配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回はANAホールディングス(9202)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
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1. ANAホールディングス(9202)の配当金のリターンはいくらか
ANAホールディングスの株式を1年前に買い、持ち続けたとしても無配のため配当金を受け取ることができません。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月24日
- 株式の取得価格:2516円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:0円
- 2023年3月期・期末配当:0円
- 100株ベースの配当金のリターン:0円
今期は無配でした。それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. ANAホールディングスの株主優待のリターンはいくらか
ANAは3月末と9月末時点で100株以上保有する株主に向けて、大きく分けて、以下の2つの優待を提供しています。
- ANA国内線搭乗優待(国内全路線ANA FLEX Dの片道1区間運賃50%割引)
- ANAグループ各社・提携ホテル優待券1冊(クーポン券18枚)
2023年3月末基準日までの国内線搭乗優待配布基準※9月末・3月末
- 100株以上 200株未満:1枚
- 200株以上 300株未満:2枚
- 300株以上 400株未満:3枚
- 400株以上 1000株未満:4枚+400株超過分 200株枚に1枚
- 1000株以上 10万株未満:7枚+1000株超過分 400株枚に1枚
- 10万株以上 :254枚+10万株超過分 800株枚に1枚
今回は試算のためにANA国内線東京(羽田)~大阪国際(伊丹)をみると、ANA FLEXD(通常)普通運賃2万9000円が、株主優待割引運賃(通常)1枚1万4500円になるため、1枚1万4500円の経済価値と想定します。
なお、2023年3月末時点で100株保有の株主の株主優待は2022年9月末と2023年3月末の2枚分となります。
そのため、優待のリターンは2万9000円です。
3. ANAホールディングスの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5月24日
- 株式の取得価格:2516円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年5月24日
- 1年後の株価の終値:3030円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:5万1400円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:0円
- 株主優待のリターン:2万9000円
- 株価変動によるリターン:5万1400円
- トータル・リターン(金額ベース):+8万400円
- トータル・リターン(%ベース):+32.0%
トータル・リターンは金額ベースで+8万400円でした。
4. ANAホールディングスの配当金の推移を確認(決算が発表された月は決算)
ANAホールディングスI株式の年間リターンは+32.0%でした。
最後にANAホールディングスの配当金の推移を確認しましょう。
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一