物価上昇率がなかなか日銀目標の2%に達しません。しかし、2017年は様々なモノやサービスの値上げが実施され、また今後も予定されています。今回はこうした値上げ(予定を含む)についてまとめてみました。
電気ガス料金
電気ガス料金は1、2、3、4、5、6、8月に引き上げられました。2017年に入り、ほぼ毎月ペースです。自動引き落としのため普段はあまり意識しないという家庭も多いかもしれませんが、ジワジワと家計を圧迫しているのではないでしょうか。
ただ、WTIベースの原油価格を見ると、2016年1月に28ドル台だったものが、1年後の2017年1月には約2倍の55ドル台へと駆け上がっています。
その後に若干の下落はあったものの(現在は48ドル台)、これだけの原油価格上昇を考えると、料金引き上げは海外要因によるところ大であり、やむを得ない面もありそうです。
食品分野
- バターやチーズ(5・6月)
- ビール類(6月)
- 業務用・家庭用小麦粉(6・7月)
- かつお節(8〜10月、予定含む)
- デンプン(10月予定)
- 食用油(10月予定)
- 鳥貴族(10月予定)など
2017年に入り、お菓子作りに欠かせないバターや小麦粉などが値上げ。6月には酒税法改正で過度な販売競争が抑制された結果としてビール類の価格も上がりました。そして10月には鳥貴族が28年ぶりに値上げを実施します(280円→298円:税抜)。
8月以降はかつお節の値上げも相次いでいます。ヤマキが8月1日に家庭用のかつお節商品を7~15%値上げしたのに続き、マルトモは9月に約40品目を7~11%、にんべんは58品目を10月から10~25%値上げする予定と報じられています。
今夏の東日本の天候不順で野菜の価格も高騰しています。スーパーに行くとキュウリやキャベツ、トマトなどの値上がりに驚かれる方も多いのではないでしょうか。また、秋の味覚の代表格であるサンマを始めとした水産物の値上がりも顕著です。
10月には、全農が6年ぶりにばれいしょでんぷんの価格を1割引き上げる方針のほか、日清オイリオグループが家庭用食用油22品目をキロ当たり20円以上値上げすると発表しています。
生活分野
- 国民年金保険料(4月)
- ティッシュ・トイレットペーパー(5月)
- はがき(6月)
- 宅配料金(10月にヤマト運輸、11月に佐川急便が予定)など
生活分野でも値上げが相次ぎました。ティッシュやトイレットペーパーの値上げは案外気が付かなかったかもしれません。
そして2017年は郵便や宅配料金など、運輸サービス分野の料金改定が特徴とも言えます。6月に郵便はがきが52円から62円に値上げされたほか、定型内郵便物やゆうメールの料金も引き上げられています。
また、日本郵便は9月5日、宅配便「ゆうパック」の基本運賃を2018年3月1日から平均12%上げると発表しました。
10月からはヤマト運輸が27年ぶりに宅配便を値上げするなど、過剰労働問題が契機となった宅配料金の値上げはこれからも広まると見られます。今後どのような影響が生じるのか注目です。
物価上昇率が2%に達しないと言うけれど・・・
日本銀行にとっては目標の物価上昇率に届かないことが頭痛の種かもしれません。ただし、上記のように値上げされた製品やサービスは数多く存在しています
スーパーに行けば、お菓子等のパッケージ製品で新発売とともに分量が減るケースはよく見かけますし、モデルチェンジした自動車の価格が上昇しているケースも少なくないようです。
資源輸入国の日本にとっては、円高で輸入価格が下がりモノの値段が下がることが消費者にとってはメリットです。一方、現在の政府は円安政策をとっていますし、政府主導の賃金上昇もそろそろ息切れを見せています。
賃金が上がらず、物価も上昇気味となれば、日本のGDPの約6割を占める個人消費に火が付かないのは当然と言えるのではないでしょうか。
石井 僚一