誰でも、風邪をひいたとき、怪我をしたとき、胃腸の調子が悪いときなど、医薬品のお世話になったことがあるでしょう。医薬品は生きていくうえで必要なものであり、景気の影響を受けることが少なく安定した業界であると言われています。

そこで今回は、医薬品会社の直近の決算資料などをもとに、企業ごとの年収を比較しました。

平均年齢40.7歳で平均年収は811万円

今回ピックアップしたのは、日本の医薬品会社や医薬品製造を扱う薬局のうち売上高の大きい25社。持ち株会社の傘下企業や、非上場で決算資料が非公開の企業については対象外としています。

25社の単純平均による平均年齢は40.7歳で、平均年収は811万円となっています。また、各社の従業員数で加重平均した平均年齢は41.1歳で、平均年収は870万円です。加重平均での平均年収が高めに出ているのは、従業員数が多く平均年収が高い第一三共、武田薬品などの寄与によるものです。

一番高いのは第一三共の1,134万円

下図は、投信1編集部データ分析室が決算資料をもとに作成した各企業の平均年齢と平均年収の分布です。

第一三共

まず、平均年間給与が一番高かったのは第一三共です。第一三共の平均年齢は43.4歳で平均年収は1,134万円となっています。同社は、国内製薬メーカー大手5社のうちの1つで、2005年に三共株式会社と第一製薬株式会社が経営統合して発足しました。

同社はがんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業を目指し、国内と米国、欧州、アジアなど世界各国のグループ会社と密接に連携しながら、グローバルに展開しています。身近なところでは、総合風邪薬の「ルル」や頭痛などに効く「ロキソニンS」などの製品があります。

武田薬品

続いて武田薬品ですが、平均年齢は40.4歳で平均年収は1,015万円と、業界平均と比べると平均年齢はほぼ同じ、平均年収は204万円高くなっています。同社は1925年創業の老舗であり、医薬品の国内売上高は第1位、第一三共と同様に国内製薬メーカー大手5社のうちの1つです。

疲労回復の「アリナミン」や、かぜのタイプに合わせて選べる「ベンザブロック」シリーズ、「タケダ漢方便秘薬」などが知られています。

日本調剤

一方、日本調剤は平均年齢34.4歳で平均年収は558万円と、業界平均に比べると平均年齢は6.3歳低いですが平均年収も253万円低くなっています。

同社は、47都道府県に570店舗を展開する調剤薬局チェーンです。他に先駆けたジェネリック薬品の推進や、薬剤師教育に熱心な企業として知られています。医師と薬剤師が明確な役割分担と強固なチームワークを持って患者をサポートする「医薬分業」を企業理念とし、薬の専門家である薬剤師の職能を存分に発揮することを目指しています。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。医薬品は、医学部や薬学部出身者が多く専門性が高いことから、他の業種に比べると平均年収が高い傾向にありますが、平均年齢や平均年間給与には各社でかなり差があることがわかりました。

高齢化社会の到来により、医薬品の国内市場は今後も安定しており拡大を続けると言われています。その一方で、政府による薬価の引き下げやジェネリック医薬品普及の推進、外資系メーカーの進出など対処が必要な課題もあります。今後も注目していきたい業界です。

以下、今回ピックアップした企業のデータとなります。ご参考にしてみてください。

出所:SPEEDAをもとに投信1編集部データ分析室作成

LIMO編集部