老後の資金問題が近年大きな話題となっていることから、老後に対して「漠然とした不安」を抱えている人も多いのではないでしょうか。
3月末に定年退職者を見送った方は、自分自身のセカンドキャリアについて考えるきっかけになったかもしれません。
とはいえ、普段の生活で「老後の貯蓄事情」についてあまり知る機会もないでしょう。
そこで本記事では、老後生活をスタートさせる年代である60歳以上の平均貯蓄額とともに「貯蓄3000万円以上」の割合について紹介していきます。
記事の後半では定年退職後に増える出費・減る出費も紹介しているので、あわせて老後資金の参考にしてください。
1. 60歳以上の平均貯蓄額はいくら?
日本の公的年金の受給開始年齢は原則65歳であることから、多くの人は60歳代・70歳代で老後生活をスタートさせるのが一般的です。
本章では、60歳以上の平均貯蓄額を確認していきましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、世帯別における60歳代・70歳代の平均貯蓄額は下記の結果となりました。
- 60歳代 二人以上世帯:平均値2026万円・中央値700万円
- 60歳代 単身世帯:平均値1468万円・中央値210万円
- 70歳代 二人以上世帯:平均値1757万円・中央値700万円
- 70歳代 単身世帯:平均値1529万円・中央値500万円
平均値は極端に大きい数値がある場合に偏る傾向にあるため、「一般的な世帯の貯蓄実態」が知りたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
60歳代・70歳代の二人以上世帯・単身世帯の中央値をみると、どれも1000万円以下となっており、60歳代単身世帯においては「200万円台」となっています。
数年前に老後2000万円が世の中を震撼させましたが、実際のところは「老後までに2000万円を貯蓄している世帯」は少数派であることがうかがえます。
また、60歳代・70歳代どちらの世帯においても、平均値と中央値に約1000万円もの差が生じていることから、貯蓄格差があることがみてとれます。
次章にて60歳代・70歳代それぞれの「貯蓄がない世帯」「貯蓄3000万円以上の世帯」の割合を見ていきましょう。