2023年5月11日に実施された、JBCCホールディングス株式会社2023年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:JBCCホールディングス株式会社 代表取締役社長 東上征司 氏
JBCCホールディングス株式会社 取締役 薮下真平 氏
JBCCホールディングス株式会社 取締役 内田義隆 氏

2023年3月期 決算説明

東上征司氏(以下、東上):みなさま、おはようございます。JBCCホールディングスの東上です。本日は当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。

説明会のスタート前にご覧いただいた動画のとおり、2023年2月から、東京ミッドタウン八重洲で新しいオフィスを社員に提供しています。3年以上にわたるコロナ禍により、オンラインという仕事のスタイルが世の中に定着し、極めて生産性の高い働き方ができるようになりました。しかし、それと同時に、お互いに顔を合わせてコミュニケーションを取り、助け合うことが重要であると再認識されたことも事実だと考えています。

この3ヶ月間の新しいオフィスでの活動により、社員同士の新たなつながりが生まれています。また、すでに600名を超えるお客さまやパートナーにも見学していただいています。社員同士、あるいはお客さまとコラボレーションする場が提供できていることを、大変うれしく思っています。

会社概要

当社の概要についてお話しします。おかげさまで、2023年4月1日に60年目をスタートしました。この業界で60年という長い歴史を持っており、グループ全体で10社の事業会社を展開しています。

2022年10月には中部地区のCISの子会社として、bewebというWeb系のアプリケーションに強い会社がグループに加わりました。社員数は18名とコンパクトな会社ですが、CISのこれまでのスキルセットを見ると、補完し合う関係が成り立つと考え、当社グループに加えました。

本日のご説明

本日は、まず私から決算概要および中期経営計画についてお話しします。3年単位で回している中期経営計画の2年目を終えたところで、その進捗状況をご報告します。

その後、注力事業の中からクラウド、セキュリティ、超高速開発の3つをピックアップし、それぞれの担当取締役からご説明します。

当社にとって重要な資産は人です。人に対する投資の考え方について、最後に私からお話しします。

決算ハイライト

決算ハイライトです。この1年間、決算説明会やいろいろな活動の中で私がお話ししてきたように、多くの会社が物販のビジネスからサービスのビジネスへとシフトしている中、当社は単にサービスのビジネスにシフトするだけではなく、クラウドやセキュリティに代表される付加価値が高く、経営を安定させるストック型のビジネスへの移行に踏み切ってきました。

つまり、一時的に売上が立つ物販のビジネスをやめて、数千万円、数億円というビジネスを月々数十万円のビジネスに切り替えてきました。長い時間軸で見ると売上が低下していましたが、それを反転させる年となりました。

クラウドやセキュリティという新たなストック型のビジネスを拡大する力が増し、2022年3月期に得た受注高が2023年3月期の売上高として毎月積み上がる状態でスタートしました。

スライドに記載のとおり、売上高は前年比4パーセント増となっており、この数字の重みは極めて大きいものです。継続的な成長を遂げるための、最初の一歩を踏み出せたことをみなさまに発表でき、大変うれしく思っています。

当然ながら、当社が注力しているビジネスは、以前のものよりも付加価値が高く、利益率も高くなっています。その結果、25年ぶりに営業利益は過去最高を記録しました。

また、中期経営計画の2年目にあたる2023年3月期は、中期経営計画の目標値を前倒しで達成しました。好調な業績に合わせ、期末配当も上方修正しています。中期経営計画の目標については後ほどご紹介します。

業績概況

業績の具体的な数値についてです。売上高は前期比プラス4パーセント、営業利益は前期比プラス22.1パーセントと、大きな成長を遂げることができました。スライド右側に記載の数字は、昨年秋に上方修正した業績予想に対する達成値です。

事業分野別の状況

セグメント別にご説明します。情報ソリューションと、メーカーの機能としての製品開発製造に分けています。

まずは情報ソリューションについてです。当社が取り組んでいる超高速開発の内容は後ほどご紹介しますが、独自の開発手法を確立し、売上と利益が堅調に成長しています。同時に、クラウドやセキュリティなどのストック型ビジネスも着実に成長し、売上総利益を押し上げています。

続いて、製品開発製造の売上はマイナス0.5パーセントとなっていますが、こちらは計画どおりです。製品開発製造にはハードウェア分野とソフトウェア分野があり、ハードウェア分野にはマチュアなビジネスとしてプリンターのビジネスがあります。このプリンターはインパクトプリンターで、需要の観点から見ると明らかにマイナス成長となっており、数字としてはマイナス15パーセントでした。

一方、ソフトウェア分野では、当社のオリジナルのソフトウェアや、それらを使ったサービスは利益率が高く、プラス16パーセントとなっています。ネットすると売上はマイナスですが、付加価値の高いソフトウェアのビジネスの伸長によって、売上総利益をプラス7.4パーセントまで伸ばすことができました。

中期経営計画「HARMONIZE 2023」注力事業 進捗状況

当社の注力事業についてです。

SI全体に占める超高速開発の売上高の割合について、2024年3月期の目標値は70パーセントとなっています。超高速開発の売上高は堅調に伸びており、2023年3月期の状況は、中核事業会社であるJBCCはすでに64パーセントまで達成できていますが、中部地区にあるCISは従来型開発から超高速開発に切り替えている途中のため、浸透率の観点では未達の部分があります。そのため、グループ全体では60.1パーセントになっているとご理解いただければと思います。

クラウド、セキュリティの事業は、2022年3月期の受注高が積み重なってスタートしたことにより、2023年3月期の売上高の成長に大きく貢献しています。

クラウドデータ連携は、当社のオリジナルソフトウェアとして以前からご紹介してきました。例えば、クラウドサービスの「勘定奉行クラウド」とよくテレビCMに出てくる「楽楽精算」とのデータ連携を当社ソフトウェアが実現しています。

このようなデータ連携の契約本数が2,000本を超え、昨年対比では大幅に増加しています。1本あたりの金額が非常に少額であるため、今後はより飛躍的に成長する必要があるものの、着実に進捗しています。

注力事業の進捗 超高速開発

注力事業の内容についてです。超高速開発ではご覧のとおり、堅調な受注があります。当然ながら、システムの開発は受注してからプロジェクトがスタートし、毎月の売上と利益に反映されます。堅調な受注を継続しているとご理解いただければと思います。

注力事業の進捗 クラウド・セキュリティ(ストックビジネス)

クラウド・セキュリティについてです。スライド右側のグラフに、新規月額受注高を示しており、こちらが売上高に変わっていく様子がわかります。

重要なポイントは、2023年3月期の新規月額受注高の合計が2億9,700万円あることです。「297」という数字は、ストック型ビジネスであるクラウドとセキュリティを合わせたもので、これを12ヶ月でかけ算したものが2024年3月期の新たなビジネスを創出しました。つまり、概ね36億円の新規のビジネスを持って、新しい年度をスタートしています。

そして今年度の大きなチャレンジは、クラウドとセキュリティの新規月額受注高に「429」という数字を目標値として掲げていることです。この4億2,900万円を達成できれば、12ヶ月で50億円を超える新たなビジネスを生み出し、来年度の4月に新しいスタートを切ることができます。

昨年度は、失うビジネスと得るビジネスの大小のバランスによって、継続的に成長できる1年になることを実績として示しました。今年度はさらに、新たなビジネスを作る力が増しています。つまり、ストック型ビジネスを毎年成長させることで、継続的な成長率を高められるということです。

したがって、ストック型ビジネスにおける最大の焦点は、4億2,900万円という金額の達成です。それにより、当社の売上規模約600億円弱と言う中で新たに50億円の売上を持ってスタートできるということは、大きなベネフィットとなります。ここが最大のチャレンジで、この目標を達成すべく、すでに順調な滑り出しを見せています。

主な経営指標

主な経営指標です。ご覧のとおり、着実に健全化しているとご理解いただければと思います。

中期経営計画 HARMONIZE 2023 最終年度

中期経営計画「HARMONIZE 2023」の最終年度の目標についてです。売上高は昨年対比でプラス1.5パーセント、営業利益はプラス6.2パーセント、経常利益はプラス6.6パーセントと、やや控え目な目標とお感じになるかと思います。新しいオフィスに関する経費もありますが、一番は社員への投資をさらに強化するため、営業利益と経常利益の伸び率は少し低めの目標としています。

株主還元について

株主還元についてです。2023年3月期は、昨年の発表から修正して4円増配しました。2024年3月期はさらに増配し、80円の配当を予想しています。つまり、中期経営計画以前と比較すると、概ね60パーセント増となります。

以上、私からは決算概要および中期経営計画の進捗状況についてご説明しました。

HARMONIZE2023 注力事業 クラウド

薮下真平氏(以下、薮下):クラウド事業を担当している薮下です。本日はポイントを絞って、当社のクラウドビジネスの強みと今年度の展開についてご紹介します。

外部からの評価

直近、マイクロソフトから2つの賞を受賞しました。まずは、その背景をご説明します。マイクロソフトのパートナーは約1万社存在すると言われていますが、IaaSおよびSaaSの両方で受賞した企業は、直近では2社のみです。その栄えある2社の中に、当社が選ばれました。

当社では、単にクラウド化するだけではなく、クラウド化したものを最大限に活用し、さらにその活用を定着化させるための仕掛けや道具立てを十分に持っています。そのようなところが評価され、ダブル受賞につながったと考えています。

お客様のDX推進に貢献する当社クラウドサービス

そのような当社の強みについて、SaaSとIaaSに分けてそれぞれお話しします。まず、SaaSに関しては、無償のコンサルティングサービスを提供しています。当社ではこのサービスを「ワークショップ」と呼んでいます。

次にIaaSに関して、一部のSIerは運用監視を提供していますが、当社はそれに加えて、クラウド利用を最適化するサービスを付加して提供しており、ここが当社の強みだといえます。

SaaSの投資対効果最大化を実現するワークショップ

繰り返しになりますが、SaaSでの強みは無償のコンサルテーションである、ワークショップです。全体最適化を行うための「クラウドデザインワークショップ」、また、人気の高いソリューションである「Microsoft365」、サイボウズ社の「kintone」、それぞれを部分最適化する利活用のワークショップを提供しています。

この3つの中で、最近特にニーズが高まっている「クラウドデザインワークショップ」についてお話しします。

ITを美しくデザインする 「クラウドデザインワークショップ」

日本はまだ発展途上ですが、米国では1社あたり50個のクラウドサービスを利用しているという調査報告があります。なお、当社は現在26のクラウドサービスを利用しています。

SaaSサービスは非常に便利であるため、事業部門の方が独自に利用することが一般的になってきました。しかしその結果、1つの会社内で、どの部門がどのようなSaaSサービスを利用しているのか、全体像が見えなくなります。そこにニーズを感じ、SaaSサービスの利用状況を整理する「クラウドデザインワークショップ」を建て付けました。

「クラウドデザインワークショップ」は非常に好調で、日本のお客さまもどんどんとクラウド化が進んでいる状況を日々体感しています。今年度もこのワークショップを継続する予定です。

ユーザコミュニティでお客様のクラウド利活用を推進

部分最適化のために行ってきた、「Microsoft365」「kintone」を最大限活用するためのワークショップは、今後より発展させていきたいと考えています。それがユーザコミュニティです。

例えば、「Microsoft365」は300社のお客さまに、「kintone」は400社のお客さまに対し、すでに提供しています。そこから得た知見を、ワークショップを通じて新規のお客さまや、現在利用中のお客さまに還元しています。お客さま同士が直接対話できる場を東京ミッドタウン八重洲のオフィスに設けました。

すでに3月からパイロットを開催し、好評を得ています。今年度は東京だけでなく、名古屋、大阪、九州などの地方の支社を含めてお客さまを招き、当社のスペシャリストが議長役や進行役を務めながら、お客さまの抱える課題を共有し、情報交換する場を新たに提供していきたいと考えています。

IaaS 運用付きクラウドサービス EcoOne

IaaSについてです。冒頭でもお伝えしたように、3大クラウドを中心に、運用管理を提供しているIT企業は他にもあるかと思います。しかし、当社の大きな特徴は、運用管理に加えてコストの最適化サービスを同時に提供していることです。

当社では、お客さまのクラウド利用コストを最適化するために、実際の使用状況を能動的に把握し、月次でレポートを提供しています。その上でお客さまと協議し、リソースを最適化する方法や安定的に利用するための方法を提案しています。さらに、長期割引を適用することで割安な価格でご利用いただけるようにしています。

クラウドコスト削減・最適化を運用で継続的にご提供

まずはリソース情報を能動的に収集し、レポートを提供する中でお客さまと最適化について協議します。そして、利用状況が安定的な巡航速度に入ると、長期契約することでより高い割引率のサービスが受けられるようになります。

この循環させていく最適化サービスがお客さまから非常に高く評価され、冒頭にご紹介したマイクロソフトやその他のグローバルクラウドサービス企業との協業も進んでいます。

守りのITから攻めのITへ変革

当社は、SaaSと合わせて延べ2,000社を超えるお客さまのクラウド化を支援してきました。その中で、お客さまの直近のニーズとして最も感じられるのが、データの活用です。

「GoogleやMicrosoft、Amazonなど、各社が提供しているAIを使って、クラウド上に存在するデータを利活用したい」というニーズをお客さまから数多くいただくことは、自然な流れといえます。そのニーズにどのように応えていくかに今期は最も注力し、実行していきたいと思っています。

データ活用のための「課題整理ワークショップ」 今期開始

データ活用については長年言われていますが、企業の中では、データの活用自体が目的になりがちです。本来は、データを活用して業務をよくすることや、よりよい会社経営にデータを使うことが目的なはずですが、なかなか実現できていません。

米国ではよく「データをインフォメーションからインテリジェンスに変えていく」と表現されます。それを具現化するために、課題を整理する無償のワークショップを始めました。

ワークショップでは、お客さまがどのような業務をよくしたいのか、どのようにデータを経営に活かしていきたいのかを対話し、データを絞り込み、お客さまと一緒に道筋を作っていきます。すでに複数のお客さまとパイロットを始めていますが、今期中に明確なかたちにしたいと思っています。

また、ワークショップを進めていく中で、お客さまの課題が浮き彫りになってきました。そのため、ワークショップだけではなく、次のステップとして、分析環境の構築や活用するための基盤を同時に届けることが、ITサービスの提供者である当社の使命だと考えています。

今はまだ構想の段階ですが、データ活用基盤を今年度中に発表したいと思っています。

データ活用のためのシステム連携&統合データベース基盤構想

当社の強みを出せるのが、「Qanat Universe(カナート ユニバース)」です。データ連携の基盤である「Qanat Universe」を土台にフル活用して、データの活用基盤を作りたいと考えています。

「Qanat Universe」を使うことで、お客さまはわざわざVPN装置を立てたり、データを拾い出すためのプログラミングをせずに、データを活用することが可能になります。それらはすべて「Qanat Universe」の機能でカバーできます。

通常であれば、プログラミングとVPN装置を立てる2つの手間がかかります。GoogleやMicrosoftのAIを使いたい場合には、オンプレミスにあるデータや外部のSaaSのデータから、使いたいデータを取り出し、引っ張ってきてつないでいく必要があります。

そこを一挙に解決するデータ活用基盤について、すでに「Google」との接続テストを始めている段階で、今年度中に発表したいと考えています。

クラウドサービス開発状況、ポートフォリオの継続的拡大

スライドでは、当社のクラウドビジネスのサービスの全体像を示しています。お客さまのニーズを常に把握しながら、一歩先を行くサービスの提供をこれからも続けていきたいと考えています。

以上、注力事業であるクラウドの特徴をご紹介しました。

HARMONIZE2023 注力事業 セキュリティ

内田義隆氏(以下、内田):内田でございます。私からは注力事業のうち、セキュリティと超高速開発に関して、当社の強みと今後の成長に向けてのお話をさせていただきます。まずはセキュリティについてご紹介します。

日々脅かされる脅威には継続的なセキュリティ運用が重要

昨今、国内のサイバーセキュリティ被害は拡大の一途を辿っています。ランサムウェアにいたっては、3年前の5.5倍の被害件数となっているという警察庁の報告もあります。また、サプライチェーン全体の事業活動に影響を与えたり、地域医療の体制に影響を及ぼしたりする例が報道されるなど、社会的に大きな問題となっています。

企業や団体では、セキュリティの重要性がかなり意識されています。しかしながら、どこまで対策すればよいのかがわかりづらく、セキュリティは専門性も高く人材の確保が難しいこともあり、対策がなかなか進んでいないのが実情ではないかと思っています。

また、実際に対策を実施しても、例えば、機器の運用管理ができていない場合や、クラウドの設定環境に不備がある場合もあります。実際に構築した段階より日々脅威が増していく中で、セキュリティのレベルを担保することが非常に重要になると考えています。

JBグループが考える最適なセキュリティ対策手順

JBグループが考える最適なセキュリティ対策の手順をご紹介します。まず、企業ごとに目指す姿を描き、対象範囲を明確にし、その優先順位を策定していきます。また、成長に合わせて、単体の対策ではなく全体最適を進めることを指針としています。

現状把握するために、「見える化サービス」によってお客さまの現状のリスクを徹底的に可視化します。そして、対応方針を策定後、対策のロードマップを描きます。

その後、セキュリティの実装に入り、日々の運用を開始していきます。また、セキュリティの監視、ログの保管、分析等、日々の運用を行うだけではなく、運用開始後も定期的な診断で改善を図っています。

JBグループの豊富な見える化サービスと運用

JBグループの「見える化サービス」を詳しくご紹介します。先ほど薮下からお話ししたとおり、クラウドもマルチクラウド化が進み、オンプレミス等を含めてシステム全体がかなり複雑化してきています。

この複雑化したシステム全体を網羅的に診断し、セキュリティのガイドラインに準拠しているかどうかを総合的に判断します。また、近年「アタックサーフェス」と呼ばれている、インターネットに公開されているが社内で把握されていない資産を、攻撃者目線で早期に発見するサービスもいち早くサービスラインナップ化しています。

クラウドにもいろいろな環境があるため、設定のミスや漏れを監査して不正侵入を未然に防止したり、Webアプリケーションの脆弱性を診断して事前にアプリケーションの改修を行ったりと、総合的な「見える化サービス」を提供しています。

JBグループのセキュリティサービスの強み1

JBグループのセキュリティサービスの強みをご説明します。「見える化サービス」は、すでに770社を超えるお客さまに提供しています。

セキュリティの運用についても、現在1,100社を超えるお客さまに対し、日々の運用を提供しています。特に、PCサーバに代表されるエンドポイントセキュリティについては現在37万台を超える運用を24時間365日で提供しています。

また、セキュリティ業界のグローバルリーダーであるパロアルトネットワークス社からアジア地区でナンバー1の称号である「JAPAC Cortex Partner of the Year」を2年連続で受賞するなど、高い評価を得ていると自負しています。

JBグループのセキュリティサービスの強み2

JBグループのセキュリティサービスの強みの2つ目です。セキュリティの構築を得意とするベンダーは多くありますが、当社は構築・運用だけではなく、実際に事故が発生した際の原因分析、復旧、対応を1つの窓口で実現しています。

これは実際の事例ですが、大規模インシデントが発生した時に、当社の高度セキュリティエンジニアが侵入経路を含めて2日で原因を特定し、対策を実施しました。

業界トップクラスの資格を有したエンジニアが、マルチクラウドからオンプレミスまで包括的に1つの窓口で対応できるのは、非常に大きな強みだと考えています。

マルチクラウド環境におけるクラウドセキュリティの対応力

特に、マルチクラウド環境においてのセキュリティの対応力には、かなりの強みがあります。先ほど薮下からご説明したとおり、当社は2,000社を超えるお客さまにクラウドを提供しています。お客さまのマルチクラウドの利活用が進む中、それぞれのクラウドの特徴をつかんだ設定を常時、維持していくのは非常に困難だと考えています。

また、海外拠点での利用や関連会社での利用を含めて、システム部門が把握していないシャドーITを攻撃者目線で発見するサービスや、セキュリティガイドラインに準拠できているかどうかの診断等、豊富な「見える化サービス」を提供しています。

「AWS」「Microsoft Azure」「GCP」などのIaaSから、「Microsoft 365」「Salesforce」などのさまざまなSaaSまで横断してセキュリティ対策が実施できるのは、当社の大きな強みだと考えています。

業界トップクラスのエンジニアを更に育成

セキュリティには、エンジニアのスキルが非常に重要です。そのため、常にセキュリティエンジニアの育成に力を入れてきました。現在、セキュリティのエンジニアをランク付けし、育成に励んでいます。

当社グループには、インフラ、クラウド関係で300名以上のSEが在籍しています。セキュリティ対応ができるエンジニアの割合を6割以上、そのうちの高度セキュリティエンジニアの割合を10パーセント以上にすることを目標として、今年度中に専門部署を設立して育成していきます。

特に、セキュリティエキスパート、セキュリティアーキテクトなど、当社の大きな強みとなる高度エンジニアの育成に注力していきたいと考えています。

HARMONIZE2023 注力事業 超高速開発

続きまして、注力事業の超高速開発についてご紹介し、今後の取り組みについてご説明します。

当社の「超高速開発」とは?

当社の超高速開発では、単にツールを使って高速で開発するローコード開発だけではなく、「JBアジャイル」という開発手法を使用しています。お客さまの真の要件を抽出し、どこよりも高品質なシステムを、どこよりも早く届けることができる、当社独自の開発手法です。

「JBアジャイル」で「究極の見える化」

「JBアジャイル」の開発フレームは、大きく分けて設計局面と反復開発局面があります。設計局面では、従来のウォーターフォール開発と同様に、現状分析と要件定義を確実に行います。その後すぐに、実際に見える機能の開発に入ります。

反復開発局面では、設計、実装、テスト、お客さまへの確認を1サイクルとして、単体の機能ごとではなく、複数の機能を同時に開発し、反復を行っていくことにより、各機能の整合を確認することができます。また、その段階で実際のデータを使用することによって、データの検証も同時に行えます。

スライドの下部に「JBアジャイル」のポイントを記載しています。構想策定を確実に実施することによって、システムに必要な機能の絞り込みを行います。また、要件定義を実施することによって、システム全体像をお客さまと共有します。

そして、反復開発を5回実施することによって、実際にお客さまに見える画面を共有しながら、お客さまの真の要件を品質の高い開発で実現します。このように、手戻りなく圧倒的なスピードの開発を実現するのが、「JBアジャイル」です。

超高速開発の取り組み

「JBアジャイル」には、過去9年間で460社を超える実績があり、業種もかなり蓄積してきています。これらの開発で蓄積したアセットを活用することによって、SI事業の利益率を向上してきました。今後はさらにそのアセットを活用して利益率を向上できると考えています。

特に「JBアジャイル」の強みを活かせるのは、自社の強みやノウハウをシステム化して、他社との差別化を図りたいお客さま、あるいは独自のシステムを短期間でサービスインまで希望されているお客さまです。そのようなお客さまに対し、当社は高い競争力があると思います。

最近は、世の中の旺盛な需要と、当社の開発実績増加に伴い、SI案件の提案が大型化しつつあります。その段階で、大手のERPのパッケージ等の競合も発生し、差別化が必要となってきています。

今後の方針としては、特定の業種を対象とした開発に注力し、アセットの蓄積をさらに進めていきます。さらに、アセットのマイクロサービス化を進めていきます。

今後の取り組み アセットのマイクロサービス化

スライドの右側に、当社が今まで実際の案件で蓄積してきたアセットとして、上から順に「販売管理システム」「生産管理システム」「インターネット受付システム」などの事例を記載しています。

このアセットは、従来、大きな塊でアセット化しており、これまでの開発ではその大きな塊を活用する形で進めてきました。当然、アセットを適用できるお客さまの割合も下がり、業種も限られるという現象が発生していました。

今後、取り組んでいくアセット活用では、この大きな塊を分解し、マイクロサービス化します。蓄積したアセットを細分化してコンポーネント化し、他業種の開発にも活用できるようにしていきます。

スライドの左下に、例を記載しています。アセットをそのまま利用できる機能についてはそのまま利用し、複数組み合わせて利用するものについては複数で利用します。また、アセットが適用できない範囲については、当社が得意とする「JBアジャイル」で新規に開発を行います。

実績のある部品群のため、提案の段階から実物をデモとして見せることができ、パッケージに似た提案を行えます。これにより、益々競争力を上げることができると考えています。

今後の取り組み パートナー戦略

最後に、当社が今注力しているパートナー戦略についてご説明します。SI事業のビジネスを拡大するためにはSEリソースの確保が重要です。技術力のあるパートナーを増やすために、当社と協業することのメリットをアピールし、協業パートナーを増やす活動を行っています。

協業パートナーのメリットに関しては、今までご紹介したとおり、「JBアジャイル」の適用による高品質な開発、ローコード開発ツールを利用した高い生産性、そして当社が蓄積してきたアセットの相互利用が挙げられます。協業パートナー企業にも高利益を享受しながら、業務知識の拡大も同時に図っていただきたいと考えています。

活動状況としては、今年度中に25社の戦略パートナーを獲得したいと思っており、現在65社にアプローチを行っています。そのうちの18社より「前向きに検討したい」との返事をいただいており、2社は協業体制がほぼ確定となっています。今後も、パートナー戦略に注力していきたいと考えています。

継続して成長する力 - 人財への投資

東上:人財への投資について私からご説明します。SIerの数はいくつかのデータがありますが、5,000社から1万社くらいだといわれています。この業界において、当社は徹底的に自分たちの価値を高め、極めてユニークな価値を届ける会社になるために一生懸命に進もうとしています。

スライドにも記載しているとおり、独自の価値を高めるためには独自の価値を作る社員が必要です。つまり、最も重要な資産は社員だと考えています。私はJBCCホールディングスの社長に就任し、この4月から5年目に入りました。

就任した際、グループ全体の社員に対して「我々は、“技術力”でトップクラスになる、“ビジネススピード”でトップクラスになる、“給与水準”でトップクラスになる」と宣言しました。

そして、スライドの左側に記載しているとおり、フレキシブルな人事施策をとったり、給与を上げたり、賞与を予算以上に配ったりと注力してきました。

どのような働き方を求めるかは、社員それぞれや環境によっても違うため、社員自身が自分の働き方を自分でデザインできるようにすればよいという観点で、年齢の壁を排除しました。

さらに時間の壁も排除したいと考え、最初の1歩として新入社員を除いて全員年俸制に切り替えました。こちらは単なる1歩で、究極的には時間の概念を排除し、成果により評価したいと考えています。

そして、社内外の複業も推奨しています。社外の複業については、いくら推奨しても進めていくのは難しいですが、社内では「あの部門で働いてみたい」という希望はけっこうあります。部門の事情があるため人事異動を伴うとなかなか成立しませんが、複業なら週に2日働いて、自分が感じるものが得られるか、育っていける環境であるかを見極めることができます。

スライドにも記載のとおり、AIの新たなサービスとして昨年の10月に社内カンパニーをスタートしました。そこで働いている社員は、全員社内複業を行っています。社内カンパニーのため、社長という役職もあり、数字を握っている社員もおり、予算も与えられています。そのような新たな取り組みでは、日々改善も必要ですが、今後も引き続き新たなことにチャレンジしていきたいと考えています。

採用については、単に人数は求めていません。「このような考え方で、このようなサービスを作り、このような会社になっていきたい」という思いを共有できる社員に入ってもらいたいと思っています。これは、新卒採用や中途採用でも変わりません。

そのため、入社の希望はいつでも構いません。当社が進むべき方向や、進んでいく方向に一緒に取り組みたいと考える社員を、採用していきたいと思います。

企業風土の醸成は極めて重要ですが、簡単には実現できません。一つひとつの物事にチャレンジすることで経験を積み、それが共有されることによって、組織としても、会社全体としても強くなっていきます。その結果、独自の価値を作っていくことができると考えています。

このような考え方で、今後も人財への投資を継続していきたいと思っています。

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