過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2021年5月23日) |
みなさんは、ご自分の老後、たとえば70代になったときのことをイメージされたことはありますか?
70代というと、仕事も定年で一段落し、年金生活まっただ中という方がほとんどか思います。
私は以前、生命保険会社でマネーセミナーの講師やマネープランニングのアドバイザーをしており、1000人以上のお客様のお金の相談を受けてきました。
プランニングでは、老後までの残された時間でどのくらい貯金を作れるか不安で仕方がないという相談はとても多く、老後に必要な資金計算をするとショックを受ける方が多かったものです。
そこで今回は、70代の世帯では実際にどのくらいの貯金をされているのかをながめながら、70代までに老後資金を効率よく作っていくために大切なことを考えていきたいと思います。
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1. 70代の貯蓄事情、その実態とは
まず、金融広報中央委員会の「令和2年(2020年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」から70代の貯蓄額の平均をみていきます。
1.1 70代以上の金融資産保有額
(金融資産を保有していない世帯を含む)
平均:1786万円
中央値:1000万円
「平均と中央値」って、どうちがうの?
「平均」には、一部の極端に大きい(または小さい)値の影響を受けて、変動しやすいという特徴があります。一方で、「中央値」はデータを順番に並べた時に全体の真ん中にくる値を指します。よって、平均値より中央値の方が実態を反映しているといえるでしょう。
中央値でも1000万円という結果になっており、比較的資産を残して70代に突入されている方が多いといえるかもしれません。
2. 意外に多い?「70代・貯蓄ゼロ世帯」
引き続き、同じ調査結果から70代以上の金融資産保有額の分布も確認していきたいと思います。
2.1 70歳以上・二人以上世帯の金融資産保有額
(金融資産を保有していない世帯を含む)
・金融資産非保有:18.6%
・100万円未満:4.3%
・100~200万円未満:4.1%
・200~300万円未満:2.6%
・300~400万円未満:3.0%
・400~500万円未満:2.6%
・500~700万円未満:6.5%
・700~1000万円未満:6.3%
・1000~1500万円未満:11.9%
・1500~2000万円未満:8.0%
・2000~3000万円未満:10.4%
・3000万円以上:19.0%
・無回答:2.6%
貯金1000万円以上の世帯が約5割となっており、これまでの貯蓄努力が結果として表れているともいえそうです。
一方で、金融資産非保有の貯蓄ゼロ世帯は約2割という結果になっていました。
ほぼ5人に1人は「貯蓄ゼロ」という、老後格差を感じる結果になっているともいえるかもしれませんね。
3. 脱・老後格差。「ゆとりの老後」は、どう準備する?
では、年を重ねた段階で「貯蓄ゼロ世帯」にならないために、今からしていただきたいことをいくつかお伝えします。
まずは、老後資金を準備しはじめる時、老後にどのくらいお金が必要になりそうかを一度計算してみましょう。
受けとる年金額や必要な生活費も違うため、老後に必要なお金は人によって様々です。
どのくらい老後資金が必要なのかを計算してみようと「ねんきん定期便」を探すも見つからず、やっとの思いで見つけても見方がわからない……など、立ちはだかる壁は多いものです。
自分一人では計算が難しいとお考えの方は、今はお金の専門家が無料で相談に乗ってくれるサービスも充実していますので、活用することをおすすめします。
老後に必要なお金の計算が済んだら、今現在お持ちの資産の棚卸しをしてみましょう。
何かあったときなど緊急時に必要なお金は「毎月の生活費の3ヶ月~半年分」ともいわれています。緊急の生活費が確保できたら、いざという時にすぐに使えるように預貯金として流動性を持たせておくことが重要です。
それ以外の取り急ぎ使う予定のないお金に関しては、お金に働いてもらうという考え方を持って、資産運用を取り入れることもおすすめです。
資産運用を取り入れながら資産を成長させた場合と、資産運用を取り入れなかった場合では、20年後、30年後の結果が大きく変わってくることもあります。
とはいえ、資産運用はリスクがつきものですので、どのような資産運用であれば自分の考え方に合っているかなども、お金の専門家に教えてもらうと良いかもしれませんね。
4. お金を貯める「目的」を持とう
多くの方が、「お金を効率よく増やしたいので、良い金融商品を教えて欲しい」とお話しされます。
お金を効率よく増やしたいと思ったら、まずそのお金の目的、使うタイミング、目標金額を決めることから始めることが大切です。
なぜなら、使いたいお金の目的やタイミングによって、選ぶべき金融商品などが変わってくるからです。
その貯蓄や資産運用の主な目的・使うタイミング・目標金額をしっかりと把握することが、無駄なく効率的にお金を貯められる一番の近道なのかもしれません。
ご自身に合った「お金の育て方」がなかなか見つからないと悩んでいらっしゃる場合は、一度資産運用のプロフェッショナルに相談してみるのもよいでしょう。そして、長い老後を見据えた資産形成を、コツコツと進めていきたいものですね。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。