研究員として参画しています。
5-3. 旭川医科大学との共同研究(地方型モデル)
旭川医科大学とは、地方型モデルというかたちで、遠隔医療や遠隔介護を使った広大なエリアでのモデルを共同研究しています。このように、都市型モデルと地方型モデルの両方で対応できる強みを持っています。
5-4.ビッグデータ・IoT・AI
蓄積されたビッグデータを活用し、みなさまが使われるAIサービスやさまざまなデータビジネスにつなげていくことが、今後の新たな柱になっていくと考えています。堅調に業績も伸びてきていますので、このペースでどんどん発展していくところをみなさまにお見せできればと思っています。
なんといっても、まずは医療・介護分野の生産性向上や現場への浸透、超高齢者社会を支えることでみなさまの活動を支援していきます。加えて、アーバンフィットの健康寿命延伸サービスを通して社会に貢献することで、選ばれる会社になっていきたいと考えていますので、今後とも応援していただければと思います。
以上で、カナミックネットワークの2023年9月期第2四半期の決算説明会を終了します。本日はどうもありがとうございました。