先週はドル/円が107円台に突入し年初来安値を更新。107円台は2016年11月以来となります。これはドルの下落を背景とするもので、ドルの価値を示すドルインデックスも大きく下落し安値更新となっています。ドル要因による円高がさらに進むのか、今週もドルインデックスの行方が為替市場を左右すると考えられます。
先週の為替市場振り返り
米国レイバーデー明けの5日から実質的にスタートした先週の為替市場ですが、北朝鮮問題が燻り続けている中、7日にドラギECB総裁の会見が行われ、10月から量的緩和縮小の具体的対応が始まることが示唆されました。
そのドラギ総裁の発言前から下げ始めていたドルインデックスは、ドラギ総裁の発言を受けてさらに下落を加速。翌8日も下落は止まらず、遂には終値ベースで年初来安値を更新しました。
このドルインデックスの下落にドル/円が反応し、7日には過去何度も跳ね返されてきた108円台前半のサポート&レジスタンス(サポレジ)を下抜け。翌8日もドルインデックス同様に下落が続き、4月の108.1円台の年初来安値も更新して遂には107円前半にまで到達しました。
2015年以降のサポレジを下抜けたドルインデックス
先週の為替変動は、ドルインデックスの値動きで説明できる部分が多くなっています。先々週いったん年初来安値を更新したものの、押し戻された形となっていたドルインデックスですが、先週は完全に下落トレンドとなり、日足のローソク足では5営業日続けての陰線となりました。
そして、ドラギ総裁の発言があった7日に大きく下げ、翌日の8日も下落し、年初来安値更新が確定。先週の取引を終えた91.3ポイントという値位置は、2015年以降形成されたサポレジを完全に下抜けた形となっています。
今週の見通し
今週は15日に米8月小売売上高の発表があります。その他に大きなイベントは予定されていませんが、依然として市場は北朝鮮問題に左右される展開が見込まれます。
ただし米国はハリケーンや債務上限問題等、実質的には国内問題に注力せざるを得ない状況。現状、北朝鮮に対し強い姿勢で挑んでいるトランプ政権ですが、国内問題の行方次第では、北朝鮮政策に変化が生じる可能性もあります。
今週の注目ポイントは、年初来安値を更新したドルインデックスがさらに下落を続けるのかという点です。いったん戻しを入れる可能性もありますが、既に2015年以降の各安値も更新するなどチャート的には新たな領域に入っているため、今後の値動きが注目されます。
また、今回はドル/円がドルインデックスの値動きに素直に反応しており、こちらも年初来安値更新と、このままいくと2017年の年足は陰線となります。ドルインデックス同様、ドル/円もチャート的には新しい領域に入っており、今後さらに下落が進むか注目です。
さらに、ドルインデックスの安値更新を背景にユーロ/ドルも上昇し、年初来高値を更新しています。一足先に年初来高値更新モードに入っているユーロ/ドルですが、先週の上昇で2010年以降形成のサポレジにタッチ。今週はいったん値動きが収まるのか、それとも過去のサポレジにお構いなく上昇を続けるのか、注意を要する場面となっています。
まとめ
2017年は一貫して下落が続くドルインデックス。先週の年初来安値更新で下落がさらに加速するのか要注意です。また、今回のドルインデックス下落は素直にドル/円の下落に繋がっていますが、ドル安を原因とする円高は為替市場のみならず、日本経済にも今後影響を及ぼす可能性もあります。
ドル/円の下落がさらに進むのか、今週はドルインデックスの値動きに特に注意しながら為替市場に臨みたいと思います。
石井 僚一